
今週も脅威情報ニュースレターをお届けします。
読者の皆さま、お久しぶりです。あれから 1 年が経ったんですね。もう 2 月なのが信じられません。
さて、インポスター症候群の話です。皆さんも一度は聞いたことがあるはずですが、具体的にはどういうことなのでしょうか。簡単に言うと、インポスター症候群とは、自分の能力や成功を示す明確な証拠があるにもかかわらず、自分を疑い、「偽物」だと見破られるのではないかと不安に思う感情が続くことを指します。サイバーセキュリティの分野、特に Talos のような環境では、このインポスター症候群に陥ることが多いでしょう。
Talos には、驚くほど優秀で頭の切れる人たちが集まっています。まさにハッカーとしてのお手本であり、その仕事ぶりには感心せざるを得ません。世界を悪の手から救うために重要な仕事をする、本当に素晴らしいチームです。
問題もあります。それは、周りがとにかく優秀な人たちばかりだということです。チェーンソーをジャグリングしながらマルウェアのバイナリをリバース解析できる人がいるかと思えば、多言語に精通し、メソポタミア語の動詞や外来語の言語学的なニュアンスを詳しく説明できるだけでなく、これまでのあらゆるランサムウェアカルテルの詳細を完全に記憶している人もいます。私が個人的に知っている人は、優れた公認ミュージシャンの顔を持つ一方、ペネトレーションテストで実際に刑務所をハッキングして独房の扉を開けたことがあります。
そんな素晴らしい才能やスキル、実績を持つ人たちと自分を比べずにいられるでしょうか。そうしないのは非常に難しいことです。他人との比較こそが喜びを奪い去るのです。
実際のところ、サイバーセキュリティの分野や Talos のような環境では、何かを達成しても自分の能力を疑い、ここに居ていいのかと常に自責の念にかられることになります。インポスター症候群による不安、ストレス、そして燃え尽き症候群は、本当に厄介なものです。
では、どうすればよいのでしょうか?まずは、自分の成果を振り返ってみてください。あなたが今その場にいるのは、他の人があなたの仕事に価値を見出してくれたからです。次に、ネガティブな自己評価に対抗してみましょう。言うは易し、行うは難しであることは分かっていますが、最後まで聞いてください。メンターや同僚たちのサポートを活用して、そのネガティブな思考に立ち向かうのです。
そして最後に、自分に優しくしてください。サイバーセキュリティは決して楽な仕事ではありません。技術的な情報も技術以外の情報も膨大にあり、すべてを吸収して理解し、ニュアンスを含め完全にマスターしなければならないというプレッシャーを皆が感じています。もちろんそれは不可能なわけですが、サイバー業界で働く人間は、どこか違う思考回路を持っています。昨日よりも 1% でも多くの知識を得られたら、それは大きな成果なのです。その事実を受け入れましょう。どうか、自分に優しくしてください。
ここで、特定の読者の皆さんに向けてお話ししたいことがあります。今回の人員削減の影響を受けた米国連邦政府職員の皆さん、心からお見舞い申し上げます。これは理不尽な仕打ちです。こうした突然の出来事によるストレスやトラウマを和らげる魔法の杖があればよいのにと思います。本当に辛い状況だと思います。民間部門のサイバーセキュリティに関して何かアドバイスや助言が必要であれば、遠慮なくご連絡ください。すべての答えを持っているわけではありませんが、できる限りお手伝いしたいと思います。ぜひ諦めないでください。
重要な情報
かなり大きな問題、詐欺の話です。一般の人が Salt Typhoon や Volt Typhoon といったサイバー攻撃グループに狙われることも、ランサムウェアカルテルのような金目当ての攻撃者と対峙することも、まずはないでしょう。しかし、オンラインで何かを売ったり買ったりした経験はあるはずです。今回は、出品者が被害者になる状況、つまり、売り手が金銭を騙し取られる詐欺について解説しています。詐欺というと、売り手が買い手を騙すものだと考えがちですが、その逆もまた然りなのです。
注目すべき理由
誰でも自分の財産を守りたいと思いますし、詐欺の被害者にはなりたい人はいません。ブログで取り上げている詐欺犯は、自分が操作しているシステムについて熟知しており、詐欺の手口も巧妙です。こうした詐欺や盗難について理解するには、購入者の視点と同様に、出品者の視点からもこの問題を理解することが重要です。
