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第4回 Cisco D-1 グランプリ ファイナルステージ開催:イノベーションが結集した一日!

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この記事は英語でもご覧いただけます
Masaki Tagawa From Ideas to Impact: The 4th Cisco D-1 Grand Prix Final

 

Cisco Japan では、2013年から始まった「テクノロジーコンテスト」、そして「DevNet イノベーションチャレンジ」、さらには「Cisco D-1 グランプリ」へと、過去12年間にわたり、コミュニティ、草の根、垣根を越えたテクノロジー&イノベーションイベントを推進してきました。

製品の API を活用したアイデア、他のアプリケーション連携による新しい価値、テクノロジーやアーキテクチャの進化を模索しながら、ビジネスに結びつけてコミュニティやエコパートナーそしてユーザーの皆様と継続して一緒に成長していくことを目指しています。そして2025年の今年も、第4回目となる Cisco D-1 グランプリを開催しました。

本ブログでは、大盛況のうちに幕を閉じた第4回 Cisco D-1グランプリについて、その熱い道のりと白熱したファイナルステージの様子を振り返りたいと思います。多くの参加者の皆様、そして関係者の皆様、本当にありがとうございました!

応募開始からファイナルステージまでの道のり

第 4回 Cisco D-1 グランプリは4月末に参加登録が開始されたことから始まりました。1チーム最高5名までのチーム制での参加登録になります。多くの皆様に興味を持っていただき、運営チーム一同、大変嬉しく思いました。そして、参加登録を終えたチームの皆様の作品開発が本格的にスタートしました。

今回は、参加チームそれぞれにメンターとしてCiscoのエンジニアがアサインされ、アドバイザーとして、作品提出完了、そしてファイナリストに選出されたチームはファイナルステージのプレゼンテーション終了まで寄り添い並走させていただきました。

7月1日には、中間Meetupイベントを開催。参加者同士の交流や情報交換の場となり、イベントをさらに盛り上げるきっかけとなりました。

いよいよイベントも佳境へ。参加チームの皆様が丹精込めて開発された作品の提出締切りは8月18日でした。企業所属のエンジニアのみならず、学生の方々からも多数の作品を提出いただくことができました。

提出物のプレゼンテーション資料と作品動画は非常に凝ったものが多く、1次審査員は相当頭を悩ませましたが、厳正なる一次審査の結果、9月5日にはファイナリスト 7チームが選出されました。選ばれた皆様、本当におめでとうございます!惜しくもファイナリストを逃した皆様も熱意のこもった作品を開発いただき本当にありがとうございました。

2025年9月19日 ファイナルステージ開催

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いよいよ最終決戦の舞台であるファイナルステージが9月19日に開催されました。ファイナルステージはシスコ六本木オフィス会場とWebexを利用し、ハイブリッドで開催。ネットワーキング事業 執行役員 高橋による開会挨拶で幕を開けました。

ITを取り巻く環境が大きく変化し、日々テクノロジーの進化が続いている中で、日本のお客様やパートナー企業、学生の皆様が次の時代を切り拓くための新しいチャレンジに積極的に取り組まれている姿を大変心強く感じていること、皆様がご多忙の中、熱意を持って作品開発に取り組んでいただいたことへの感謝の気持ちが述べられました。

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会場にはファイナリスト7チームのメンバーと所属企業や学校からの応援団の皆様、そして惜しくもファイナルステージ進出を逃したチームからも一部ご参加いただき、約50名の参加者が集い、Webexには約340名の聴講者がファイナリスト達の熱い決戦を見守っていただきました。

ファイナリストには、10分間のプレゼンテーションタイムとファイナル審査員からの5分間の質疑応答タイムが設けられています。

ファイナルステージの審査は 6名のCisco社員により厳正な審査が行われました。以下の 5つの審査基準に基づいて評価します。

    1. シスコ製品の効果的な利用
    2. 独創性・先見性
    3. 社会貢献性
    4. ユーザビリティへの配慮 (UI/UX)
    5. ビジネスへの発展性

これまでファイナルステージの審査員は日本人のみで構成されていましたが、今回はアジアパシフィック地域のオーストリアから Nairi をファイナル審査員として招きました。これは、Cisco Japan としては新たな試みで、日本国内にとどまらず、海外へとイベントの価値を広げ、貴重なグローバルの視点を取り入れることができたのは大きな意義があります。日本の視点とグローバルの視点を取り入れたファイナル審査となります。

