Cisco Japan Blog

Cisco IQ:AI 時代の主権を支える設計

1 min read



 

この記事は、Senior Vice President of Engineering Cisco Customer Experience である Bhaskar Jayakrishnan によるブログ「Cisco IQ: Engineering Sovereignty in the AI Era」( 2026年 8 月 26日 )の抄訳です。

 

Cisco IQ を発表した際、シスコはお客様に対して 1 つの約束をしました。それは、お客様のインフラストラクチャやデータがどこにあろうとも、AI を活用した一元的なライフサイクル インテリジェンスを提供するというものです。

2026 年 4 月、シスコは 3 つの地域でホストされる Cisco IQ の SaaS 展開の一般提供を開始しました。それ以来、11,000 を超えるお客様がそのエージェント型インテリジェンスエンジンの威力を直に体験しています。

現在、シスコはそのビジョンの実現に向けて次の一歩を踏み出します。オンプレミス展開向けの Cisco IQ エアギャップ型仮想アプライアンスの一般提供を開始しました。

このリリースを利用すれば、データ主権、規制、セキュリティに関する非常に厳格な要件の下で業務を行っている組織が、ライフサイクル インテリジェンス、プロアクティブなセキュリティアセスメント、AI を活用したインフラストラクチャ インサイトを自組織のネットワーク境界の中で完結できるようになります。この機能は、アーリーアダプタのお客様によって検証済みです。

 

1. トレードオフ不要のインテリジェンス

政府機関、金融機関、医療機関、防衛組織、その他の高度に規制された企業にとって、データ主権は選択するものではなく、必須のものです。一方でこれらは、高度なインフラストラクチャ インテリジェンスから最も恩恵を受ける環境であることが少なくありません。

その結果、従来から、厳格なネットワーク分離の維持と最新のクラウドを活用したインテリジェンスへのアクセスとの間で困難なトレードオフが生じていました。Cisco IQ によって、組織はそのようなトレードオフのない選択肢を手にすることができるようになりました。

Cisco IQ エアギャップ型仮想アプライアンスを利用すると、Cisco IQ のインテリジェンスをお客様自身のデータセンターに導入し、標準的な仮想化インフラストラクチャ上でソフトウェア定義型仮想アプライアンスとして実行できます。

ネットワークテレメトリ、デバイス設定、運用データ、アセスメント結果は、お客様の環境内に残ります。検出、関連付け、アセスメント、分析がローカルで実行されます。分離されたネットワークからデータが外部に送信されることは決してありません。

その結果、データ主権を明け渡すことなく AI を活用したインサイトを利用できるインフラストラクチャ インテリジェンスの新しいモデルが実現します。

 

2. 完全な分離を実現する設計

エアギャップ環境では、クラウドアプリケーションを採用してファイアウォールの背後に移動させるだけでは不十分です。Cisco IQ は設計段階から、自己完結型のインテリジェンス プラットフォームとして動作できるように設計されています。実行時に外部接続なしで機能するために必要な、データの取り込み、処理、アセスメント、管理の各機能を備えています。

標準のセキュアな管理プロトコルを使用して、Cisco IQ エアギャップ型仮想アプライアンスをオンプレミスのコントローラに接続することも、ネットワークデバイスへの直接接続を確立することもできます。シスコは、管理面での厳格な制御を維持しながら、柔軟な接続と認証の方法を導入しました。

企業の成長を支えるために、このアーキテクチャはマルチノード展開もサポートしており、インフラストラクチャのフットプリントを拡大しながら、分析キャパシティを水平拡張することが可能です。

接続が確立されたら、Cisco IQ がインベントリ、ライフサイクル、設定、セキュリティ、運用コンテキストを関連付けることでインフラストラクチャの一元的なビューを構築します。たとえば、サポート終了日(LDoS)の追跡、セキュリティを強化するためのアセスメント、設定のアセスメント、インフラストラクチャリスクの分析といった機能をお客様のエアギャップ環境内で完結して実行できます。

データはローカルにとどまります。インテリジェンスもローカルにとどまります。

 

3. データが存在する場所に AI を導入

設計時に直面した最大の課題の 1 つは、生成 AI の外部サービスを選択できない環境に生成 AI を導入することでした。シスコは、データにインテリジェンスをもたらすことでこの課題を解決しました。

Cisco IQ エアギャップ型仮想アプライアンスは、小規模言語モデル(SLM)を備えています。これは、”Ask AI”(AI に質問する)や、インベントリとリスクエクスポージャに対する AI を活用した分析といった機能を外部の LLM API を必要とせずに実現するものです。

またシスコは、すべてのお客様が導入当初から GPU インフラストラクチャを用意しているとは限らないという現実を認識しています。そこでシスコは、この AI アーキテクチャをモジュール型に設計しました。

組織は、コアとなる仮想アプライアンスを CPU のみのインフラストラクチャを使用して展開すれば、ライフサイクル インテリジェンス、予測型資産インサイト、インフラストラクチャ アセスメントをすぐに利用できます。

