この記事は、AppDynamics のプロフェッショナルサービス担当ソリューションアーキテクトである Peter Bujnaによるブログ「Unlocking Insights and Visibility Into TIBCO With APM Software」(2018/10/25)の抄訳です。
世界中の金融機関が、業務を円滑に進めるために TIBCO を利用しています。ここでは、潜在的な問題に対応し、問題を特定し、可能な限り迅速に解決策を実装する方法をご紹介します。
TIBCO Software 社は、統合、API 管理、分析のグローバルリーダーです。最近も、2018 年の Gartner Magic Quadrant フルライフサイクル API 管理部門のレポートで 4 年連続でリーダーに選出されています。アプリケーション統合における同社の長年の強みは、エンタープライズ サービス バス(ActiveMatrix BusinessWorks)、メッセージ指向のミドルウェア(Enterprise Message Service、FTL)、アプリケーションや他のプラットフォーム用の既製のアダプターにあります。
TIBCO は、リアルタイムの分析とオペレーション インテリジェンスを提供します。具体的には、プロセスインテリジェンスを提供するビジネス アクティビティ モニタリング(BAM)機能(AMX BPM に搭載)、ビジネスインテリジェンスを提供する BAM 機能、視覚的なデータ検出と予測分析機能(Spotfire and R に搭載)、ビジネスルールの処理機能(AMX Decisions に搭載)、データストリーム分析用の 2 つの CEP プラットフォーム(BusinessEvents と StreamBase)などです。
クリティカルな銀行業務とインフラストラクチャの依存関係には信頼性が必要
世界中の大手金融機関が、オンラインバンキング、住宅ローン、決済などの重要なプロセスに TIBCO 社のテクノロジーを利用しています。TIBCO のシステムがダウンすれば、銀行の顧客は住宅ローン情報の入手や資金の借り入れができなくなるばかりでなく、請求書の支払いさえ不可能になります。実際、TIBCO のシステムを稼働させ続けることは、至上命題です。TIBCO ユーザーにとって同じくらい重要なのは、問題を特定し、解決策を提供し、潜在的な問題に可能な限り迅速に対応することです。
より多くのインサイトを獲得
TIBCO の製品ラインは非常に強力ですが、多くの中小規模のビジネスプロセス管理(BPM)プロジェクトで使うには複雑であり高コストにつながる場合があります。企業は通常 TIBCO テクノロジーのコードの中を見ることはできないため、TIBCO はブラックボックスになってしまう可能性があります。私自身、キャリアを通じてそうした例をかなり目にしてきました。ユーザーがエンタープライズ環境の統合プロジェクトを作成する際、コードを直接見ることはなく、TIBCO Designer という GUI を使用するのが一般的です。幸い、アプリケーション パフォーマンス管理(APM)ソフトウェアを使えば、TIBCO が内部でどのように機能しているかを監視することで性能のインサイトが得られます。
TIBCO のように非常に複雑なものをモニタリングする場合には、適切な計画が必要です。最初に行うべきなのは、最も重要な要素を特定することです。このため、まずは TIBCO 側で最も重要なビジネスフローを特定し、APM 側では最も重要なビジネストランザクションを定義することに注力するとよいでしょう。次に行うべきなのは、TIBCO のワークフロー(顧客/ビジネスジャーニー)と AppDynamics のビジネストランザクション(環境内で必要なすべてのサービスで構成される主要なモニタリングコンポーネント)との関係のマッピングです(ビジネストランザクションの構成に関する考え方の詳細については、「AppDynamics で影響力のあるビジネストランザクションを識別する方法」を参照してください)。
マッピングを確立できれば、TIBCO ユーザーはパフォーマンスの問題を理解し、最終的に解決できるようになります。また、インフラストラクチャとアプリケーションの設定も最適化できるはずです。しかし、これはほんの序の口です。
ダッシュボードにリアルタイムにメトリックを配信