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(左から)Director Solutions Engineering Nairi Adamian / ネットワーキング事業 SE 本部長 髙田 和夫 / 執行役員 ジャパンデジタル推進担当 福永 靖 / プリンシパルエンジニア 生田 和正 / マネージャー カスタマーデリバリー 渡邉 夕紀子 / リーダー ソリューションエンジニアリング 東 佳奈

 

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どの審査員も大変真剣な表情で、かつ楽しみながら、ファイナリスト達のプレゼンテーションに耳を傾けていました。発表後の質疑応答もすべてのチームで活発に行われました。

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それではファイナリスト7チームによるファイナルプレゼンテーションの様子と作品概要をご紹介します!

なお、こちらで紹介する作品については、あくまで本コンテスト向けの作品として開発されたものであり、実際に各チームから商品やサービスとして提供されているものではございませんのでご了承ください。

(発表順番は事前にルーレット抽選で決定した順番で発表いただきました)

 

1. チームプレアデス(株式会社SUBARU): “MOMIJI (Monitoring Optimization with Meraki & Intelligent Justification Integration)”

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  • サーバールーム運用の高コスト・作業負荷・ヒューマンエラーといった課題解決のため、IoTとAIを活用した自動化システムを開発し、Meraki MVシリーズカメラやMTシリーズセンサーによるサーバーLEDのAI自動判定や人物・生体検知、入退室人数の自動カウント、温湿度・電力などの環境データのリアルタイム取得を実現
  • 複数のセンサーやカメラから収集したデータはMicrosoftのプラットフォームに蓄積され、ダッシュボードで一元的に可視化・管理されているため、即時の状況把握や異常検知、通知も自動化され、人的リソースの負担軽減や運用コスト削減、スタッフの業務効率向上に貢献

質疑応答では、生成AI活用時の情報の正確性や実環境での運用課題について質問がありました。今後はAIによる高度なデータ分析や予兆検知機能の追加、SplunkやITSMなど外部サービスとの連携、さらにはビルの入退室管理や立ち入り禁止区域の管理など幅広い応用も視野に入れているとのことで、さらなる機能拡充や外部サービスとの連携による応用展開が非常に期待される作品です。

2. NOS/NOP合同チーム:Project One (ネットワンシステムズ株式会社, ネットワンパートナーズ株式会社): “新しい学びのかたち EduLink 360″

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  • 地方と都市の教育機会格差を解消するため、最先端テクノロジーを活用した教育支援ソリューション「EduLink 360」を開発。少子高齢化や地域人口格差による教育機会の偏りや学校減少といった社会課題に着目し、誰もが平等に学べる環境づくりを目指した作品。
  • ロボット(LogiBody)を通じて都市部の専門教員が地方の教室にアバターとして参加し、リアルタイムな遠隔授業や体験学習を提供する仕組みを構築
  • クラウド型学習プラットフォーム(StudyCloud)を通じて、授業録画・自動文字起こし・AIチャットによる疑問解決機能を提供し、Cisco WebexやWebex Board、Spaces、Meraki、Thousandeyes、Splunk、AI DefenceなどのCisco製品と連携することで、遠隔授業の円滑な実施や通信環境・端末・ネットワークの可視化と安全性確保も実現

質疑応答では、義務教育課程の体育や家庭科、作品提出など実技・体験型授業にどこまで対応できるかや、通信環境が良くない地域でも利用可能かというインターネット環境や通信速度の条件について質問がありました。今後はロボットやAI技術のさらなる活用により、より実践的かつ効果的な教育支援が期待され、教育機会の平等化と質の向上に大きく貢献することが期待される作品です。

3. TS-IaCチーム(株式会社トヨタシステムズ): “AI×自動化で変えるネットワーク構築”

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  • A少子高齢化によるIT人材不足という社会課題の解決と、エンジニアが戦略的業務に注力できる環境づくりを目指し、実効性と実用性の高い自動化システムを開発。AIと自動化を活用し、ネットワークインフラ構築の効率化システムを開発し、ネットワーク構築における「事前調査」「設定変更」「資料更新」といった定型業務の自動化に取り組む。
  • CatalystシリーズやNexusシリーズで構成された建屋を想定し、AIエージェント(Gemini CLI)とCatalyst Center/Netboxを連携するMCPサーバおよびGitLabを構成することで、自然言語によるネットワーク情報の一括取得・自動設定変更・最新構成情報の自動反映を実現し、1作業あたり5.25時間、年間で約500時間(エンジニア6人分)の業務削減が見込まれる

