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やわらかいインフラ for SP-2030編 (5) –次世代のネットワークを可能にする NetCo – Network as a Platform

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近年、通信事業者のビジネスモデルは大きな変革期を迎えています。従来の「ネットワークインフラ提供者」から「ネットワークを活用した価値創出」にシフトする動きが加速しています。なかでも、サービスプロバイダーのビジネスモデル変革における中心概念として注目されているのが NetCo(= Network Company)です。今回はその要素を掘り下げて説明します。

NetCo – Network as a Platform

NetCo とは?

NetCo とは、ネットワークをサービスとして提供し、パートナーや企業がその上で価値を生み出せるようなプラットフォームを構築することを意味します。垂直統合型であった従来の通信事業から脱却し、ネットワークをオープン化して、外部のサービスプロバイダーとの連携による新たなエコシステムを実現することを目指しています。

NetCo によってネットワークの運用・管理が高度に自動化され、API を介した柔軟なサービスの提供が可能になります。そして通信事業者は、従来の回線提供だけでなく、ネットワークを基盤とした新しいビジネス機会を創出できるようになるのです。

NetCo によるビジネスモデルとメリット

NetCo を活用したビジネスモデルを確立するためには、ネットワークを所有して管理する通信事業者が、サービスプロバイダーや企業に対して「ネットワーク利用の自由度」を提供することが求められます。これにより、以下のようなメリットが生まれます。

  1. 収益の多様化:回線提供だけでなく、ネットワーク機能の提供をサービス化し、新たな収益源を確保できる。
  2. オープンイノベーションの促進:API を提供することで、クラウド企業やアプリ開発者と協業しやすくなる。
  3. 運用コストの削減:自動化と仮想化の活用して、運用・管理コストを削減できる。

 

NetCo がもたらす未来

NetCo の概念は、特に 5G や将来の 6G 時代において重要になります。たとえば、低遅延・高信頼のネットワークを必要とする自動運転、スマートシティ、IoT プラットフォームの展開には、NetCo で具現化される Network as a Platform の考え方が不可欠です。

通信事業者がこのビジネスモデルへシフトすることで、ネットワークの役割は単なるインフラ提供から、デジタル社会の基盤へと進化していくでしょう。

NetCo を実現する基盤技術

ここまで NetCo がサービスプロバイダーのビジネスモデル変革において重要な概念であるかを説明してきました。ところで、NetCoを実現するためには、アンダーレイネットワークにどのような特性が必要とされるでしょうか? NetCo では、API を介して上位レイヤから発行されるサービス提供要求に対して迅速かつ柔軟に応えなければならないため、これまで以上に広帯域、低コスト、かつシンプルなアンダーレイネットワークを構築することが必要です。つまり “やわらかいインフラ” です。これを実現するための基盤技術の1つが、シスコが提唱する RON (Routed Optical Network) です。

RON とは

RON(Routed Optical Network、ルーテッド オプティカル ネットワーク)は、IP ネットワークと光伝送ネットワークを統合することで、シンプルかつ効率的なネットワーク構築を実現する技術です。従来のネットワークでは、光伝送(DWDM など)と IP ルーティングが別々のレイヤで管理されていました。RONはこれらを統合し、シンプルでスケーラブルなアーキテクチャを提供します。

Routed Optical Network

RON を適用したネットワークインフラによって、ルーターのキャパシティ増加に加えて、オプティカルレイヤのシンプル化による  Gbps  当たりの劇的なコスト低減が期待できます。Ciscoの試算では、最大で57%の OpEx 削減、35%の CapEx 削減、結果として46%の TCO 削減[1]が可能です。この圧倒的なコスト低減メリットによって、従来のモデルでは実現困難だった均質なアンダーレイネットワークの全国展開が可能になります。また、次世代のネットワークサービスにおいて必要となるエンドツーエンド SP ファブリックを実現するための基盤の構築にもつながります。

最後に

今回はサービスプロバイダーのビジネスモデル変革において中核となるNetCoを紹介し、これを実現するための基盤技術の1つであるRONについて説明しました。次回はこの広帯域、低コストかつシンプルなアンダーレイネットワークを柔軟かつ迅速に活用するためのコンセプトである「ネットワーク仮想化 – エンドツーエンド SP ファブリック」について説明します。

[1] https://www.cisco.com/c/dam/en/us/solutions/collateral/service-provider/routed-optical-networking/white-paper-sp-acg-400g-ip-transport.pdf

 

やわらかいインフラ ホワイトペーパー SP 版
2030 年を見据えたSPインフラの理想像[PDF-7.3MB]

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Authors

高間 修

Customer Delivery Architect

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