Cisco Japan Blog

シスコと Intel:Intel Connectivity Analytics により、ワイヤレスクライアントに対する次世代の可視性を実現

1 min read



この記事は、Enterprise Networking Group の Technical Leader である Shreyas Trivedi によるブログ「Cisco and Intel: Next-Gen Wireless Client Visibility with Intel Connectivity Analytics!popup_icon」(2021/12/15)の抄訳です。

共同執筆者:Richard JangIBNG テクニカル マーケティング エンジニア)、Nilesh DoshiAP SW シニアマネージャ)

エンタープライズレベルのワイヤレスネットワークを管理していくことは、たとえネットワーク側の配備が完璧に設計されていたとしても、一筋縄ではいきません。問題となるのは、ネットワーク管理者がクライアント側のアクションを制御できないことです。そのようなアクションには、古いワイヤレスドライバへのアップデート、ハードウェアの問題、奇妙なローミング判断の実行、想定している RF カバレッジ境界からの移動などがありますが、これらに限定されるわけではありません。これらは日常的に発生するものであり、原因を特定するのは困難です。特に、モバイルデバイス管理エージェントをワイヤレスクライアントにインストールできない環境では困難を極めます。しかし、Intel Connectivity Analytics の登場で状況は変わりました。

Intel Connectivity Analytics のご紹介

シスコと Intel は、新しい分析ソリューション、Intel Connectivity Analytics を発表しました。これは、最新の Intel ドライバとワイヤレスチップセットを使用し、シスコのサポート対象ワイヤレスネットワークに接続されているすべてのクライアントについて、クライアント側の詳細な分析情報をドライバレベルで提供するソリューションです(SW/HW の互換性マトリックスについては、Intel Connectivity Analytics FAQpopup_icon を参照してください)。

Intel Wi-Fi 6/6E チップセットが市場シェアの大半を占める企業向け PC 業界は、このソリューションによって大きな影響を受けます。Intel のワイヤレスドライバに直接組み込まれた Intel Connectivity Analytics の機能があれば、クライアント側にエージェントをインストールする必要がなくなり、企業以外の環境でも活用できるようになります。

Intel Connectivity Analytics は、単なるテレメトリではなく、ネットワーク管理者のトラブルシューティングを支援するインテリジェントなレポートを提供します。ネットワーク管理者はこのレポートを活用し、図 1 のユースケースに対処することで、非常に複雑なワイヤレス環境でも問題に対して次に何をすべきか判断し、ユーザーエクスペリエンスを最適化できます。

図 1:Intel Connectivity Analytics のユースケース

図 1:Intel Connectivity Analytics のユースケース

あらゆる問題を解決する 6 種類のインテリジェントなレポート

Intel Connectivity Analytics は 6 種類のレポート(図 2)をリアルタイムに生成します。これらのレポートは、ワイヤレスクライアントから AP、Cisco Catalyst コントローラまたは Meraki ダッシュボードの順で転送された情報に基づいて生成されます。Cisco Catalyst コントローラまたは Meraki ダッシュボードから図 1 に示したユースケースに直接対応します。

注:ステーション情報、ネイバー AP、機能不全 AP のレポートは、クライアントのアソシエーションで生成されますが、その他のレポートは当該状況が発生したときに生成されます。

図 2:Intel Connectivity Analytics で生成されるレポートの詳細

図 2:Intel Connectivity Analytics で生成されるレポートの詳細

古いドライバの特定、新しいドライバの検証、ハードウェアの問題の特定:

「ステーション情報」レポートは、従来のテレメトリでは得られなかったドライバレベルのクライアント情報をネットワーク管理者に提供します。ネットワーク管理者は、この詳細な情報を基に、Wi-Fi 接続が不安定なクライアントが使用しているソフトウェアドライバやハードウェアモデルなどの仕様を特定し、対応範囲を絞り込むことができます。

図 3:Intel Connectivity Analytics を使用したハードウェアの問題の特定

図 3:Intel Connectivity Analytics を使用したハードウェアの問題の特定

図 4:Catalyst 9800 コントローラに表示されるステーション情報(デバイス分類 WebUI 出力)

図 4:Catalyst 9800 コントローラに表示されるステーション情報(デバイス分類 WebUI 出力)

古くなったワイヤレスドライバも、ワイヤレスエクスペリエンスの低下を引き起こす原因としてよく挙げられます。ステーション情報レポートがあれば、ネットワーク管理者は Catalyst や Meraki コントローラで情報を完全に把握できるため、ソフトウェアのアップデートを安心して開始することができます。

図 5:Client Connectivity Analytics による古いドライバの特定(左)と新しいドライバの検証(右)

図 5:Client Connectivity Analytics による古いドライバの特定(左)と新しいドライバの検証(右)

