この記事は、シスコ コーポレート コミュニケーションのディレクター David McCulloch によるブログ「As Cisco Intercloud Turns One, Two of its Architects Reflect On How The Strategy Was Born」(2015/3/25)を意訳したものです。
シスコのデベロップメント&セールス担当プレジデント、Rob Lloyd とクラウド担当シニア バイス プレジデント、Nick Earle との Q&A
1 年前、シスコは、10 億ドルを投資して世界最大の Intercloud (シスコとパートナーのグローバルなクラウド ネットワーク)を構築すると発表しました。1 周年を迎えるにあたり、「Intercloud のアーキテクト」である米国シスコのデベロップメント&セールス担当プレジデントの Rob Lloyd とクラウド担当シニア バイス プレジデントの Nick Earle に、アイデア誕生の経緯と、この 1 年間の活動について聞きました。
David McCulloch:2014 年前半、シスコがクラウド戦略を進化させる必要があった理由は?
Rob Lloyd:2013 年後半、シスコの SaaS とクラウド関連のテクノロジーの売上は拡大を続けていましたが、新たなクラウド モデルに対する需要も発見しました。それはハイブリッド クラウド モデルです。データ プライバシーや業界規制への準拠を考慮し、幅広いクラウド プロバイダーの選択肢や、地域や国のクラウド オプションへのアクセスなど、お客様の既存の IT 投資を補強することを目指しました。セキュリティ、ポリシー、およびアプリケーション パフォーマンスを高レベルに管理、運用できる包括的なハイブリッド クラウド戦略によって、こうした選択肢やオプションを提供できれば、大きなビジネス チャンスになると考えたのです。
DM:Cisco Intercloud の始まりですね。そのアイデアはどのようにして生まれたのですか。
Rob:シスコのエグゼクティブが集まって年に一度開催される会議の数週間前、私と、Nick Earle、Edzard Overbeek(シスコ サービスの責任者)、Jim Sherriff(Chief of Staff)は、お客様が求めるハイブリッド クラウド戦略を提供するにはどうすればよいかを話し合いました。シスコには数々のバリューの高い資産があります。たとえば、シスコ アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)は、複数のクラウドで一貫したセキュリティとポリシーを実現します。Intercloud ファブリックは、クラウド間におけるワークロードのポータビリティを可能にします。そして、データセンター用の統合アーキテクチャ製品は、すでに市場をリードしていました。しかし私たちは、シスコ パートナーのグローバルなエコシステムを最大限に活用すれば、さらに前進できるのではないかと考えました。シスコとパートナーの強みを組み合わせ、すばやく行動に移すことができれば、現在のクラウド モデルを変革して、ハイブリッド クラウド ソリューションの分野でリーダーシップを取ることができるのではないかと考えたのです。
DM:話し合いの場では、何にアイデアを書き込みましたか? ホワイトボード? ノート? それともペーパー ナプキン?
Nick Earle:もちろん、ホワイトボードです。私たち 4 人は、Rob がこれまでの出張で集めた記念品でいっぱいの会議室、「コウモリの洞窟」のホワイトボードに、現在のパートナー、テクノロジー、およびサービスから成るエコシステムの図を描き始めました。最初のスケッチでは、シスコ データセンターで稼働しているアプリケーションに、パートナーやお客様がリモート アクセスしている図を中心に描きました。しかし、これには拡張性の問題がありました。Internet of Everything(IoE) によって生まれる課題にもチャンスにも、グローバル、ローカルいずれの規模でもサポートできる企業は、シスコを含め 1 社も存在しないことがわかりました。
DM:他にアイデアは出なかったのですか。
Nick:私たちは最初からやり直しました。今度は私たち自身を図から外し、お客様の観点からすべてを描くことにしました。ベンダーやクラウド プロバイダーに関係なく、お客様が求めるシームレスなハイブリッド クラウド エクスペリエンスを提供するにはどうすればよいかを考えました。これが突破口になりました。エコシステムの各要素に、緑のドット(点)を追加し、グローバルなクラウド ネットワーク図を描き直しました。緑のドットは、クラウドの連携を実現する、セキュアでオープンなテクノロジーを表しています。そのうち、これらに一定のパターンが現れ、「これだ」と閃きました。その際、このアイデアには名前がなかったので、「緑のドット戦略」と呼び始めました。
DM:「緑のドット戦略」がどのように「Cisco Intercloud 戦略」になったのでしょう。
Rob:私たちは、お客様のためにこの戦略を一刻も早く実行に移したい、と考えました。まずは、必要となる機能をすべてリスト アップし、シスコのテクノロジーを当てはめていきました。ハイパーバイザに依存せずにアプリケーションをセキュアに配信するには Intercloud ファブリック、アプリケーション ポリシーを他のクラウドに拡張するには、ACI、何十億もの新たなデバイスやデータに対して、ネットワーク エッジでリアルタイムなデータ分析を行うためには、Cisco Data Virtualization、といった具合です。あらゆる国にデータセンターを設置し、グローバルにデータを扱う権限や市場投入の優位性を確保するために必要となる広範なパートナー エコシステムは、すでに構築されています。こうして、戦略に必要なものはすべて手中にあることに気付きました。そして、この戦略を「DevOps」のスピードで立ち上げるために、すばやく行動する必要がありました。
DM:そして、実際、シスコはすばやく行動に移し、 ラスベガスで開催されたパートナー サミットの 56 日後には Intercloud 戦略を発表しました。しかし、それは実際には始まりに過ぎませんでした。
Rob:すべては初の Intercloud アライアンス パートナーである Telstra から始まりました。しかし、いったんシスコのパートナー エコシステムがこのコンセプトを把握すると、急速に理解が広まり、多くのフィードバックがありました。発表から 1 年が経った今、私たちはあのホワイトボードに描いた「緑のドット」の多くを埋めました。Intercloud アライアンス、エコシステム、クラウド プロバイダーのパートナー企業を 60 社集め、50 ヵ国に 400 のデータセンターを設置しました。この勢いは今も衰えていません。
先週、ドイツの CeBit で DT と合同の新たな Intercloud サービスを発表しました。私は、クラウド リカバリ サービス、SAP、パブリック クラウドに関する専門知識を活用して SunGard Availability Services が収益を生み出しているのを確認し、Intercloud によって市場投入期間が実際に短縮されているのを知りました。
このような前進を目の当たりにし、私たちが生み出したアイデアは、本当の変革を推進できることを確信しました。考えてもみてください。この分野で最も有名な企業が 9 年かけて構築したサービス機能を、シスコはたったの 9 ヵ月で実現したのです。
DM:この次の展開はどうなるのでしょう。
Nick:次の展開どころか、 今はまだ 戦略の第 1 段階にすぎません。将来的には、何百ものクラウド サービス プロバイダーと何千ものサービスを投入する予定です。これにより、シスコのお客様とパートナー企業が業界最高のクラウド サービスのポートフォリオを利用できるようになります。次は、Telstra、Deutsche Telekom、および今後発表予定のアライアンス パートナーとともに、これらのサービスをグローバルに拡張することです。最終的には、世界最高レベルのグローバルなクラウド サービス システムを構築する予定です。このシステムは、シスコ以外の環境においても、ワールドクラスのセキュリティ、可視化、制御、分析機能を利用した、サービスのオーケストレーションと管理が可能です。今夏にはさらに詳しい内容をお知らせできる予定です。
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