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今日のハイブリッドワーカーのニーズを満たす最新技術をご紹介

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この記事は、ThousandEyes のシニア プロダクト マーケティング マネージャ Jonathan Zarkowerによるブログ「Innovations To Address the Challenges of Supporting Today’s Hybrid Workerspopup_icon」(2022/05/16)の抄訳です。

ユーザ体験全体を簡単に把握できるソリューションにより、よく使われるコラボレーション アプリケーションについて包括的な可視性を高め、エンドユーザに起きた問題を特定・解決する時間を短縮できます。

ThousandEyes のエンドユーザモニタリングの新機能:自動セッションテストとエージェントビュー

今や働き方が急速に進化し続けており、リアルタイムのコミュニケーションとコラボレーションに欠かせない高度な分散型アプリケーションが急増しています。そうした課題を解決すべく、ThousandEyes はエンドユーザモニタリングに 2 つの重要な新機能、自動セッションテストとエージェントビューを発表しました。いずれも業界初となる新機能です。変化への対応を迫られる IT 部門とヘルプデスクにとって、デジタルサプライチェーン全体を包括的に分析し、最も複雑な問題を切り分けて解決できる頼もしい味方となります。

今日のハイブリッドワーカーの期待に応える上での課題

コロナ禍の初期を振り返ると、必ず思い出すのが当時の混乱や先行き不安です。短時間で多くの従業員をテレワークに移行させるには?テレワーカーの生産性と満足度を継続して維持するには? テレワークは必要ではあるが、オフィスワークに戻るまでの一時的なものなのか、それとも「ニューノーマル」として定着するのか?といった疑問が沸き起こっていました。しかしコロナ禍で 3 年目を迎えようとしている今、テレワークとハイブリッドワークが今後も継続するという点については断言できます。

インターネットを構成する何万ものネットワークへの依存が高まり、多くの SaaS やコラボレーション アプリケーションが仕事に不可欠な存在となるなど、過去に引き返せない状況にあります。これは決して偶然ではありません。今やインターネットの基盤技術が進化し、ブラウザを搭載したノートパソコンやモバイルデバイスさえあれば、世界のどこからでも高度に相互接続された何十万ものアプリケーションにアクセスすることができます。

また今日のワークフォースは、ますます多様化し相互接続が進んでいます。そうしたワークフォースをサポートする難しさに拍車をかけているのが、どこでも働けるという自由度の高さや、リアルタイム コラボレーションの動的な性質です。

  • 今や従業員が使う環境の多くは IT 部門の管轄外にあり、しかもその割合や規模は高まり続けています。こうした状況における最大の課題は、企業ネットワークという従来の境界を超えて自然発生する多くの「死角」を排除することです。
  • 適切なツールがなければ、 技術的なトレーニングを受けていない従業員から提供される情報をもとに、憶測で問題分析を行うことになります。さらに今日では、複雑に分散化されたアプリケーションの提供に社内外の多くの関係者が関わっているため、たとえデータに基づいた分析を実施しても、責任の明確化や深い考察が伴わないという問題も起きています。

幸いにも、ThousandEyes のワークフォース デジタル エクスペリエンス ソリューション群は、コロナ禍で突発的に普及する以前からテレワークやハイブリッドワークへの移行をサポートしてきました。 なかでも主要な機能であるエンドユーザモニタリングは、アプリケーションや IT などのサポートチームが優れた従業員体験を維持提供する上で不可欠なライフラインとなっています。

この数年間で多くのお客様はエンドユーザモニタリングを使い、以前は可視化されず見過ごされてきた不正な Wi-Fi アクセスポイントやエッジでの輻輳、ネットワークや VPN の設定不備といったさまざまな問題に対処してきました。お客様の IT チームからは、可視性がここまで向上していなければ、多くのチケットは未解決のままクローズされていたという声すら寄せられています。

IT 環境でハイブリッドワークやテレワークが当然となってきた今日、お客様の多くがその変化を現実の課題として捉え、対応しようとする傾向が生まれています。

  1. ヘルプデスクチケットの増加により、IT リソースと従業員の生産性への負荷が増大している現在、特に重要になってきたのが、リアルタイムのマルチメディア通信を可能にする高度なコラボレーション アプリケーションのサポートです。このようなアプリケーションは運用が非常に複雑であるため、サポートも一筋縄ではいきません。この点については後述します。
  2. パンデミック以前は効果的とされていたヘルプデスク担当者のトラブルシューティング手法は、エンドユーザー環境の動的な性質と最新の分散型アプリケーションの複雑さから、今ではコストと時間の無駄が多いと指摘されています。その結果、ヘルプデスク技術者の士気や定着率の低下だけでなく、エンドユーザーの生産性の低下という課題も生み出しています。

