はじめに
シスコは、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」)が推進する「WaaS 共創コンソーシアム」の枠組みのもと、JR東日本、一般社団法人 野沢温泉 マウンテンリゾート 観光局、株式会社ビーマップと共同で長野県北部の野沢温泉村および飯山駅で OpenRoaming を活用した実証に取り組んでいます。
本実証では、安全で繋がりやすいフリー Wi-Fi の提供に加え、接続をきっかけにした観光情報の案内など、観光体験をより良くする仕組みを検証しています。本記事では、現地でどのような体験が生まれ得るのか、その設計のポイントを取り上げます。
背景:グリーンシーズンの魅力を、どう伝えるか
野沢温泉村はスキーシーズンに多くの観光客が訪れる一方で、グリーンシーズン(春・夏・秋)には需要が落ち着きやすいという季節性があります。地域としては、冬に集中しがちな来訪の偏りをならし、年間を通じた賑わいにつなげていくことが重要なテーマになります。
ただ、グリーンシーズンの魅力が十分にあっても、訪れる側が「知らなければ選べない」体験は多くあります。そこで今回の実証では、来訪者がその場で必要としている情報や、気づきにくい魅力を、適切なタイミングで届けることを目指しています。

観光体験は「情報の届け方」で変わる
観光客のいる場所に対して、発信側が“繋がった後”を設計し、位置情報などの情報をもとに、その場にいる人に合った情報をプッシュ型で届けることが、観光体験を大きく左右します。
たとえば、来訪者が自分では気づきにくい見どころや季節ならではの楽しみ方、回り方のヒント、注意事項などを状況に応じて提示できれば、「知らなかった」を「行ってよかった」に変えるきっかけになります。今回の実証では、こうしたプッシュ型の情報提供をどのように設計し、現地の体験価値につなげられるかを検証しています。今回の実証では、Wi-Fi 接続をきっかけに、位置情報を分析し、観光情報をプッシュ型で届けるなど、「繋がった後」の体験を設計・運用しています。
OpenRoaming が提供する価値:シームレスで信頼できる接続
OpenRoaming は、国際的な無線 LAN ローミング基盤です。利用者は初回にプロファイル取得(ユーザー登録)を行うことで、対応する Wi-Fi スポットにスムーズに接続しやすくなります。
一度ユーザー登録をすれば、対応する OpenRoaming スポットでの接続が可能になり、従来のフリーWi-Fi と比べて安全性の高い接続体験を提供できます。こうした「繋がりやすさ」と「安心して使えること」は、現地での情報提供や案内の仕組みを継続的に運用していく上での重要な前提になります。
今回の実証で検証している体験設計のポイント
本実証では、接続をきっかけに、観光情報をプッシュ型で届ける仕組みづくりを検証しています。ポイントは大きく 3 つです。
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“その場”に合った情報を届ける
来訪者の場所や状況に応じて、見どころ、季節のおすすめ、移動のヒント、注意事項などを提示します。また、グリーンシーズンに限定せず、観光客が来村される際に開催しているイベントの案内などを配信します。情報を網羅的に並べるのではなく、「その瞬間に意味のある情報」を優先することで、体験の迷いを減らします。
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気づきをつくり、行動の選択肢を増やす
グリーンシーズンの魅力は、現地に来ても気づかれにくいことがあります。プッシュ型の情報提供により、来訪者が見落としがちな魅力に気づけるきっかけをつくり、回遊や滞在の選択肢を広げることを狙います。
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体験を“作って終わり”にしない
情報提供の内容やタイミングは、現地の状況や反応を見ながら改善していく必要があります。実証では、利用状況の把握や利用者のフィードバックを踏まえ、体験設計を調整できる運用を前提にしています。

実証の概要
本実証は、野沢温泉村内および飯山駅周辺の対象エリアで進行しています。詳細については JR東日本のプレス発表をご参照ください。
シスコの役割
本実証は、信越地方を中心に電気通信工事を請け負う株式会社 TOSYS(トーシス、長野市)と共同で実施しています。シスコは幹事として、関係者と連携しながら、接続を起点にした観光体験の設計・検証が成立するよう全体設計に関与しています。あわせて、OpenRoaming 環境を支える技術面でも支援し、現地での検証が継続的に改善できる形になることを重視しています。
野沢温泉村・飯山駅での実証を通じて、グリーンシーズンの魅力がより伝わる体験づくりに向けた学びを積み重ね、地域の皆さまとともに改善を重ねていきます。