質疑応答では、MCPサーバの運用負担や品質管理、ジョブ失敗時のリカバリープランについて質問がありました。今後は多様な機器・作業への対応や、ServiceNowやZabbixなど外部運用基盤との連携、開発者・利用者双方に優しい基盤構築を目指されており、現場の実務に密着した実用的なシステムとしての本格運用が期待される作品です。

4.  NKC-GoTech (名古屋工学院専門学校): “見守り君 老人ホーム待機者増加に対する新たなアプローチ”

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  • 日本の高齢化社会における介護人材不足の課題に対応するため、「見守り君」システムを開発。転倒リスクの高い場所にMeraki MTセンサーやMVカメラを設置し、人体検知データをMQTTで送信、転倒が継続的に検知された場合のみアラートを発信して誤検知を減らす工夫を実施。
  • 収集されたデータはMerakiクラウドやAWSのサービスを経由して家族や施設管理者に通知され、Webexチャットやダッシュボードでリアルタイムに状況を確認可能。
  • 今後は、高齢者同士の見守り合いを目指した地域社会の形成、Webex Instant Connectによるワンクリックビデオ通話機能、スマートウォッチ連携による健康データ活用、ケアプラン提案や事故検知精度向上を目指す。

質疑応答では、類似システムとの独自性やITリテラシーを考慮した使いやすさ、ビジネス化において想定される事業体系や運用体制について質問がありました。学生が社会課題に取り組み、創意工夫を重ねて開発したこの作品は、介護分野に新しい可能性をもたらすものであり、今後の展開が大いに期待されます。

5.  順天堂大学応用数理研究室 (順天堂大学): “Web会議×健康経営×ノンテクニカルスキル チームの鼓動と空気を測る可視化ツール TeamPulse”

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  • リモートワークやハイブリッドワークが普及する現代において、ノンテクニカルスキルの評価とメンタルヘルス管理が重要視されており、主観的なばらつきを減らし、早期変化の発見や全体把握を支援するソリューション。
  • Webexなどのオンライン会議やチャットの音声・テキスト・映像データをAIで分析し、声のトーンや話し方、文章の心理的傾向、表情や仕草からノンテクニカルスキルやメンタルヘルスの状態を推定、数値化して評価する可視化ツール「TeamPulse」を開発。
  • 特別な操作は不要で、普段通りWebexでミーティングを開始するだけで利用でき、ミーティング後にAIによる自動分析結果がボットから届き、ユーザーは自己振り返りが可能。また、経営者や管理者はダッシュボードでチームや個人の状態をグラフで直感的に把握可能。

質疑応答では、実際のビジネス現場でもノンテクニカルスキル評価やメンタルヘルス管理が重要だと認識とされているといったフィードバックや、ビデオオフ時の評価方法、プライバシー保護、データ安全性などについて質問がありました。学生の大学での研究知見とCisco Webexを融合して開発されたこの作品は、教育現場やビジネス現場でのチームマネジメントや健康経営の発展に大きな期待が寄せられます。

6.  ネットケアサービスDev活同好会 (株式会社 ネットケアサービス): “Netomo 総合ネットワークパーソナリティ AIでネットワークをもっと身近に”

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  • AIを活用したネットワーク運用支援システム「Netomo 総合ネットワークパーソナリティ」を開発。ネットワーク状況を「友達」のように親しみやすいAIパーソナリティを通して日常的な対話で把握できる仕組みを実現。キャラクター性を持たせて心理的ハードルを下げた点が特徴であり、単なるAI要約にとどまらず、ネットワーク運用の新しいアプローチを提供。
  • AIとAPIを活用して動的に必要なデータ取得や実行行動を生成し、成長・学習する機能、異常や不調の検知、分かりやすい通知や提案を実現することで、非エンジニアでも直感的に運用状況を理解できるようにし、人材不足やセキュリティリスク、運用コスト削減にも貢献。

質疑応答では、最終的な設定適用判断の根拠提示や信頼性向上の工夫について質問がありました。今後はAIエンジンの多様化や音声・アニメーション活用によるインターフェースの親しみやすさ向上、システム変更の自動化や危険行為防止機能の強化、多様なCisco製品群とのAPI連携による多角的な運用支援を検討されており、今後の展開が非常に期待されます。

