この記事は、Cisco アジア太平洋・日本・中国地域のアーキテクチャ担当バイスプレジデントある Vish Iyer によるブログ「Out with the old, in with new: why companies need to run on a modern IT Infrastructure」(2018/4/4)の抄訳です。
皆さんは、電話機をどのくらいの頻度で交換していますか。また、そのソフトウェアとアプリケーションは、どのくらいの頻度でアップグレードしていますか。皆さんはこう答えることでしょう。「しょっちゅうやっていますよ」と。私たちは、信じられないほどのペースでアップグレードを行っています。アップグレードの方法が非常にシンプル、迅速、かつ直感的になっているのは、それを考慮してのことです。ボタンを押すだけで、アップグレードは完了します。
残念ながら、企業の範疇でも同じとは言えません。その原因としてしばしば取り沙汰されているのが、複雑さです。実際、企業での IT インフラストラクチャのアップグレードは依然として面倒で時間がかかるので、多くの企業が、デジタル世界の要求についていくために必要な変更の実施を躊躇しています。日々企業と対話して明らかに感じるのは、制約(拡張性、俊敏性、セキュリティなど)があるのはわかっていながら、あえて煩わしいことをするよりはレガシー インフラストラクチャをそのままにしておきたいという心理です。企業は、レガシー アーキテクチャをただ稼働させておけばよいと思っています。
彼らを非難できるでしょうか。いいえ、できません。しかし、企業のテクノロジーのインテリジェント化を進めて、結果的に管理と使用を格段にやりやすくすることはできます。実際、テクノロジー消費者市場ではそのような状況が見られます。
これが、まさにシスコの目指す道です。シスコは昨年、多くの驚異的なイノベーションを提供しました。そのイノベーションにより、IT が劇的にシンプル化して、現在だけでなく将来も見据えた成功のために企業が必要とするインテリジェントかつセキュアなプラットフォームが形成されています。最終局面では、企業の焦点を IT 管理から新たな価値・新たなイノベーション・新たなビジネス モデル・新たなエクスペリエンスの実現にシフトする支援を行います。つまるところ、企業は IT インフラストラクチャを刷新してより少ない負担でより多くを実現すべきであるという提言には、もっともな理由があるのです。
10 ~ 15 年前は、いつでもどこからでも世界に接続したり、リアルタイム マップを使って目的地に到着したり、自宅にいながらにして数回クリックするだけで食料品を調達したりできると考えていた人は、確かに誰もいませんでした。今の企業にも同じことが言えます。つまり、今は不可能と思われていることがあります。しかし、変化はすでに始まっており、ほどなくして企業でも、似たような経験が現れ始めるでしょう。実際、世の中ではすでに変化が起こっています。
シスコの Network Intuitive(直感的なネットワーク)を例にとってみましょう。これは、過去 30 年間にシスコを市場リーダーとして確立する要因となったすべてのものを覆す、まったく異なるネットワーキング アプローチです。簡単に説明すると、大規模なデジタル環境の一元的自動管理を数回クリックするだけで非常にシンプルかつ安全にできるようにする、機械学習の拡張版のようなものと考えることができます。これは、お客様が切望しているタイプのイノベーションです。つまり、このイノベーションによって、マシンにマシンを実行させ、人員を解放して現在の最重要課題(イノベーションとカスタマー エクスペリエンス)に集中させることが可能になります。
この市場で存在意義と競争力を維持するには、近代化は、「やるかどうか」ではなく「いつやるか」という問題になってきます。そしてここに、過去のどの時代よりも、今こそ古い IT 流儀を脱却すべき時となっている理由があります。そして、それを支援できるのがシスコなのです。
ユーザ エクスペリエンス中心型
スマートフォン市場から私たち全員が学んだことが 1 つあるとすれば、デジタル世界ではユーザ エクスペリエンスがすべてということです。しかし、レガシー アーキテクチャは障壁になります。それらは A を B に接続する用途のために設計され、ユーザとデバイスの数の急増は想定していませんでした。Gartner 社によると、2020 年までに毎秒 6,300 万台の新規デバイスがオンライン接続するようになるとのことです。このデジタル時代において、企業がこのように膨大な数のユーザに対応して規模を拡張できるようになるには、エクスペリエンス、使いやすさ、パーソナライゼーションを優先するユーザおよびアプリケーション主導型のインフラストラクチャが必要です。
統合システム
古いインフラストラクチャでは、さまざまな IT 層およびシステムに変化が見られず、サイロ化しています。これが、今日の企業によく見られる環境の複雑さを招いています。複雑さは、拡張性を妨げる最大の要因です。そのため、企業にとっては、自動化されたデータ主導型の IT システム同士が通信するという現代的なアプローチを採り入れることが重要になります。その場合、たとえば、機械学習に基づいてネットワーク自体にサイバー攻撃の検出と対処をさせることが可能なのに、ファイアウォールをさらに追加すべき理由があるでしょうか。
オープン API
API の台頭は、現代が統合の時代であることを証明しています。API により、開発者コミュニティや企業は、一度記述したアプリケーション コードを自身の環境やニーズに合わせて再利用できるようになっています。たとえばネットワーキングにおいて、シスコはこのような API の形でインテント ベース ネットワーキングへの扉を開いています。これにより、シスコのインフラストラクチャの上にお客様が新しい機能を構築することが可能になります。
管理のしやすさ
現在、IT 運用の 95 % はいまだ手動でボックスごとに行われており、それがエラーの 75 % の原因になっています。IT 運用の導入と管理は、とにかく困難で時間がかかります。インテリジェントなデータ主導型インフラストラクチャに切り替えれば、これらすべての操作を、月単位ではなく秒単位で、自動的に実行できるようになります。実際、シスコでデータと機械学習を使用したところ、IT の問題をただちに修正できるだけでなく、全面的な予測と防止が可能になり、ダウンタイムとビジネスへの影響が最小限に抑えられています。その良い例の 1 つに、ネットワークのアシュアランスがあります。
保護のしやすさ
セキュリティは、現在のありとあらゆる企業にとっての最優先課題であり、ほとんどの場合において、ビジネスを推進する触媒というよりは、いまだ障害になっています。たとえば、経営幹部の 71 % が、セキュリティによってイノベーションが阻害されることを懸念し、約 40 % は、セキュリティ問題のためにミッションクリティカルなプロジェクトを停止した経験を持っています。これらの懸念は APJ において特に顕著です。というのも、それがサイバー攻撃の主なターゲットであり続けているからです。シスコでは、セキュリティが現代のあらゆる IT インフラストラクチャの基盤であることを確信しており、ネットワークからエンドポイントさらにはクラウドに至る統合アプローチを取っています。これにより、企業がリスクを回避し顧客の信頼を維持することが、はるかに容易になります。実際、このアプローチにより、他ベンダー平均で 100 日かかっている検出脅威が、シスコではわずか 4 時間余りで済んでいます。
インテリジェンスの時代が到来しています。そしてそれは、IT が自動化、分析、人工知能を通じてビジネスの将来の成功実現に果たす役割を再定義する、機会にも課題にもなります。
私たちは、シスコの安全かつインテリジェントなプラットフォームが、通常運用の維持ではなくイノベーションに集中して IT の役割や価値を高める余裕をもたらし企業を活性化することにより、企業が機会をつかむための後押しになっていることを確信しています。シスコは以上のようにして、デジタル企業の将来に向けたアジェンダを策定し、より消費者の視点に立ったものにできるよう取り組んでいます。