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組織にとって最適なアプリケーション パフォーマンス モニタリング ツールを選定するための手引き

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この記事は、Cisco AppDynamics のB2B コンテンツのマーケティング担当 Adrienne Jack によるブログ「Choosing the Best Application Performance Monitoring Tools for your Organization: A Primerpopup_icon(2019/5/22)の抄訳です。

 

多すぎる APM ツールと、少なすぎる実践可能な分析情報に翻弄されていませんか? 多数のモニタリング製品をわずか 3 つにまで削減できる方法があります。ここでは、削減に向けて最初に検討すべき事項をご紹介します。

技術者が取り扱うアプリケーションの複雑化が進む中、アプリケーション パフォーマンス モニタリング(APM)ツールは企業に不可欠な存在となっています。サイロ化された各チームが異なるツールを複雑に利用するという状況を、すでに経験している組織もあるかもしれません。当然ながら、決して利用しやすさにはつながりませんpopup_icon

この状況に対する解決策は、全面的な可視化を実現するワンストップのソリューションです。必要な機能をすべて備えていて、今後数年間にわたって利用できるものです。それでは、今日の市場に出回っている数々の高度な機能のうち、本当に必要な機能は何でしょうか。

この記事では、自社のビジネスに適したツールセットを確立する上で検討すべき事項を取り上げます。まずは、俯瞰的に全体像を捉え、APM ツールソリューションの違いを明確にしましょう。

アプリケーション パフォーマンス モニタリング ツールとは

APM ツールpopup_iconは、アプリケーション パフォーマンス管理ソリューションを構成するコンポーネントです。各ツールを組み合わせて利用することで、多種多様な分析情報を得られ、ソフトウェアの正常な動作と可用性を確保できます。APM ソリューションには様々なモニタリングツールの組み合わせがありますが、最適なソリューションにはビジネスインパクト分析エンドユーザモニタリング人工知能という 3 種のツールが必要です。

そのようなソリューションの紹介にすぐ入りたいと思いますが、APM ツールの全体的な比較へと進む前に、いくつかの評価基準について説明します。

重要な 10 項目の検討事項

採用するソリューションの候補を絞り込んだら、どのソリューションがニーズに合致するかを以下の観点で確認します。

1)プログラミング言語のサポート状況

モニタリングの対象となるテクノロジーは、.NET、Ruby、PHP など、どのようなタイプのものでしょうか。開発者は、言語を追加できる柔軟性を備えたソリューションを必要としているでしょうか。

2)クラウドのサポート状況

使用するクラウドベースサービスは、どのクラウドプロバイダーが最適でしょうか。ここでは、普及率の高いプロバイダーについて簡単にまとめます。

 

利点 難点
Amazon Web ServicesAWS ほとんどの企業にとって柱となるプロバイダー(業界最古参であり、最も成熟)
一括販売による割引価格のパッケージ
必要となるインフラストラクチャの規模が不明な場合、わかりにくい価格体系
展開には経験豊富な IT 担当者が必要
Heroku 初めてでも導入しやすく設定
が容易自動スケーリングを
サポート
アプリケーションが大規模
であるか高トラフィックの
場合、高コストかつ低速
導入事例が限られている
Azure AWS に迫るシェアであり、
エンタープライズ対応の競合事業者導入時の標準状態のままで Microsoft 製品との統合が可能
テクニカルサポートとドキュ
メントが問題との顧客の声あり
提供されている IaaS と PaaS のサービスが網羅的なものになっていない
Google Cloud Platform 直感的に利用できる、
わかりやすい価格設定と UI
業界屈指の AI ツール
企業に焦点を合わせたものではない
競合製品と比較して機能が乏しい
Pivotal Cloud Foundry 非公開の独立型クラウドプラットフォーム
独自のクラウドプラットフォームを運用するタイプであり、ワークロードをゼロから構築
したり、移行したりする必要
がない
設備投資モデルを変動費モデルに置き換えるには、依然として IaaS が必要
代替の IaaS プラットフォームはスケールメリットを得られる

