Cisco Japan Blog

シスコと日立、変電所の保護制御のデジタル化で協業

1 min read



 

Marcus Smithこの記事は、IoT Product Management の Utilities Solution Manager である Marcus Smith によるブログ「 Cisco and Hitachi collaborate on digitizing substation protection and control 」(2025/3/3)の抄訳です。

 

シスコと日立製作所は、デジタル化を通じた変電所の保護と制御の変革を目指して協業しています。変革の内容は、既設のメタルケーブルを光ファイバイーサネットに置き換えることにより、スループットを高めてより重要な変電所データを扱えるようにすると同時に、ケーブルの本数を減らして設置工事や維持管理の負担を軽減し、コストを大幅に抑えるというものです。シスコは、産業用イーサネットにおいて広範な経験を有しており、標準規格 IEC 61850 に完全に準拠した形で変電所をデジタル化できる Catalyst IE9300 などの電力事業向け認定スイッチを保有しています。これが、日立がシスコを選択した理由です。さらに、シスコ検証済みデザイン (Cisco Validated Design、CVD) は、実際の変電所環境におけるシスコの産業用ネットワーク製品の有効性を実証するブループリントになります。こうした標準化ソリューションを導入することで展開作業が合理化され、インフラストラクチャ管理に対するアプローチの効率化と信頼性向上が実現します。

 

変電所のデジタル化の主なメリット

  1. ケーブル使用量の削減:光ファイバケーブルを使用することで物理的なケーブル本数を最小限に減らせるため、設置工事が簡単になり、維持管理の負担軽減にもつながります。
  2. 通信の強化:デジタル化により、保護機能と制御機能の両方を対象に、変電所内の通信が改善されます。システムによってデータ転送が一元化され、運用の信頼性と安全性が向上します。
  3. 集約型制御:日立の集約型保護制御 (CPC) システムは、複数のインテリジェント電子装置 (IED) を 1 台の装置に統合し、設備コストを抑えてシステムの冗長性を高めます。
  4. 信頼性の向上:資産の保護と安全性のための重要なデータを通信するプロセスバスには、高い信頼性が求められます。標準規格 IEC 61850 に準拠することにより、デバイス間での正確な同期とデータの完全性を確保できます。
  5. スループットの向上:シンクロフェーザーやカメラ、その他の新しいデバイスなど、使用するデバイスの増加に伴い、大幅な帯域幅の拡大が必要となっている現代のデジタル変電所のニーズを満たすことができます。
  6. 環境への配慮:ケーブルの本数が少なくなることで、資材の物量も減るため、生産時に排出される CO2 の排出量を削減できます。

 

革新的なテクノロジーによって、電力事業の効率と信頼性を長期にわたって高めることができます。

  • シスコの Catalyst 産業用イーサネットスイッチ:標準規格 IEC 61850 に準拠して設計されており、GOOSE (ジェネリック オブジェクト オリエンテッド サブステーション イベント) や SV (サンプルドバリュー) 制御を通じて通信の信頼性を高め、システムの堅牢性を強化します。
  • 日立の集約型保護制御 (CPC):IED を束ねることで冗長性を高め、1 系列の制御装置が停止しても継続的に稼働できるようになっています。このアプローチにより長期的な停電を防ぎ、電力の安定供給を確保します。
  • 仮想化対応:変電所がデジタル化されると、将来の仮想化を通じた効率化や信頼性向上への道が開かれます。光ファイバイーサネットへの移行は、変電所の完全仮想化を実現し、それによってもたらされるあらゆるメリットを手に入れるための第 1 歩になります。

 

戦略的協業

シスコと日立は、顧客価値を高めることのできる相互補完的な強みを活かすために協業することを選択しました。産業用ネットワークテクノロジーにおけるシスコの専門知識・技術と、保護制御における日立のリーダーシップを組み合わせることで、電力事業を始めさまざまな産業に包括的なデジタル化ソリューションを提供できます。このパートナーシップにより、電力事業向けに標準化されたイーサネット技術の幅広い導入を促進することを目指しています。

 

将来の展望

この協業の焦点は日本だけにとどまらず、変電所とインフラストラクチャのデジタル化をグローバルで強化することを目指しています。デジタル化の取り組みは、安全性の向上、労働力不足の解消、環境面での利点など、多くのメリットを実現する確かな道です。シスコと日立は、維持管理のしやすさ、安全性、費用対効果などのメリットを前面に出して、鉄道や高圧設備など、さまざまな産業において、これらのソリューションの導入拡大に力を入れています。

 

まとめ

シスコと日立はこのパートナーシップを通じて、変電所のデジタル化における新たな基準を確立し、より効率的で信頼性が高く、環境に優しい電源管理システムへの道筋を提供します。この構想は、現在の業界の課題に対処するだけでなく、世界的なインフラストラクチャ管理の将来的な進歩への道を開くものでもあります。

この協業により、変電所の保護と制御だけでなく、WAN やグリッドセキュリティに対する変電所のデジタル化ニーズも満たすことができます。シスコは、業界をリードする産業用ネットワーク製品を、電力事業向けのシスコ検証済みデザイン (Cisco Validated Design、CVD) とともに提供します。これは、価値実現までの時間を短縮し、産業における運用デジタル化のための安全で信頼性の高いネットワーク基盤として検証済みのブループリントを提供するものです。シスコ検証済みデザインは、変電所自動化、配電自動化、グリッドセキュリティ、再生可能エネルギー発電など、電力事業での多岐にわたるユースケースに対応しています。詳細はこちら (英語)

コメントを書く