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使い易くて奥深い ― Unified CCX の Desktop

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今回から何回かに分けて Cisco Unified Contact Center Express の魅力をご紹介していきたいと思います。Cisco Unified Contact Center Express(以下、Unified CCX)は、シンプルさ、使い易さを標榜するコンタクトセンター製品ですが、実は非常に高機能なのです。特に最新のメジャーリリースで、大規模向け製品である Cisco Unified Contact Center Enterprise で提供されていた Web ベース レポーティング UI や Web ベース CTI デスクトップが取り込まれたことで、より一層その魅力が深まったと思います。

今回は Unified CCX の Agent Desktop を取り上げます。

 

Finesse for Unified CCX

シスコでは、すべてのコンタクトセンター製品で CTI(Computer Telephony Integration)機能を標準装備しています。通常、エージェントは電話機にログインしますが、シスコのコンタクトセンター ソリューションでは、代わりに Agent Desktop と呼ばれる専用のクライアントアプリケーションにログインします。すると自動的に ACD(Automatic Call Distributor)のスキルにもログインして、着信を待ち受けるか拒否するかの ACD ステータスを Agent Desktop 上から変更できるようになります。さらに自分の電話機を Agent Desktop からリモート コントロールして、着信に応答したり保留・転送・会議等の呼制御を行うことができます。

Unified CCX は、この Agent Desktop をこれまで thick client 型で提供してきました。また、Agent Desktop を改造したり他のアプリケーションに組み込んで一体化させたりすることはできませんでした。

それが昨年 12 月にリリースされた Unified CCX 10.0 からは、従来型の Agent Desktop に加えて、Web 型の Agent Desktop である Finesse の提供が開始されました。Finesse は、Web ブラウザ上で動作する Agent Desktop ですから、インストールの手間がかかりません。また、従来型では画面表示言語としてシステムあたり一種類しか選択できませんでしたが、Finesse ではログインするエージェント毎に表示言語を選択できます。さらに従来型には全くなかった特長として、REST スタイルの API を備え、Agent Desktop 画面を独自にカスタマイズしたり他のアプリケーションに組み込んで一体化することが可能になりました。

つまり、より使い易く、しかも高度なカスタマイズにも耐える機能性も併せ持つようになったのです。

Finesse-agent-desktop

これは Finesse for Unified CCX のスクリーンショットです。

Finesse は標準のままでも発信者番号やコールフロー スクリプトによって、外部データベース等から取得した顧客の詳細情報を画面上に表示することができます。画面の中程にある灰色の部分が標準の呼制御 UI で、ちょうど顧客の氏名や住所が表示されています。表示のレイアウトは設定で簡単に変更できます。

Finesse は同じ画面上に様々なアプリケーションの画面をはめ込むことができます。これには Google が開発した OpenSocial API が利用されています。上の図のなかでは、 salesforce.com の画面がはめ込まれたタブが表示されていることがわかります。従来、コンタクトセンターのエージェントは業務を遂行するために PC 上にいくつものウィンドウを開いておく必要がありました。目的のウィンドウを他のウィンドウの下から「発掘」するのに、毎回何秒間も費やしていました。Finesse ではそうしたウィンドウをタブ状に整理でき、ウィンドウ間の行き来が簡単になったばかりでなく、必要な時に必要な画面をポップアップさせることもできます。

図は、発信者が IVR に入力した顧客番号を元に Finesse が salesforce.com の顧客詳細情報画面を自動的に開いたところを撮影したものです。このような画面ポップアップはプログラミングをしなくても Workflow と呼ばれる機能を設定することで実現できます。図の中では、様々の機能が起動されてにぎやかに見えるかもしれませんが、実は表示されている画面は API プログラミングなしに構築されています。高コストな開発を伴わなくても複数のアプリケーションを統合できる点が Finesse Agent Desktop の大きな魅力です。

Finesse REST API

Finesse の標準画面の裏には完全な API が隠されています。API を利用すれば、どのような画面構成も実現可能です。Finesse の API は HTTP 上に実装された REST と呼ばれるスタイルの API です。これはブラウザ上で実行される JavaScript から呼び出すのに適しています。しかし REST API はクライアントの実行環境にも依存しない API ですので、クライアントはどのようなものでも構いません。Thick クライアントでも、タブレットでも構わないのです。クライアントをプログラムする言語も実行する OS も自由です。

Finesse-2Ring

図は Finesse REST API を利用して Agent Desktop を Cisco Jabber の UI 画面上に実現した例です。Jabber 以外に画面を占有することなく Agent Desktop が組み込まれています。こんなことが出来るのは Finesse がクライアント環境に依存しない完全な API を備えているからです。

ここまでご紹介した Finesse の機能は、全て標準装備です。基本となるステータス制御や呼制御機能だけでなく、OpenSocial Gadget によるマッシュアップも Workflow も API も全て標準で提供されます。そして Finesse は Unified CCX でも Unified CCE でも利用できます。Unified CCX でコンタクトセンターをスタートし、将来規模が大きくなって Unified CCE へと移行することになっても Finesse に対する投資は無駄になりません。

次回は Finesse の Workflow 機能を掘り下げたいと思います。

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