これらの課題の特定と解決に取り組んだ結果、ThousandEyes のエンドユーザモニタリングに 自動セッションテストとエージェントビューの 2 つの新機能が追加されたのです。従業員の働く場所を問わず、デジタルワーク体験を向上できることが特徴です。

自動セッションテスト

各コラボレーションアプリセッションの動的な依存関係を即座に分析し、問題を迅速かつ的確に特定

Cisco Webex、Zoom、Microsoft Teams などのアプリケーションは、従業員同士だけでなく、顧客や見込み客、サプライヤーとのコミュニケーションにも欠かせない存在だと言えます。同様に、Genesys や AWS Connect などのコールセンターアプリケーションは、従業員と消費者との関わり方に大きな影響を与えます。

今日のワークフォースがより頻繁に使用するコラボレーション アプリケーションは、帯域幅をあまり必要とせず、遅延の影響を受けにくいシンプルなウェブページやアプリケーションとは異なります。高度かつインタラクティブで、しかもリアルタイムで動作するからです。さらに、同僚やお客様に対して良い印象を与えられるだけのパフォーマンスも求められます。

たとえば Cisco Webex は、リアルタイム通話、ビデオ会議、メッセージング、画面共有、録画、インラインチャットなど、豊富な機能を備えたコラボレーションツールです。また Webex Meetings では、ノートパソコンやモバイルデバイスで Webex アプリを起動した数秒後には接続が完了し、他のユーザーとのコミュニケーションを瞬時に始められます。

その仕組みについても解説しましょう。大半のリアルタイム コラボレーション アプリと同様に、Webex Meetings も、複数のリアルタイム プロトコル ストリーム(RTP)を調整・制御するシグナリングプレーン(通常はセッション開始プロトコル(SIP)ベース)と、エンドユーザーの目や耳に届くメディアフロー(ビデオ、オーディオ、画面共有、録音など)で構成されています。

ユーザーが会議に接続する前に、Webex は各デバイスとシスコのグローバルデータセンターとの間で一連のテストを行い、各メディアセッションで利用可能かつ最も高速なデータセンターを選択します。この判断はすべて数秒以内に行われます。会議で使用されるメディアの組み合わせによっては、接続されるデータセンターが参加者ごとに異なる場合もあります。ニーズは会議ごとに異なるため、最適なデータセンターを選んで接続したとしても、複雑さや技術的な障害を乗り越えて完璧に近い体験を提供することは決して簡単ではありません。

自動セッションテストのデモを動画でご覧ください。popup_icon

IT サポートにとって、Webex や類似アプリケーションの「詳細情報」を可視化することは、すべてのエンドユーザ、セッション、接続を確認できるツールがあって初めて可能になります。まさにそれを実現できるのが自動セッションテストです。

自動セッションテストは、ThousandEyes の Endpoint Agent がデバイス上で作動している全ユーザーについて、重要なアプリケーションセッションの接続を完全かつリアルタイムに可視化できる業界初の機能です。アプリケーションやセッションの開始時に作成される動的な接続をすべて調べるという複雑で時間のかかる作業を無くし、宛先ホストへの接続テストを即座に行うことで可視性のギャップを解消できることが特徴です。接続テストは自動的に行われるため、IT 部門は ThousandEyes のダッシュボードで直接ユーザーの問題を迅速に特定できます。

自動セッションテストは、複数のユーザーに共通するネットワークポイントを特定して関連付けます。たとえば、同じ会議に参加している複数のユーザーが共通の問題を抱えている場合、サポート技術者が自動セッションテストを使って会議または会議 ID をフィルタリングし、その会議の参加者全員を確認することができます。それにより、あるユーザーグループ全員に同時に影響を及ぼした原因のヒントとなり得る、共通のネットワークポイントの有無を迅速に判断できます。この情報は、下の図にある ThousandEyes ダッシュボードですべてご覧いただけます。

自動セッションテストが、会議参加者に共通するすべてのネットワークポイントを表示

図 1. 自動セッションテストが、会議参加者に共通するすべてのネットワークポイントを表示

自動セッションテストによって IT チームが得たデータにより、パフォーマンス問題の管理とコミュニケーションが効率化され、平均特定時間(MTTI)と平均解決時間(MTTR)が劇的に短縮されます。問題の場所と責任の所在が特定されることで、問題解決の足かせとなる曖昧さを効果的に取り除くことができます。このデータは、インタラクティブなスナップショット経由で主要なステークホルダーと共有できます。つまり、社外のチームにも必要な情報とエビデンスを提供できるのです。

このようにリアルタイム コラボレーションの複雑さを解消する自動セッションテストは、IT チームが各セッションを明確かつ正確に把握し、ユーザー同士が常に連携できるという点で、強力なゲームチェンジャーだと言えます。

