東日本電信電話株式会社(以下、NTT 東日本)とシスコシステムズ(以下、シスコ)の若手エンジニアで 10 年後の未来を考えるアイデアソンワークショップを実施しました。日本を代表する歴史ある通信事業者である NTT 東日本とアメリカの西海岸に本社をおくシスコですが、それぞれ「地域循環型社会の共創」、「すべての人のためにインクルーシブな未来を実現する」を会社のパーパスに掲げており役割や歴史は違えど同じ未来に向かっております。
今回 NTT 東日本とシスコの若手 SE 20 名を対象に、両社の持つテクノロジーやソリューションの相互理解や人脈形成を目的として、10 年後の未来を描くアイデアソンワークショップを実施しました。
この取り組みは 2023 年 8 月から半年間実施し、①お互いの会社を知ること、②デザイン思考を利用したアイデア創出、③アイデアをブラッシュアップしプロトタイピングをする 3 つのフェーズから成り立っています。
アイデアソンワークショップ
両社の若手 SE 4-5 名で 1 チームを結成し、それぞれ都市、農業、観光、医療のテーマに沿って 10 年後の未来の在り方を両社の持つテクノロジー、製品、ノウハウを活かして創り出します。NTT 東日本とシスコ、通常はビジネスライクな関係になりがちですが、アイデア創出においては会社の壁を意識せずにチームが一丸となることが大切です。そのため、本取り組みではあえて名刺交換を最初には実施せず、デザイン思考ワークショップでよく利用される 9 マスの自己紹介を取り入れるなど工夫をしました。また、アイデア創出の方法としてデザイン思考のブレインストーミングなどの手法を体験してもらうことで、アイデア創出に慣れてない参加者でも自然とアイデアを考え出せるようにしました。
さらに、出てきたアイデアが「どう社会の問題を解決して誰(ユーザー)が幸せになるのか」を意識するため、株式会社グラグリッドが提供している体験スケッチボードによるカスタマージャーニーマップの作成を行いました。
このアイデア創出のサイクルを 4 ヶ月間チームごとに実施し、2 ヶ月目の中間発表を経て2月に最終発表を実施しました。中間発表や最終発表では参加メンバー同士がチームを超え意見を出すことの大切さを重視し、Keep, Problem, Try の 3 つの観点から他のチームにフィードバックを行いました。また最終発表会ではスポンサーとして両社の役員による評価を行いました。
NTT 東日本とシスコの若手 SE による 4 つのアイデア
今回は少しだけ皆さんが創り出した10年後のビジネスアイデアをご紹介します。
- チーム 1 : 都市
現代の都市が抱える「空き家問題」を解決しつつ、そこに住む人々がより働きやすく幸せに暮らせるアイデアとして、「空き家のシェアオフィスビジネス」を提案しました。Cisco の次世代コラボレーション機器と、NTT 東日本の既存ビジネスとの相乗効果を狙っています。 - チーム 2 : 農業
「誰でも・楽しく・簡単に農業を」をテーマに、手元のスマートフォンやパソコンからのボタン操作で野菜栽培がゲームのように楽しめるサービスを提案しました。 - チーム 3 : 観光
複雑な駅構内において、道案内/可視化/AI 翻訳によるサポートやリアルタイムの位置情報を連携したクーポン・コンテンツ配信を行うサービスを提案しました。 - チーム4:医療
患者の体験や病院の混雑度を考慮し、一人ひとりにあった最適な病院を紹介するアプリを提案しました。検索エンジンや属人的な情報収集の結果、ニーズに合わない医療サービスをうける患者の削減を志向しています。
参加メンバは通常業務をやりながらの参加で、時間のやりくりが大変だったかと思いますが、Webex などのオンラインツールを活用することで物理的に集合することなくとも限られた時間でアイデア創出に挑戦してもらえたのではないかと思います。
優勝した農業チームの参加メンバの長妻さん(シスコ)はこの取り組みについて「この度は優勝という素晴らしい結果をいただくことができ大変光栄に思っています。アイデアをまとめていく上では面白いと思ってもらい、今後も継続してやっていこうと言ってもらえるよう心がけておりました。本気で取り組みすぎてミーティングで議論が白熱しすぎたり、チーム全員のモチベーションを維持することの難しさを体感しました。しかしながら、頻繁に話し合い、お互いの長所を受け入れ、それぞれの役割を全うできたことに達成感を感じています。同年代だからこそ本気で意見しあえたこと、まるで部活のように熱い思いでプロジェクトを進められたこと、それらは本当に貴重な経験でした。」とコメントしてくれました。
また、都市チームの大谷さん(NTT 東日本)は「フィードバックの重要性を一番に学びました。自班の発表のフィードバックを受け、それを次のステップに活かすことはもちろん、他の発表を自分が聴き、KPT の観点でフィードバックを書くことで、自然と『自分たちの発表のときにはできていたか』と自問し、自班の改善点のヒントが得ることができました。」とコメントしてくれています。
この取り組みは今後も更にバージョンアップして継続する予定です。
参考リンク
・NTT e-city Lab
・体験スケッチボード