 

3)SaaS 展開とオンプレミス展開の比較

必要な環境は、SaaS のみ、オンプレミス、またはその両方popup_iconでしょうか(たとえば、モニタリングの対象となる独立したイントラネットがある場合はオンプレミス環境、オンプレミスのリソースが限られている場合は SaaS 環境が適しています)。

4)使いやすさ

導入したその日からメリットを得られることが、APM ソリューションの絶対条件です。すべての社内担当者に対して(担当者についての要件は後述)、以下を迅速かつ容易に実現できなければなりません。

  • 展開:サーバに何もインストールすることなく、すぐに運用を開始できるか。
  • 使用:初期設定のままのダッシュボードで、一見して直感的に理解できる分析情報が提示されるか。また、カスタムダッシュボードが必要か。
  • 保守:定型的な反復作業をどの程度容易に自動化できるか。システムへのパッチ適用やアップグレードは、どの程度の頻度で必要か。

5)レポートと分析

必要な KPI を測定できるソリューションでしょうか。たとえば、コードレベルの診断、あるいはユーザの位置情報など特定のパラメータ別にパフォーマンスを追跡するといったことが必要になるでしょうか。そして最も重要な点として、それらの分析情報から有用かつシンプルなレポートが生成されるようになっているでしょうか。

6)アーキテクチャ

アーキテクチャは、容易にスケーリングできる十分な安定性を備えているでしょうか。柔軟性はあるでしょうか。独自仕様のハードウェアしか利用できないものや、
扱える指標やアプリケーションの数に制限はないでしょうか。

7)エージェントとエージェントレス

エージェントレスのモニタリング(ソフトウェアの内部にエージェントが組み込まれているので正確にはエージェントが存在する)の場合は、個別のインストール作業やライセンスを必要としません。ただし、よりインテリジェントな機能を利用するには、独自仕様のエージェントが必要になるものもあります。

8)セキュリティ

サードパーティ製のハードウェアまたはソフトウェアを利用しているでしょうか。利用している場合、セキュリティ低下の原因になる恐れがあります。権限設定、暗号化、定期更新など、ソリューションに備わっているセキュリティ機能を確認してください。

9)価格設定

価格設定は柔軟なものでしょうか(サーバ単位の月額制やサイトライセンスなど)。
標準の機能、追加の費用が生じる拡張機能は何でしょうか。一括注文割引や年間契約割引を受けることはできるでしょうか。

10)テクニカルサポート

どのようなサポートオプションが用意されているでしょうか。24 時間 365 日利用できるでしょうか。ドキュメントは品質が優れていて、すぐに入手できるでしょうか。ベンダーの姿勢は単なるサービスプロバイダーではなく、環境の導入を確実に成功へと導くためのパートナーとして頼れるものでしょうか。

これらの 10 項目の基準に沿って、検討の対象を絞り込みます。ただし、実際に選定するにあたって分かれ目となるのは、前述のとおり、それぞれのソリューションに固有の
機能、つまり「ツール」です。

APM ツールを選定する方法

適切なツールを特定するための第一歩は、ツール導入に関わる担当者とその主な懸念事項を見きわめることです。

言い換えると、以下のような事項を検討します。

  • APM によってメリットを得られるのは誰でしょうか。経営幹部からエンドユーザに至るまで、IT 部門の内外に目を向けてください。
  • 担当者が抱えている問題は何でしょうか。問題の頻度と種類、重大度、トラブルシューティングに携わっている従業員の人数を確認してください。

この情報は、既存の環境に潜んでいる盲点を洗い出す上で有用です。法律によって遵守を義務付けられているサービスレベル基準に加え、必須のツールを特定するための要件についてもリストを作成してください。

包括的な APM 戦略を実践するための必須要素は、以下の 3 つに絞られます。

  1. ビジネスインパクト分析:アプリケーションの問題点をビジネスの改善対象領域と関連付ける
  2. エンドユーザモニタリング:顧客よりも先に問題点を特定する
  3. AI 機能:発生し得る問題に事前に対処する