自動セッションテストは使用中のアプリケーションだけをモニターします。従業員に影響を与える重要な問題があるときだけアラートを生成するため、効率も維持できます。デジタル体験に実質的な影響を与えない問題はアラートから除外されます。

自動セッションテストは、Cisco Webex、 Microsoft Teams、Zoom の 3 つの主要なコラボレーションアプリケーションと前述の主要なコールセンター アプリケーションをサポートしています。自動セッションテストは、ThousandEyes のエンドユーザモニタリングのお客様には追加費用なしでご利用いただけますので、今すぐにお試しください。

エージェントビュー

デバイス、アプリ、ネットワークに関するユーザ体験の正常性を一元的に把握し、最前線の IT 部門が問題を切り分ける際の作業を簡素化

IT ヘルプデスクに電話をして保留にされた上に、何が起こっているのかを理解しようとする技術者と 10 分も 15 分も話し、不満を溜めた経験は誰にでもあるでしょう。技術者はデバイスをリモート接続させ、システムやブラウザの設定を確認し、最終的にいくつかの設定や許可を微調整することで、(たとえ頼り切っていても)最終的には問題を解決してくれるでしょう。ただし、これでトラブルシューティングが成功したと言えるでしょうか? このようなプロセスは、ヘルプデスクの技術者にとってすぐに退屈な反復的な作業となります。つまりエンドユーザに起きた問題の中身や再発防止の方法を理解する方法がないのです。今日のハイブリッドな業務環境では、これでは許されません。目指すべきなのは、問題の特定プロセスを簡素化し、10~15 分という解決時間を 2~3 分に、最終的には数秒に短縮することです。

この目標達成に向けて発表された画期的な機能拡張が「エージェントビュー」と呼ばれる、ヘルプデスクや IT サポートチーム向けに MTTI/MTTR を削減するための一括管理機能です。相互に直接関連するデータを視覚化することで、ユーザ体験に関する包括的な情報をより速く取得できるのが特徴です。

コンセプトそのものはシンプルで、ブラウザセッション、スケジュール済みのテスト、ローカルネットワーク、デバイスレベルのメトリクスなど、個々のユーザーのすべてのメトリクスを並べて表示します。これにより、IT チームはパフォーマンスやエンドユーザ体験に悪影響を与え得る傾向をより短時間で特定できます。

以下の例が示すように、メトリクス内の相関関係により、問題のユーザーを検索してデータを確認するだけで、根本原因を迅速に特定することができます。

エージェントビューは複数のデータソースを関連付け、監視対象ユーザーのパフォーマンスの傾向を表示

図 2. エージェントビューは複数のデータソースを関連付け、監視対象ユーザーのパフォーマンスの傾向を表示

すべてを統合する

ThousandEyes では、今回発表された機能拡張をはじめとして、ビジネス基盤となる人材やインフラ、アプリケーションをサポートする幅広い革新的なソリューションを提供しています。膨大なデータセットを活用してインターネットの障害や SaaS アプリケーションの可用性に関する分析情報を提供する Internet Insights™ や、エンドツーエンドのデジタルサプライチェーンの包括的な可視化など、さまざまなニーズに対応します。

ThousandEyes の特徴は、自宅、外出先、オフィスなど、チームが働く場所を問わず、アプリケーションや従業員、インフラについて実用的な可視性を提供できることです。こうしたデジタル化は急務です。「昨日、従業員がアプリケーションの問題を経験した」というような過去の指標に基づいた行動ではなく、リアルタイムの分析情報に基づいた、より迅速かつ効率的な行動で問題を解決し、従業員体験を積極的に改善できる時代がすでに到来しているからです。

最終的に鍵を握るのはエンドツーエンドの可視性です。具体的には、内部ネットワーク / プライベートネットワーク ~ SD-WAN 接続 / インターネット、クラウドホスト型アプリケーション / SaaS ~ プライベートホスト型アプリケーション、CDN 配信アプリケーション ~ SASE アプリケーションなどの間を可視性することが重要です。これにより、ユーザーのデバイスの状態だけでなく、ネットワーク接続や Wi-Fi の状態、インターネットを経由してアプリケーションに届くまでのゲートウェイの遅延などを確認し、問題の場所を正確に特定できるからです。

「ニューノーマル」の環境で分散型ワークフォースをサポートする IT 部門は、すべての従業員の全体像を把握する必要があります。つまり、あらゆるアプリケーションについて接続全体を確認し、体験を測定できる環境が欠かせないのです。これらの情報は、ビジネスを支える多くのステークホルダーともリアルタイムで共有していく必要があります。

自動セッションテスト、エージェントビュー、ThousandEyes のエンドユーザモニタリングの詳細については、ThousandEyes または Cisco の担当者にお問い合わせください。

 

Authors

門脇 拓弥

Channel Sales Engineer

AppDynamics - APJC

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