2023年6月14日より幕張メッセにて、Interop23 Tokyo が開催されます。今年は、第30回目の開催ということで業界の歴史を感じるイベントとなっています。シスコは ShowNet に全方位で貢献しており、ベテランエンジニアだけでなく、若手エンジニアも積極的に参加して盛り上がっています。
イベント初日は2023年6月14日ですが、6月1日に会場となる幕張メッセに機材を搬入し、HotStage と呼ばれる約1週間で、ShowNet の中心メンバーである NOC(Network Operation Center)や一般公募のボランティアスタッフ(STM)の方々と協力しながら、この巨大なネットワークをゼロから構築していきます。
事前レポートとして、今回提供しているシスコ製品のみどころを紹介します。
コアネットワーク
今年の注目の新製品は、N4 ラックに搭載されている、Cisco 8608 と、そこに搭載されている Digital Coherent Optics の Cisco Bright 400G ZR+です。
Cisco 8608 は大容量・低消費電力を実現する Cisco Silicon One ASIC を搭載する Cisco 8000 シリーズルータの最新製品です。7RU/奥行き60cmの装置で、データプレーン/コントロールプレーンの冗長に対応しており、計8スロットにモジュラーポートアダプターを搭載できます。10Gから400Gまで柔軟な物理ポートを収容可能となっており、最大12.8Tbpsの処理が可能です。
Cisco Bright 400G ZR+は、従来の 400G ZR+に比べ、高い光の出力パワーを実現させた製品です。従来の ZRP も過去のモジュールと比べて非常に長距離を伝送可能でしたが、トランスポンダーと比較すると出力レベルが低いことでROADMネットワークとの相互接続性には考慮が必要でした。今回出展する BrightZR+は同様の消費電力、QSFP-DD の大きさのままミニアンプの内蔵を実現させたことで、別装置としてアンプを用意することなくより幅広いユースケースへの適用や、既存の光伝送網との親和性が非常に高まりました。ルータと Optics だけで IP と Optical、両者のネットワークを構築することができ、消費電力、ラックユニットの削減を実現します。
5G
今年もシスコは ShowNet に Cisco Private 5G ソリューションを提供しています。昨年は電波暗室のなかでもデモでしたが、今年は幕張メッセに実験局免許を取得し、実際に会場で 5G の電波(Sub6)を提供しています。
またAirsan社や NEC社の Sub6 基地局とのマルチベンダー環境での 5G 接続をデモし、JMA Wireless 社のミリ波基地局の展示も行っています。
さらにインフラとしての 5G だけでなく、Cisco Private 5G の特徴である「企業ネットワークとの統合」についても紹介しています。これは、Wi-Fi や有線 LAN で構築された企業ネットワークにローカル 5G が加わっても一貫した認証及びアクセスポリシーを適用することができるというものです。「企業ネットワークとの統合」の第一弾として ISE(アイス)と呼ばれる Cisco Identity Services Engine と Cisco Private 5G の連携を実現しています。
データセンター
ネットワークには、データセンター向けスイッチ Nexus 9000 シリーズを導入し、Hyperconverged インフラには Cisco HyperFlex Edge を使って仮想基盤を提供しています。オンプレミスのサーバ群やクラウド上のリソースを一括してデプロイ、可視化、管理する SaaS ソリューションである Cisco Intersight から HyperFlexを自動デプロイしています。
コンテナ基盤とネットワークは、Cisco XRd と呼ばれるコンテナルータで物理ネットワークと接続されています。Kubernetes 上のワークロードは Calisti というサービスメッシュマネージャで運用を行っています。シスコは物理、仮想に一貫した接続性、可視性を提供します。
Media Over IP
放送の IP 化に伴い ShowNet で昨年より始まった取り組みです。映像の IP 伝送では、Cisco Nexus 9000 シリーズより構成された、IP fabric for Media ソリューションが使用されています。
IP fabric for Media は IP ネットワークを介した映像・音声・メタデータといったライブ系メディアストリームをロスなく届けることのできる、放送の IP 化に向けたソリューションです。Nexus Dashboard Fabric controller と呼ばれるアプリケーションによって Nexus 9000 が一元的に管理されています。WebGUI を通してトラフィックの帯域予約やホストの接続可否といったポリシーを自動的に投入することができ、機器の状態や時刻同期、実際にネットワーク上を流れている映像や音声のフローといった運用に欠かせない情報がリアルタイムに可視化されます。
また、中継拠点との接続は Catalyst 8000 シリーズによる VPN で構成されています。VPN によって放送局内設備と中継先との間をシームレスに接続し、さらにセキュアなネットワーク上での映像伝送を実現しています。
Wi-Fi
