この記事は、Data Centre の Product Management である Manish Agarwal によるブログ「New Cisco HyperFlex innovations: Software-only version, new Kubernetes, storage and edge solutions」(2020/11/09)の抄訳です。
現在、ハイブリッドクラウドへの移行の流れは着実かつ急速に進んでいます。IDC の予測では、世界中の企業の 90% 以上が 2021 年までにオンプレミス、専用プライベートクラウド、複数のパブリッククラウド、従来型プラットフォームを組み合わせてインフラスニーズに対応するようになるとされています。また、2023 年までには、企業向けアプリケーションの約半数がコンテナ化されたハイブリッドクラウド環境に導入され、さらに俊敏性が高まり、よりスムーズな導入と管理が実現するとされています。
2020 年には、世界中で一斉にテレワークへの移行が進み、デジタルサービスが企業と顧客の間の主要なインターフェイスとなったことにより、多くの組織においてハイブリッドクラウドへの移行が一気に加速しました。また堅実な戦略と、俊敏性、インテリジェンス、将来性を備えた最新型のオンプレミスインフラを含むソリューションアーキテクチャの価値に注目が集まりました。
ビジネスに成果をもたらす
Cisco HyperFlex の戦略は、3 つの重要なコンセプトに基づいています。それぞれのコンセプトは、IT部門の能力と、常時稼働が求められるデジタル世界で成功するためのビジネスのニーズとのギャップを埋めるために考慮されています。
第一に、IT チームは、Cisco Intersight などのクラウド運用プラットフォームを導入する必要があります。そうすることで、アプリケーションとインフラをハイブリッドクラウド環境全体でインテリジェントに可視化でき、最適化とオーケストレーションを実現できるからです。Cisco Intersight を導入すれば、IT チームの管理ポイントが一元化され、高度に分散されたすべてのインフラリソースを一貫して自動化できます。しかもパフォーマンスとコストに影響を与えるアプリケーションとインフラの相互関係をリアルタイムに分析、可視化できます。
第二に、IT チームは、場所や規模にかかわらず、予測可能な方法であらゆるアプリケーションを安全に提供できなければなりません。その第一歩は最新のオンプレミスインフラを導入することです。クラウドのような俊敏性を確保しながら、アプリケーションを迅速に提供して、差別化されたデジタルサービスを顧客に提供できるようになります。
第三に、拡張性と適応性に優れたインフラを導入することで、刻々と変化するビジネスニーズに適応できるプライベートクラウドを構築できるようになります。これにより、シスコのお客様は、アプリケーションの要件を満たすためにあらゆる次元で拡張することで、最新のデータセンターのユースケースだけでなく、最近注目を浴びているエッジのユースケースにも対応できます。
お客様のビジネス成果の達成をサポートし、HyperFlex のハイブリッド クラウド ユース ケースをさらに拡大するため、HyperFlex ポートフォリオを以下のような点で進化させ続けています。
ソフトウェア単体バージョンの HyperFlex を追加してお客様の選択肢を拡大
お客様に常に選択肢と柔軟性を提供することを重要視し、シスコ製品とテクノロジーパートナー製品の両方にまたがる幅広いオープンなエコシステムをサポートできるよう HyperFlex を設計してきました。そして今や HyperFlex アプライアンスには、ハードウェアとソフトウェアが緊密に統合されています。これによりシームレスなエクスペリエンスを提供しつつ、アプリケーションの種類や配置場所を問わず、パフォーマンスと拡張性を確保できます。
このたびシスコは、HyperFlex ポートフォリオのさらなる強化に向けて、ソフトウェア単体バージョンの HyperFlex を発表しました。新しい単体バージョンは、既存または新規の Cisco UCS サーバ、サードパーティサーバ、耐久性に優れた形状を含むホワイトボックス・サーバ、そして最終的にはパブリッククラウド上でHyperflexソフトウェアを実行する柔軟性を顧客に提供し、データセンター、エッジ、クラウドにわたって一貫したエクスペリエンスを実現します。
今後、シスコは「Cisco Validated」プログラムを拡張して、サードパーティ製サーバでも Cisco HyperFlex のテストと検証を行う予定です。これにより、サーバプラットフォームをさらに柔軟に選択できるようになるうえ、お客様が安心して導入できるシスコ認定ソリューションを提供できようになると見込まれます。
シスコは今後もアプライアンス製品の提供と拡張を続けていきますが、ソフトウェア単体バージョンの導入により、お客様の選択肢と柔軟性はさらに広がることになります。ソフトウェア単体バージョンは 2021 年中に提供することを目指しており、これが実現すると、シスコは業界で最も包括的なハイパーコンバージド インフラ ポートフォリオを提供できるようになります。
HXDP 4.5 における Kubernetes、ストレージ、エッジ関連の新機能
- クラウドネイティブ アプリケーション:HyperFlex Application Platform および Intersight Kubernetes Service は、実運用のクラウドネイティブ アプリケーション向けに使用できる統合型 Kubernetes プラットフォームとなります。この新しいプラットフォームに組み込まれているオープンソースツールのキュレーション機能、日常的なタスクの自動化機能、フルスタックのライフサイクル管理機能を利用することで、IT チームや DevOps チームは Kubernetes をさらに簡単に使用できるようになります。
- コンテナストレージサービス:Kubernetes Container Storage Interface(CSI)との統合がより緊密になり、コンテナ化されたアプリケーション向けのストレージ機能がさらに強化されます。
- iSCSIのサポート:HX データプラットフォームが持っている、パフォーマンス、ストレージ効率、復元力を HX クラスタ以外にも拡張できるようになります。iSCSI ターゲットが新たにサポートされるため、クラスタ内外のベアメタル、仮想化アプリケーション、またはコンテナ化アプリケーションで HXDP ストレージ機能を使用できるようになります。
- 新たなエッジ コンピューティング ソリューション:HyperFlex Edge 240 および HyperFlex Edge 240 SD が導入され、お客様のエッジの選択肢が広がります。HX Edge 240 では、より多くのディスクと GPU がサポートされているため、エッジでの推論処理などのユースケースにも対応できます。HX Edge 240 SD は、省スペース設計のコンパクトなソリューションです。
- データ保護とセキュリティの向上:ネイティブレプリケーション機能が新たに組み込まれ、複数のソースクラスタから同じ宛先のクラスタにレプリケーションのコピーを保存できるようになります。また、セキュアブート機能とセキュアシェル機能も導入され、信頼性の高い、より安全な環境を実現しています。
HyperFlex: 現状を刷新して未来をシンプルに
HyperFlex は、オンプレミスのプライベートクラウド、パブリッククラウドサービス、エッジコンピューティング環境にまたがる最新のハイブリッドクラウド運用プラットフォームとしてデータセンターの刷新に貢献し続けています。今回シスコがリリースする HyperFlex の新機能は、自動化機能、アプリケーション開発を加速するためのKubernetesサービス、コンテナ用ストレージサービスとの統合強化、新たなエッジソリューション、セキュリティの強化を実現するように設計されています。
2020 年の Forrester WaveTM ハイパーコンバージド インフラストラクチャ分野においてシスコがリーダーに選出されたことを大変光栄に思います。シスコは、ハイブリッドクラウド環境の最適化に必要なイノベーションをお客様に提供するというミッションを今後も積極的に進めていきます。
Cisco HyperFlex の詳細については、
https://www.cisco.com/c/ja_jp/products/hyperconverged-infrastructure/index.html をご覧ください。