利用可能な GPU リソースが限られている環境では、AI 推論インフラストラクチャをベースシステムに対するモジュール型アドオンとすることで、ローカルでの AI 推論を有効化できます。お客様は、運用インテリジェンスの基盤をいますぐ確立し、インフラストラクチャ、ポリシー、要件が進化するにつれて、ローカルの AI 機能をシームレスに追加することができます。

AI 対応で全か無かの選択を迫られることはなくなりました。

 

4. 接続されていなくても最新状態を維持

エアギャップ環境であっても現状維持は許されません。

セキュリティ インテリジェンスは最新のガイダンス、アドバイザリ、アセスメント要件が反映されてこそ価値あるものになります。Cisco IQ の設計にあたって、アプリケーション機能、アセスメントルール、機能の利用資格の各リリースサイクルを独立させたのはこれが理由です。

管理者は、更新されたアセスメント アーティファクトをアプライアンスにセキュアに転送できます。対象の環境をインターネットに再接続したり、プラットフォーム全体をアップグレードしたりする必要はありません。

つまり、シスコのセキュリティ アドバイザリ、強化ガイダンス、Field Notice、アセスメントルールの最新版を、それらが利用可能になった時点で個別に導入できます。

お客様のネットワークのエアギャップを確実に維持すると同時に、進化する脅威環境に後れを取ることも防げます。

 

5. 設計段階で作り込まれたセキュリティと制御

ミッションクリティカルな環境では、主権の対象はデータの保存場所にとどまりません。システムにアクセスできるユーザー、ユーザーを認証する方法、アクティビティを管理する方法も管轄の対象となります。

Cisco IQ エアギャップ型仮想アプライアンスは、企業が直面するアイデンティティとアクセス制御の要件をサポートしています。その一例が、Okta、ADFS、Microsoft Entra ID といった ID プロバイダーとの SAML ベースの統合です。一層強力な認証制御を必要とする企業 ID に対応するため、このプラットフォームは、外部監査ログ機能に加えて、Public Key Infrastructure(PKI)と証明書ベースの認証(CBA)もサポートしています。

アクセス制御を厳格化しただけではありません。公共部門や防衛産業の厳しいコンプライアンス要件に応えられるように設計されています。Cisco IQ エアギャップ型仮想アプライアンスは、暗号セキュリティに関する連邦情報処理基準(FIPS)140-3 に準拠し、国防情報システム局(DISA)の Security Technical Implementation Guide(STIG)要件にも準拠しています。

これらの機能とコンプライアンス標準は後から追加したものではありません。AI を活用したインフラストラクチャ インテリジェンスを世界で最も制御された環境で実行できるようにするために必要なアーキテクチャの構成要素となっています。

近日提供予定:オンプレミス展開向け Cisco IQ テザリング型仮想アプライアンス

環境を完全に切り離された状態にしておく必要がある場合は、エアギャップ環境がその解決策になります。しかし多くの組織は、データとインテリジェンスの処理をオンプレミスにとどめておきながら、ソフトウェア更新と新しいアセスメントコンテンツを手動で転送する運用上の負荷を軽減したいと考えています。テザリングモードを使用すると、データ処理と AI 推論をローカルにとどめながら、シスコに向けたセキュアなアウトバウンド専用の接続を確立することができます。

アプライアンスがこの接続を開始するので、着信トラフィックのためにアプライアンスをインターネットにさらす必要はありません。この接続によって、送信データを仮想アプライアンスの識別情報や稼働状態の統計といった構造化された情報のみに限定しつつ、ソフトウェア更新と新しいアセスメント アーティファクトの自動配信を有効化できます。お客様のネットワークデータ、デバイス設定、アセスメント結果はオンプレミスのままです。

これは、同じ目標に向けたさらなる前進です。つまり、お客様は必要なインテリジェンスをあきらめることなく、データの保存場所を自由に決定できます。

主権インテリジェンスに向けた基盤

ライフサイクル インテリジェンスの未来を左右するのは、インフラストラクチャがどこに存在するかではありません。インフラストラクチャを理解し、プロアクティブに保護したうえで、インサイトに基づく意思決定を揺るぎない確信を持って行えるかどうかです。

シスコは、Cisco IQ をデータ主権の最も厳格な境界内で動作するよう設計することで、すべてのお客様が、置かれている規制環境にかかわらず、フロンティア AI モデル時代に内在する防御スピードの乖離を解消し、プロアクティブな運用の日常化を実現するための手段を確実に手にできるよう努めています。

長年にわたり、最も制約の厳しい環境では、セキュリティと機能提供のスピード、主権とインテリジェンス、分離と AI のいずれかを選択せざるを得ませんでした。シスコは、そのような妥協を迫られるべきではないと考えています。AI 時代だからといって、組織が自らのデータをコントロールする権利を手放す必要はありません。必要なのは、AI を異なる方法で設計することです。

それが、AI 時代の主権を支える設計なのです。

利用を開始する

  • 詳細情報:Cisco IQ ドキュメントをご覧ください。
  • 導入:利用資格と導入について、シスコのアカウントチームにお問い合わせください。

Authors

Daisuke Naya

Director, Services Sales

APJC Sales

コメントを書く