今年の Shownet でも、シスコは Shownet 関係者の方にご利用いただく Life Wi-Fi と、来場者の方にご利用いただくゲストWi-Fi を提供します。ゲスト Wi-Fi は、無線 LAN コントローラの Catalyst 9800-40 を1台と、Wi-Fi の最新規格である Wi-Fi 6E に対応したアクセスポイントの Catalyst 9136 および 9166 を設置しており、6GHz 帯のクリーンな Wi-Fi ネットワークをご利用いただけます。また Hall 7 では Wi-Fi アクセスポイント(AP)も提供しています。
一度の設定でユーザが安全に様々なアクセスポイントに接続できる規格「OpenRoaming」も Wi-Fi 接続に搭載しています。
モニタリング
モニタリングでは、今年2つの製品を提供しています。
1つ目は、Cisco ThousandEyes です。Catalyst 9300 に搭載されている Enterprise Agent や、会場内に設置された小型サーバや、遠隔地のデータセンターからと複数ポイントからの経路の監視を実現させています。また Windows PC に Endpoint Agent をインストールして Shownet の Wi-Fi 環境を随時監視することで、品質向上へ役立てるデータを取得しています。
このように Thousandeyes は、Agent のアクティブ監視により ShowNet からクラウド、インターネットを隅々まで、現在のネットワークやサーバーの状況をリアルタイムに検出し、可視化させ、運用へ役立てています。
今回の試みとして、従来のダッシュボードで監視している情報を可視化するだけでなく、新たな試みとして、OSS の可視化ツールである Grafana と連携した状態監視を実施や、Terraform と連携させて一元的なテスト実行、削除、修正を行っています。
2つ目は、Crosswork Cloudです。インターネット経路及びピアリングトラフィックの分析・可視化ツールとして、Crosswork Cloud の2つの SaaS サービスを提供しています。
Crosswork Network Insightsは、BGPmon の後継サービスで、世界各地の 600以上のルートコレクターからの BGP のアップデートをリアルタイムでモニタリングし、数秒以内に経路ハイジャックやルートリークなどの経路イベントをアラートします。
また Path Topology ツールで、経路ハイジャック前後の経路伝搬状況を視覚的に確認・比較することができます。経路データは 3ヶ月間蓄積されるため、様々な条件で、過去の重要なイベントを後から調査することが可能です。
Crosswork Traffic Analysis は、マルチベンダの BGP ルータから収集したピアリングトラフィックを可視化・分析し、ネットワークキャパシティを消費している主要なサービスを見える化します。また、ピアリングを推奨するAS番号の候補を提示したり、ネットワーク境界の輻輳に対して、エッジデバイスのトラフィック分散を提案することで、迅速な輻輳軽減をサポートします。
弊社ブース内 SP Automation コーナーでも実演しておりますので、ぜひお越しください。
セキュリティ
シスコのセキュリティソリューションからは3つのソリューションを提供しています。
1つ目は Cisco NDR(ネットワーク脅威検出/対応)ソリューションであるシスコセキュアネットワークアナリティクスです。ネットワーク上の通信を暗号化通信を含めて可視化するだけでなく、可視化したデータを基に脅威分析を行い、深刻な被害がもたらされる前に様々な脅威を検出できます。
2つ目は多要素認証、ポスチャソリューションであるシスコセキュアアクセスバイデュオです。多要素認証によって既存の認証レベルを強化できるだけでなく、ポスチャ(検疫)によってコンプライアンスを満たしていない脆弱なデバイスはたとえ本人であっても認証を許可しないよう制御することで、Shownetのマネージメントネットワークを保護しています。
3つ目は Cisco XDR(Extended Detection and Response)ソリューションである Cisco SecureX です。様々なソリューションと統合することで一貫性のある管理を実現できる XDR ソリューションです。通常 XDR ソリューションがない場合は製品ごとに個別のダッシュボードが存在しており、それらを個別に管理しなければなりませんが、SecureXによって統合された可視性、直感的な自動化、堅牢なセキュリティを実現できます。
コラボレーション
Shownet では、コラボレーションのプラットホームとして Cisco Webex を提供して利用していただいています。会議のプラットホームとして Meetings 機能 はもちろん、チャットやメッセージのプラットホームとしてMessaging 機能もご利用いただき、Webex の電話機能 Calling、さらにイベントや投票などの機能なども利用可能になっています。
そして、現場での効率的な映像コミュニケーションを実現すべく、ホワイトボード機能付き高性能ビデオ端末の Cisco Board Pro、小・中規模のスペース向けビデオデバイスの Cisco Room Bar、そしてデスク向けの高性能ビデオ端末の Cisco Desk Pro を提供しています。これらのビデオデバイスのハイクオリティな音声・映像、そして Board Pro や Desk Pro のホワイトボードの機能を使い、ShowNet 全体のコミュニケーションの円滑化に貢献しています。
さらに展示会期間中は、来場者と ASK NOC と呼ばれる Network Operation Center とのコミュニケーションにも利用され、Interop/ShowNet の展示会の盛り上げに利用されています。
それでは、皆さん、幕張メッセでお待ちしています。