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分散型 AI ネットワーキングの新たな基準

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この記事は、Cisco Provider Connectivity group の Senior Vice President, Product Management であるGurudatt Shenoyによるブログ「 The New Benchmark for Distributed AI Networking」(2025/10/8)の抄訳です。

 

AI/ML の取り組みが新たな段階に足を踏み入れる中において、イノベーションとビジネスの成長を推し進める上できわめて重要になっているのがネットワークです。シスコが考えるのは、今日の AI クラスタは、もはや1つのデータセンターの中に収めておくことはできず、代わりに、AI ワークロードをシームレスに拡張し、複数のデータセンター拠点にわたってリソースを最適に配分する「スケールアクロス」方式が必要だということです。

電力容量の制約やレジリエンス要件があるため、ハイパースケーラーやネオクラウド、大企業は、複数のキャンパスや各地に分散する AI クラスタを利用しています。こうした拠点でいずれも求められるのは、安全で高性能、高容量かつ、エネルギー効率の良い接続性です。そこで、シスコが満を持して投入するのが Cisco 8223 です。Cisco 8223 は、Cisco 8000 シリーズ固定型ルータの新たなラインナップであり、データセンター内だけでなく複数のデータセンターにまたがって分散型ファブリックを大規模に構築するように最適化されたものです。これにより、お客様は、AI インフラストラクチャを比類ない効率性と制御性で拡張することができるようになります。

分散型 AI の要求に対応

Cisco 8223 は、電力消費が最適化された固定型ルータで、電力に制約のある環境において理想的な選択肢です。51.2 Tbps の容量と高いプログラマビリティを備えており、組織は、進化するネットワークのニーズに最高の柔軟性で対応できるようになります。また、OSFP(Octal Small Form-Factor Pluggable)および QSFP-DD(Quad Small Form-Factor Pluggable Double Density)の光モジュールのフォームファクタに対応している 8223 は、地理的に分散している AI クラスタを接続するために設計されています。AI モデルのトレーニングと推論に、シームレスな相互接続性と巨大なデータ処理能力が要求される時代において、8223 は、広帯域で低遅延の一貫した通信を複数のデータセンター間で実現するという点で、他の製品を凌駕しています。

8223 の主なイノベーションを一部ご紹介します。

Cisco Silicon One P200 の搭載

8223 の心臓部とも言えるのは、51.2 Tbps とディープバッファを実現する画期的なルーティングチップ、Cisco Silicon One P200 です。圧倒的なスループットや最小限の消費電力を特徴とするこのチップにより、トラフィックの規模に関係なく、さまざまなバックボーンネットワークでサステナブルな拡張が可能になります。

ディープバッファと高基数(多ポート数)アーキテクチャ

8223 はディープバッファ機能を備えており、これによって、輻輳時やトラフィックバースト時に十分なメモリを確保して、パケットを一時的に保存できます。ディープバッファは、GPU 間通信によって予測不可能な大容量データフローが発生しかねない AI ネットワークにとって、きわめて重要な機能です。これを、高基数アーキテクチャと組み合わせると、より多くのデバイスとの直接接続が可能になるため、遅延の低減、ラックスペースの節約、消費電力のさらなる削減が実現できます。結果として、よりフラットで効率的なネットワークトポロジーが実現され、AI ワークロードに不可欠な、広帯域で低遅延の通信に対応できるようになります。

柔軟な OS サポート

Cisco 8223 は、多様なネットワーク オペレーティング システム(NOS)をサポートします。その中には、オープンソースの SONiC も含まれており、今後は Cisco IOS XR のサポートも予定されています。同様に Silicon One P200 を搭載した Cisco Nexus 9000 シリーズ スイッチでは、NX-OS のサポートも予定されています。多様な OS をサポートすることで、様々な要求に応えることができるようになり、お客様は、ご自身のニーズに合ったネットワークを作り出すことができるようになります。

統合型セキュリティ

Cisco 8223 では、MACsec により、伝送中のデータを経路上で保護できるため、分散型データセンター環境全体にわたって、遅延の影響を受けやすい AI ワークロードのセキュリティをサポートするシームレスなネットワークの構築が可能になります。

最先端のオプティクス

OSFP および QSFP フォームファクタで最大 800GE のコヒーレント光通信に対応しており、高性能ネットワーキングで高速、遠距離の接続が実現できます。

コンパクトで拡張性の高いフォームファクタ

Cisco 8223 は、既存のインフラストラクチャにシームレスに統合することも、新しい展開環境での基盤として機能させることも可能です。3 RU というコンパクトな固定型のフォームファクタが採用されているため、既存機能の強化から新規分散型 AI クラスタの構築に至るまで、運用が簡素化され、拡張も容易になります。

製品の利点を次に示します。

  • 迅速な価値実現:オープンソース ソフトウェア エコシステムなど、複数の NOS と深く統合することで、俊敏性と運用上の柔軟性を得られます。
  • サステナビリティの強化:業界最小レベルの消費電力により、グリーン IT の取り組みを支援し、長期的なコスト削減に対応します。
  • パフォーマンスの最適化:ディープバッファによってパケットロスを防止するとともに、通信経路上での MACsec 適用によりエンドツーエンドでデータを保護します。

AI ネットワーキングの未来を創造

Cisco 8223 は、拡張性、安全性、効率性に優れた分散型 AI クラスタネットワーキングの新たな時代を切り開きます。複数の地域やデータセンターをまたいで AI の力を活用することをご検討中のお客様には 8223 が最適です。8223 をご利用いただくことで、今日のデジタルリーダーが求めるパフォーマンス、柔軟性、安心感を得て、最新のネットワークに常に対応できるようになります。

 

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Authors

小久保 依美

事業部長

インターネットインフラストラクチャ事業

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