AppDynamics を使えば、リアルタイムの EMS メトリックと Java エージェントによって測定したメトリックを使いやすいダッシュボードに並べて表示し、比較することができます。そうすることで TIBCO のモニタリング機能が強化され、TIBCO のパフォーマンスに関する有用なインサイトが得られます。この機能を利用するためには、AppDynamics の TIBCO EMS モニタリング拡張機能を構成し、TIBCO EMS サーバーへのアクセスを許可する必要があります。次に、マシンエージェントがこの拡張機能を使用し、EMS サーバーから AppDynamics にデータを直接フィードするようにします。これで、EMS サーバーのデータを Java エージェントによって提供されるリアルタイムメトリックの隣に並べて表示できます。
アラート機能の利用
もちろん、優れたダッシュボードでメトリックを表示できるだけでなく、何か問題が発生したときにアラートで把握できる必要もあります。そこでおすすめしたいのが、AppDynamics の Health Rules 機能の利用です。この機能は、動的ベースラインを利用してパフォーマンスのしきい値を設定し、ビジネストランザクション用に構成するというものです。ルールを定義して構成しておけば、準備は完了です。AppDynamics は、潜在的な問題を検出すると Health Rules をトリガーして通知を送信します。これにより、数回クリックするだけでビジネストランザクションのスナップショットを調べられるようになります。また、極端な負荷がかかっている状況でも、すべての異常についてコードレベルの詳細情報を入手できます。このように、AppDynamics の 3 クリックドリルダウン機能を使うことで、TIBCO ユーザーは非常に短期間で問題を特定することができます。
TIBCO については、内部の仕組みを理解することは全く不可能とは言わないまでも困難であり、企業にとっては多くの点で依然としてグレーエリアのままです(前述のように、TIBCO 管理者は内部コードを見ることはなく、GUI ベースの TIBCO Designer を利用します)。AppDynamics のモニタリング機能を使えば、TIBCO が舞台裏でどのように機能しているかについてより多くのインサイトを得られるようになります。これにより、ユーザーは、自社で構成した内容が TIBCO の内部動作にどのように結び付けられているかについて理解を深められます。TIBCO コードエラーの表示はユーザーにとっては無意味なものですが、TIBCO サポートにとっては有益な情報であり、問題解決までの平均時間を短縮できる可能性があります。
概要
サービスのバックボーンとして TIBCO を使用している企業にとって、クロスアプリケーション フロー ビューは、どのアプリケーションが TIBCO と通信しているかを確認するのに非常に便利です。以下のスクリーンショットは、TIBCO ユーザーの環境を AppDynamics で実用的なグラフィックの形で表したものです。*
AppDynamics は、TIBCO のワークフローを直感的な図で表すことができます。たとえば 1 つ以上のビジネストランザクションに変換された TIBCO のオペレーションについて、それぞれの状態を図で示すことができます。
上の図は、また少し異なるビューで、通常の APM データに基づくビジネスに焦点を当てたものです。なお、ファネルグラフや、多数の一意のトランザクション、各トランザクションの完全なエンドツーエンドの期間を表示できる、より詳細なビジネスに焦点を当てたダッシュボードが必要な場合もあるかもしれません。もちろん、実現可能です。AppDynamics Business iQ を使用すれば、ここに挙げたすべてを表示できるだけでなく、それ以上のことも可能になります(AppDynamics のビジネスジャーニーを使えば、統合されたエンドツーエンドのアプリケーションビューが使えるようになり、複雑なビジネスの問題を解消できます。その仕組みについては、こちらをご覧ください)。
グローバルな金融機関は、業務を効率的に進めるために TIBCO のリアルタイム分析とオペレーション インテリジェンスを利用しています。また同時に、TIBCO はブラックボックスになりがちです。自社環境についてコードレベルのインサイトを得て問題を迅速に解決できる、強力な APM ソリューションが必要となります。
* この記事に示されているすべてのスクリーンショットは TIBCO を可視化した場合のイメージであり、実際の環境で取得したものではありません。
Peter Bujna
Peter Bujna は、AppDynamics プロフェッショナル サービス チームのソリューションアーキテクトです。現在の役職に就く前は、ドイツの RWE Supply & Trading 社で AppDynamics シニアコンサルタントや DevOps シニアコンサルタントを務めたほか、ドイツと英国のさまざまなプロジェクトに従事していました。