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コンタクトセンター市場の地図を塗り替えつつあるシスコ、その秘密

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初めまして。シスコのコンサルティング システムズ エンジニア、島崎です。このブログではシスコのコンタクトセンター ソリューションにまつわる話題を取り上げていきたいと思います。

このエントリーを開いた方は、シスコがコンタクトセンター製品を販売していることなど知らなかった、あるいは、知ってはいるけれどルータやスイッチほど身近に感じない、といった印象をお持ちでしょう。意外に思われるかもしれませんが、実はシスコはコンタクトセンター市場で最も勢いがあり、現在のところ3位以下に大差を付けてマーケットシェア 2位、間もなく 1位の座を奪おうという大手メーカーなのです。

日本でも、この事実をもっともっと知っていただきたいと思い、このブログを始めることにしました。

シスコのコンタクトセンター ソリューションがなぜ選ばれているのか、それを知っていただくために、最初にコンタクトセンター業界がこれまで経験し、また現在経験しつつある 3つの大きな波についてお話しします。

企業の顧客対応・顧客ケアは、過去に「コスト削減の波」「顧客との関係構築の波」という大きなイノベーションの波を経験してきました。この2つの波へセンターが対応する助けとなることがシスコが選ばれる理由です。

電話による顧客対応には、最初に効率化とコスト削減の波が訪れました。この時、ACD(自動呼分配機能)を備えた内線交換機が大活躍し、事実上の標準となりました。この時代、シスコは複数のセンターの ACD を上位で束ねてインテリジェントに負荷分散し、あたかも1つの巨大なセンターのように振る舞わせることを可能にする製品でこの業界に参入しました。複数センターを仮想化して1つに見せることで規模のメリットを享受でき、分割損を押さえて効率を上げることが可能となったのです。

ACD によるコスト削減効果はすばらしく、たちまち普及しましたが、やがて行き詰まりました。企業にとって効率的な顧客対応は時として顧客側から見てあまり愉快でない体験をもたらしたのです。その結果、企業は顧客対応の在り方を見直し、顧客との関係を改善する必要に迫られました。

効率化とは異なり、顧客との関係構築はテクノロジーよりも実際に顧客と接するエージェントの能力が中心となります。顧客の声にきちんと耳を傾け、紋切り型にならない対応をする、同時に知識を貯え顧客を待たせることなく迅速に目的を果たす、しかも高い効率を維持する、そうしたことがコンタクトセンターにとっての中心的な関心事になりました。

一見するとテクノロジーに出番がなさそうにも見えますが、そんなことはありません。適切な能力や専門性を有したエージェントへ接続したり、顧客情報に基づいて最適なエージェントを割り当てたりするために必要な IVR(自動音声応答装置)や、顧客との対応履歴を記録参照する CRM(Customer Relation Management)、それらを結びつけてエージェントが効率よく情報にアクセスできるように支援する CTI(Computer Telephony Integration)などは、全てエージェントが顧客との関係構築に注力できるように支援するためのテクノロジーです。

日本では上に述べた ACD, IVR, CTI, CRM などのテクノロジーが広く普及しています。一方北米ではこれらに加えてもうひとつ重要な技術要素が積極的に取り入れられてきました。それは自動化です。特に、積滞呼対応の自動化と運用の自動化です。この自動化が、シスコの優れている点です。

スーパーバイザーを座席から解放し、エージェントの支援に集中できるようにする

コンタクトセンターへ入ってくる呼の到来頻度は大きく揺れ動くのが普通です。そこで多くのコンタクトセンターでは特定の業務に呼が集中すると担当グループ外のエージェントにもその業務の呼を割り振ることで一時的に対応能力を増やして凌ぎます。このとき、日本の多くのセンターではスーパーバイザーがコンタクトセンターの状況を逐一監視しながら手動で業務とエージェントの割り当てを変更して対応しています。一方北米では割り当ての変更を自動化しています。

手動による割り当ては、きめ細かく行える上にスーパーバイザーの経験が生かされるため、自動化された割り当て変更よりも一般的には高い効率が期待されます。それにも関わらず北米で自動化が進んでいるのは、スーパーバイザーにもっと「顧客との関係構築」に直接貢献する仕事をしてもらうためです。スーパーバイザーが手動で割り当て変更を行う限り、スーパーバイザーはコンタクトセンターの状態を示す画面から片時も離れることが出来なくなります。割り当て変更の仕事を機械が自動的に行うことで、スーパーバイザーは席を離れてエージェントの面倒をみることが出来るようになります。エージェントのそばまで行って直接助言をしたり指導をしたり出来るようになるのです。そうしてスーパーバイザーがエージェントを育て、エージェントが成長することで対応の質が高まり、結果としてより短い時間で的確な対応を行うことが出来るようになれば、質と効率の両面が改善し、「顧客との関係構築」というコンタクトセンターの目標により近づきます。

多少の荒さがあっても機械にできることは機械に任せ、人には人にしかできない仕事をしてもらう、そういう思想が自動化を推進する結果になったのです。

現場で出来ることは現場でやれる、業務に集中できシステム運用がボトルネックにならない

もうひとつの重要な自動化がシステム運用の自動化です。コンタクトセンターは極めてシステム変更が多いという性質があります。新商品の販売開始、キャンペーンの実施、事故・事件等不測の事態、その他様々な理由でシステムの設定に変更が加えられます。しばしば短納期ないし臨時の対応も求められます。同時にミスオペレーションは深刻な業務影響をもたらす危険もあります。システムに対する変更を、業務側の現場の判断で、迅速に、安全に行えることが強く求められています。もしシステムに対する変更が専門的な訓練を受けた管理者にしか行えないようなものだった場合、コンタクトセンターは大きなフラストレーションを伴って運用されることになります。

シスコのコンタクトセンター ソリューションは、PBX, ACD, IVR, CTI、それにレポーティング機能を一体化したものです。ACD によって効率的なコンタクトセンターを実現し、IVR と CTI を CRM と連携させることで顧客との関係構築を支援します。のみならず、優れた自動化機能によってコンタクトセンターの業務に関わる人々が最大限業務に集中できるように促します。(自動化の中身については少し細かくなるので第4回目以降に改めて触れたいと思います。)

こうした点が評価されて、シスコのコンタクトセンター ソリューションは急速に普及してきました。

いや、これだけではシスコが抜きん出て伸びている理由にはならないのではないかと疑問に思う方もいらっしゃるかも知れません。私は、シスコの将来性も評価していただいているのだと思います。将来性とはビジョンと実行能力だと思います。次回はコンタクトセンターの将来のビジョン、その次はビジョンに確実に近づくためのシスコの取り組みについて書きたいと思います。

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