7. Super FNETS (富士通ネットワークソリューションズ株式会社): “MCPを活用したCO2削減ソリューション”

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  • 「世界の環境問題をITの力で解決する」という大きな目標のもと、CO₂排出削減を目指して「電力の最適化」と「給食のフードロス削減」の2つの側面から小学校での独自ソリューションを開発。
  • 電力最適化ではMCPとMeraki製品を活用して学校内の機器使用状況をAIで分析し、自動で電源オフスケジュールを設定。フードロス削減ではMeraki MVカメラで給食の食べ残しを撮影・AI分析し、食べ残しによるCO₂排出量も自動算出して子どもたちに分かりやすく伝えることが可能。自然言語やスマートスピーカー対応により教職員や児童も簡単に操作できる。
  • 約50台のアクセスポイント設置校で、電力最適化で年間約3.5トン、フードロス削減で年間約6トンのCO₂削減効果が見込まれる。

質疑応答では、実導入時のスケーラビリティや小学生向けユーザインターフェースの工夫について質問がありました。子供たちの早期環境教育の促進や持続可能な社会づくりに貢献するソリューションとして、今後の発展や実ビジネスへの展開が大いに期待されます。

いよいよ結果発表 - 表彰式 –

7チーム全てのプレゼンテーションが終わり、最終審査へ!どの作品も素晴らしく、ファイナル審査員が大変頭を悩ませている審査時間中には、参加者の皆様には、今回ファイナルステージに進出できなかったチームも含めた全チームの提出作品の概要をまとめたショート動画をお楽しみいただきました。

最終審査の結果はこちらです!受賞チームの皆様おめでとうございました!!

-グランプリ- Super FNETS (富士通ネットワークソリューションズ株式会社): “MCPを活用したCO2削減ソリューション”

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-審査員特別賞-  TS-IaCチーム(株式会社トヨタシステムズ): “AI×自動化で変えるネットワーク構築”

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-審査員特別賞- NOS/NOP合同チーム:Project One (ネットワンシステムズ株式会社, ネットワンパートナーズ株式会社): “新しい学びのかたち EduLink360″

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また今回は、惜しくも受賞には至らなかった4チームにも、その素晴らしい創造力と情熱を称え、賞品が贈られました。

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約3時間にわたる熱戦は、Director of Solutions Engineering  Nairi による閉会の挨拶をもって幕を閉じました。

Nairiは、多くの素晴らしい作品や、参加者の皆様の高いクリエイティビティに感銘を受けるとともに、単なる技術の活用にとどまらず、創造力を発揮して現実の課題解決に挑戦されている点に深く感心していました。また、「情熱を持ち続け、今後も新たなソリューションを生み出してほしい」と激励し、これまでの成果に誇りを持ってほしいこと、そして今後のさらなるご活躍にも期待していると締めくくりました。最後に、会場およびWebexからご参加いただいた皆様や運営スタッフへの感謝の言葉が述べられ、温かい雰囲気の中でイベントは幕を閉じました。

閉会後は、ささやかながら懇親会を開催させていただき、参加チームの皆様が互いの健闘を称え合うと共に開発過程や作品への思いを語り合うなど、大いに盛り上がりました。Cisco社員にとっても、皆様と交流できた貴重で楽しいひとときとなりました。

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改めまして、第4回 Cisco D-1グランプリにご参加いただいたすべてのチームの皆様、ご関係者の皆様、ご支援いただいた皆様、本当にありがとうございました。

当日のプレゼンテーションは、どのチームも熱意とエネルギーに満ちており、非常に素晴らしい内容ばかりでした。初参加のチームも多く、参加の輪が着実に広がっていることを実感できたのは大きな喜びです。毎回ご参加いただいている常連チームの皆さまにも、心より感謝申し上げます。

次回開催についてはまだ未定ですが、Cisco Japanはこれからも「プログラマビリティ」「API」「自動化」を軸に、ネットワークやアプリケーション、ビジネスの枠を超えたイノベーションを共に探求し、技術者が互いに刺激し合いながら成長できる場を提供していきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

Authors

小川 奈夏

ソリューションズエンジニア

西日本ソリューションズエンジニアリング

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