ローミングのトラブルシューティング:

クライアントがローミングする場合、それは完全にワイヤレスクライアント側の決定によって行われます。ネットワーク側からすれば、その決定の理由を知るすべはほとんどありません。しかし、 Intel Connectivity Analytics を使用すれば、理由コード(弱いRSSI 、11v の推奨事項、ビーコンの欠落、より良好な AP など)を含むクライアント側の情報が記載されたレポートを確認することができます。ネットワーク管理者はレポートの情報に基づいて、クライアントの不審なローミングが正当な理由によるものであったかどうかを判断できます。

図 6:Client Connectivity Analytics を使用したローミングのトラブルシューティング

図 6:Client Connectivity Analytics を使用したローミングのトラブルシューティング

図 7:Catalyst 9800 コントローラに表示される「ローミングシナリオ」レポートの CLI出力

図 7:Catalyst 9800 コントローラに表示される「ローミングシナリオ」レポートの CLI出力

接続不良の特定:

ワイヤレスクライアントの RSSI が一定のしきい値を下回ると、「弱いRSSI 」レポートが生成され、潜在的な不感地帯(カバレッジホール)があるという警告がネットワーク管理者に通知されます。警告が出た場合は、AP の送信出力を増やし、追加の AP を導入し、「弱いRSSI 」レポートがさらに生成されるかどうか監視することで、プロアクティブに対処できます。

図 8:Client Connectivity Analytics を使用した接続不良の特定

図 8:Client Connectivity Analytics を使用した接続不良の特定

正常に動作していない AP の特定:

Intel Connectivity Analytics のサポート対象クライアントは、AP がビーコンやプローブ、アソシエーション応答で無効な IE をブロードキャストしているかどうかレポートします。接続やセキュリティの問題を引き起こす懸念があるからです。その懸念があれば、「機能不全 AP 」レポートではパケットレベルでさらに詳細な情報が表示され、問題のある認証フレーム、アソシエーションフレーム、欠落している応答フレームが強調表示されます。

Intel Connectivity Analytics は、「未知の AP 」レポートで不正な AP の動作を検出することもできます。このレポートは、不正な BSSID(前に言及した「ネイバー」レポートに含まれていない BSSID)の特定とフラグ付けのために使用します。

図 9:Client Connectivity Analytics を使用した、正常に動作していない AP の特定

図 9:Client Connectivity Analytics を使用した、正常に動作していない AP の特定

図 10: Catalyst 9800 コントローラに表示される「未知の AP」 レポートの WebUI出力

図 10: Catalyst 9800 コントローラに表示される「未知の AP」 レポートの WebUI出力

ソリューションの仕組み

Intel Connectivity Analytics は、シスコ エンタープライズ ネットワーク側では Cisco Catalyst 9800 シリーズコントローラと Catalyst 9100 アクセスポイントのトポロジを使用します。コントローラは、WLAN ごとにデフォルトで機能が有効です。Intel Connectivity Analytics のサポート対象クライアントは、ドライバレベルのテレメトリデータをアクセスポイントに送り返します。そのデータが処理され、インテリジェントなレポートおよび分析情報としてユーザーに表示されます。

図 11:Intel Connectivity Analytics のトポロジ

図 11:Intel Connectivity Analytics のトポロジ

技術的にご理解いただくには、次の点が重要になります。

  1. Intel Connectivity Analytics のパケット交換はすべて、セキュリティ上の理由から PMF を使用して保護されます。
  2. IOS XE 17.6.1 以降で動作し、この機能が有効になっているシスコネットワークは、ビーコンフレームで Intel Connectivity Analytics 機能のサポートをアドバタイズします。
  3. サポート対象の Intel クライアントは、保護されたアクションフレームを介して定期的にテレメトリを検出し、転送を開始します。

このように、ネットワーク管理者は Intel Connectivity Analytics を使用することで、エージェントレスのパッケージでクライアント側のテレメトリデータをかつてないほどの詳細なレベルで確認できます。幅広いユースケースとDay 0要件が最小限であることを考えれば、これほど頼もしいワイヤレス分析ソリューションを活用しない理由はありません。Intel Connectivity Analytics で、ネットワークのワイヤレスエクスペリエンスを今すぐ次のレベルに引き上げましょう。

サポート対象の Intel HW/SW および詳細については、Intel Connectivity Analytics FAQpopup_icon を参照してください。

 

Catalyst 9100 シリーズ アクセスポイント

Cisco Catalyst 9800 ワイヤレスコントローラの詳細をご確認ください。

 

Authors

鈴木 美香

テクニカルソリューションズアーキテクト

システムズエンジニアリングエンタープライズネットワーキング

コメントを書く