この記事は、Healthcare & Industries Solutions Group の Business Solutions Architect Marlon Harvey
によるブログ「 Using INFRAM to Modernize Today’s Healthcare」(2021/9/27)の抄訳です。
ここ数年は医療業界でもデジタル化の波が広がっていましたが、今や規模を拡大しながら変革が加速しており、テクノロジーとビジネス戦略の融合がかつてないほど進んでいます。テクノロジーをワークフローに組み込み、データの分析結果をリアルタイムで活用したいという臨床医の要望から、治療の初めから終わりまで数々のデジタルツールを使用したいという患者の期待に至るまで、医療業界を刷新する必要性が生まれているのです。
今日、医療機関は、ネットワークに対応するための複数年計画とインフラストラクチャに多額の投資をしています。しかし、そうした投資の多くは有効活用されないままになっており、導入と活用のロードマップもありません。デジタルな医療システムを構築するには、基盤となるデジタル インフラストラクチャが重要になります。このインフラストラクチャは個人の成果、患者のアウトカムを重視したものでなければならず、病院のすべてのエリアをつないで、必要なときに必要な場所で、求められている方法によって安全確実に医療を提供できるようにする必要があります。
コネクテッド デジタル エコシステムへの需要の高まりに対応するためには、医療機関のリーダーが現在のインフラストラクチャとその能力を評価して、将来のワークロードに対応できるようにしなければなりません。この評価には、INFRAM が役に立ちます。
INFRAM とは
Infrastructure Adoption Model(INFRAM)とは、国際的なベンチマークと標準規格を満たしながら臨床目標と戦略目標を達成するうえで必要となるテクノロジー インフラストラクチャの能力を評価して、位置づけを明確にするものです。グローバルな 8 段階(0 ~ 7)の評価モデルであり、インフラストラクチャの活用と能力の成熟度を確認できます。医療機関は INFRAM を使用することで、診療業務を改善し、サイバーリスクとインフラストラクチャのリスクを軽減できるほか、ビジネス成果と臨床アウトカムに直結するインフラストラクチャを構築できるようになります。
INFRAM アーキテクチャの領域と能力
- トランスポート:病院キャンパス全体でのソフトウェア定義型ネットワーク
- モビリティ:データ、音声、ビデオ、位置情報などに対応したサービスを備える高可用性ワイヤレス
- コラボレーション:臨床現場での良好なコミュニケーションを実現する、安全で信頼性の高いビデオ、音声、テキスト
- セキュリティ:ネットワークアクセスとデバイス管理のポリシーを適用するインテリジェントな自動化
- データセンター:オンプレミス、病院全体に導入されたハイブリッドクラウド アプリケーションと自動化
INFRAM の価値:医療機関をデジタルに変革
INFRAM Maturity Readiness Services によって、医療機関のリーダーは、病院内で成果を上げるために必要なインフラストラクチャを評価するための明確な道筋を描けるようになります。INFRAM アセスメントで特定されたギャップに応じて、価値と成果を測る KPI など設計と実行の詳細計画が策定されます。これには次のようなものがあります。
- アプリケーション体験の最適化:価値ベースの医療組織を定義するうえで、体験が新たな評価基準となります。アプリケーションが取得したデータによって変革が可能となり、そのデータを活用してワークフローと業務を最適化することで成長を促進し収益性を高めます。多くのデータを見れば見るほど、多くの問題を解決できます。解決できる問題が多ければ多いほど、医療組織のレジリエンスが向上し、より俊敏な組織になります。
- アプリケーションの有効活用:これには、以下のようなものの開発や設計、促進が必要になります。
- アプリケーションの刷新:ハイブリッドな組み合わせ(オンプレミス、クラウド、マルチクラウド環境)での運用により、組織の戦略的かつ戦術的なニーズに基づいてワークロードとデータを柔軟に配信できます。
- 柔軟でインクルーシブなハイブリッドワーク:コミュニケーションとコラボレーションのプラットフォームを活用し、臨床現場でのコラボレーション体験をサポートする環境を実現します。
- 組織全体のセキュリティ:自動化され、セキュリティポリシーが管理されたネットワークをベースに、ID とアクセス管理の統合ソリューションを提供します。
- クロスアーキテクチャの統合インフラストラクチャ:ソフトウェア定義型ネットワーキングに基づいたエンドツーエンドのキャンパス、WAN、データセンターの設計と導入により、変革的で一貫性のある体験をサポートします。
さらに、INFRAM の活用は医療機関に他のメリットももたらします。たとえば IT とビジネスの連携、総合的な戦略計画と準備計画を立てたうえでの予算の策定と支援、買収の評価や交渉に関するサポート、既存の製品投資を活用した迅速な成果達成などです。
シスコの Customer Experience INFRAM プログラム
2018 年に INFRAM モデルが登場してから、シスコはパイロットプログラムの主要な協力者として、世界中の他の組織とともに HIMSS と緊密に活動してきました。そのため、シスコが INFRAM モデル初の認定パートナーとなり、お客様が成熟度モデルの段階を進めていく中でお客様のご依頼を受け、支援を行うのは当然のことでした。現在、アメリカ地域のシスコの Customer Experience(CX)チームは、2 種類の INFRAM サービスを提供しています。
INFRAM アセスメント
このサービスでは、主に下記 2 点についてのレポートを作成します。
- 戦略と成果の整合性:関係者の体験、成果、テクノロジーを結びつけて、投資に向けた説得力のあるビジネスケースを作成するために必要な証拠を集めます。
- アセスメントとギャップ分析:分析と実用的なプロジェクト計画を提示し、テクノロジー インフラストラクチャにおける能力のギャップを特定して是正します。
INFRAM 計画の策定
このオファーでは、コストが発生するプログラムの納入計画に沿って戦略ロードマップが提供されます。次のようなものです。
- ビジネスの戦略と成果を技術的な能力と整合させるための、インフラストラクチャ、システム、アプリケーションの変革に合わせた 12 か月~ 36 か月のブループリントと投資スケジュール。
医療機関は INFRAM を戦略的なブループリントとして使用することで、診療業務を改善し、サイバーリスクとインフラストラクチャのリスクを軽減できるほか、急速に変化しているビジネス成果と臨床アウトカムに直結するインフラストラクチャを構築するための明確な道筋を描けるようになります。これにより、医療機関ではデジタル インフラストラクチャを十分に活用する準備が整い、患者診療の、現在から将来に至るまでのニーズに対応できるようになります。
アメリカ地域の Cisco CX INFRAM プログラムの詳細については、infram@cisco.com までお問い合わせください。
医療業界向けデジタル化支援の仕組みについての記事:
2023/9/25 公開:HIMSS 2023 で医療機関の技術リーダーから聞いた重要事項トップ 3
https://gblogs.cisco.com/jp/2023/09/top-three-takeaways-for-healthcare-technology-leaders-at-himss-2023/
2023/9/27 公開:テクノロジーの費用対効果(ROI)を実証する INFRAM の力
https://gblogs.cisco.com/jp/2023/09/the-power-of-infram-for-providing-technology-roi/