必要な対策
出品者と購入者双方に関わる詐欺の脅威を理解することによって、皆さんの財産が守られ、盗難の被害者にならないことを願っています。クリックすると巧妙な詐欺サイトにリダイレクトされてしまう URL に警戒してください。もうお分かりですね。G.I. ジョーの言葉を借りるなら、「知ることが戦いの半分」なのです。
今週のセキュリティ関連のトップニュース
福利厚生の Web サイトに保存されている数百万人の退役軍人の機密性の高い財務・健康データが盗難もしくは不正アクセスの危険にさらされていると、米政府全体の大規模な人員削減の一環として最近解雇されたサイバーセキュリティ担当の連邦職員が指摘(情報源:AP News)
新しい Linux バックドアを使用した攻撃が米国とアジアの教育機関・公共部門に対して仕掛けられており、同バックドアが極めてステルス性の高い方法で検出を避け、システムからの削除を回避していることが判明(情報源:Dark Reading)
オーストラリア最大の不妊治療サービス提供会社の 1 つである Genea 社へのサイバー攻撃の後、体外受精患者に関する大量の機密データを公開したとハッカーらが主張(情報源:Tech Crunch)
Talos 関連の情報
『Beers with Talos』の B チームが、サイバーセキュリティのキャリアについて熱く語っています。少し刺激的な話をしていますが、お聞きになりたいのではないでしょうか。特定の言葉はピー音で消すようなので、刺激的な内容が 5 割増しになると予想しています。消しているのは Hazel なのでご承知おきください。
新たなリサーチ:スパイ活動グループ Lotus Blossom がさまざまなバージョンの Sagerunex とハッキングツールを使用して複数の業界を攻撃
大規模イベントを保護するためのブループリント:Yuri Kramarz が Talos Takes に参加し、世界最大級のスポーツイベントにおけるサイバーセキュリティと脅威ハンティングの経験について語ります。
Talos が参加予定のイベント
RSA(2025 年 4 月 28 日~ 5 月 1 日)カリフォルニア州サンフランシスコ
CTA TIPS 2025(2025 年 5 月 14 日~ 15 日)バージニア州アーリントン
Cisco Live U.S. (2025 年 6 月 8 日~ 12 日)カリフォルニア州サンディエゴ
Talos で先週最も多く確認されたマルウェアファイル
SHA 256:47ecaab5cd6b26fe18d9759a9392bce81ba379817c53a3a468fe9060a076f8ca
MD5:71fea034b422e4a17ebb06022532fdde
VirusTotal:https://www.virustotal.com/gui/file/47ecaab5cd6b26fe18d9759a9392bce81ba379817c53a3a468fe9060a076f8ca/details
一般的なファイル名:VID001.exe
偽装名:なし
検出名:Coinminer:MBT.26mw.in14.Talos
SHA 256:9f1f11a708d393e0a4109ae189bc64f1f3e312653dcf317a2bd406f18ffcc507
MD5:2915b3f8b703eb744fc54c81f4a9c67f
VirusTotal: https://www.virustotal.com/gui/file/9f1f11a708d393e0a4109ae189bc64f1f3e312653dcf317a2bd406f18ffcc507
一般的なファイル名:VID001.exe
検出名:Simple_Custom_Detection
本稿は 2025 年 2 月 27 日にTalos Group
のブログに投稿された「Sellers can get scammed too, and Joe goes off on a rant about imposter syndrome
」の抄訳です。