これらの事項を満たす APM ツールはどのようなものになり、IT にどのような影響を充てるのでしょうか。

ビジネスインパクト分析

この機能は、「フルスタックの追跡機能」と呼ばれることもあります。アプリケーションで発生するトランザクションを対象として、コードレベルの詳細情報を収集、分離し、相関関係を分析して、アプリケーションのパフォーマンス、ユーザエクスペリエンス、ビジネス成果の全体像を明らかにしますこの処理があらゆるトランザクションについて自動実行され、リアルタイムで分析情報を得られるツールが理想的です。

これは、単にアプリケーションのパフォーマンスをモニタリングして、事業運営への影響を明らかにするというだけのものではありません。たとえば、顧客がショッピングカートから商品を削除した原因は、パフォーマンス上の問題なのでしょうか。IT 部門は、その種の分析情報を活用してマーケティング担当部門の顧客呼び戻しキャンペーンに情報を提供することで、卓抜したカスタマーエクスペリエンスの推進を支援できます。

エンドユーザモニタリング

この根本的な測定事項では、実際のユーザエクスペリエンスを追跡することになります。パフォーマンス上のボトルネックの発見に向けて、より適切な手法はどのようなものでしょうか。

主な手法は 2 つあります。ユーザの操作を人工的にシミュレートしてテストするか、エンドユーザがアプリケーションを操作する際のエクスペリエンスをリアルタイムでパッシブにモニタリングするかです。両方の手法を利用できるソリューションが理想となります。

これらの機能を利用すると、アプリケーションサポート部門は、エラー、クラッシュ、ページロード詳細情報などの重要な指標を捕捉し、問題を是正して、エンドユーザが問題に気づく前に、ユーザの利用に伴うすべての接点を最適化できます。結果として、ユーザから異常の報告を受けてから行動する大多数の企業popup_iconのはるか先を進むことが可能になります。

AI と機械学習

AI 主導の分析は、APM に関しては比較的新しい領域であり、AIOpspopup_icon プラットフォームの出現をもたらしています。近年の発展に伴い、機械学習、統計的解析、パターン認識が採り入れられて、根本原因の診断と異常動作の予測が自動化されています。使いやすさの面で最適となる APM ツールは、これらの複雑な分析情報が実践可能な形でまとめられ、単一の画面で閲覧できるものです。

AI は最近になって登場しました。アプリケーションが弾力性に富み、高度に仮想化されていて、マイクロサービスで構築されている環境では、決して欠かせません。選定に際して重要な差別化要因になる事項です。イベント予測を活用すると、問題が発生する前に解消できます。キャパシティプランニングに伴う負担も大幅に縮小します。

結論

APM は、平均復旧時間(MTTR)の短縮、ビジネスの信頼性の向上という面できわめて大きな投資効果を見込めます。ただし、各チームが利用している無数の製品から得られるデータの活用が、重荷とならないことが条件です。上で挙げた重要機能を備えているソリューションを確実に選定して、シンプルな環境を構築してください。

ベンダーを 2 社または 3 社まで絞り込み、概念実証を実施した後は、各ツールセットの強みと弱みを評価し、最終選考に進みます。今回の記事の観点をそのまま採用するのではなく、APM ツールのテストを必ず実施し、各ツールを比較してください。

判断に迷われた場合は、弊社までお問い合せください。取り組みの過程で生じた疑問にお答えします。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

Adrienne Jack
Adrienne は B2B コンテンツのマーケティング担当者です。お客様の成功の加速をテーマとして、テクノロジー企業
および SaaS 企業の皆様向けの記事執筆を担当しています。オンラインでのアイデアの発信を通じて、日々新たな何か
を学び、データを深く掘り下げ、世界中の人々とつながることを楽しんでいる彼女。ぜひ、Twitter の @adriennegjack までご意見をお寄せください。adriennegracejack.com では詳細なプロフィールをご覧いただけます。

 

Authors

内田 雅彦

カントリーマネージャー

シスコ アップダイナミクス

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