従業員のライフステージと企業の就業規則、福利厚生について、子育てと介護をご経験したWomen of Cisco(WoC)のメンバー福永啓蔵さん(以下、Keizoさん)のお話を3回に分けて掲載します。今回は第1弾で、小林早苗さん(以下、小林さん)が聞き手となります。
女性の社会進出が進み、共働き世帯が一般になってきた今、男性の働き方や子育て・家事・介護への関わり方が変化してきています。女性の社会進出を促進するWoCでは、今回、Keizoさんが経験した育児・介護の経験談を伺いました。今、そしてこれから、育児、介護を経験する方々が直面するかもしれない不安や迷いを軽減する助けとして、また、今まで意識していなかった事への気づきにもつながればと思い、KeizoさんのインタビューをBlogに掲載させていただきました。
小林:
まず、初めにご家族構成とこれまでのご経験について時系列で簡単にお教えいただき、その後、子育て・介護の体験を具体的に伺っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【ご家族構成】
Keizo:
1999年に第1子の息子が誕生し、その後娘が誕生し、私はIT企業、妻は公務員としてフルタイム勤務の共働きで育児を経験しました。
妻は、公務員の学校給食の栄養士です。朝早く出勤し、基本的に午前中はお昼の給食を作るために調理師さんと一緒に給食センターの調理場に入り、午後はデスクワークで、献立を作成したり、食材を注文したりという仕事をしてます。
【ライフスタイルと働き方の変化】
Keizo:
うちの妻は(群馬県の)公務員をしており群馬県に勤務しています。ですので、私は東京の本社に行くときは新幹線通勤をしています。 子供が小さい頃 はシフト育児を実践し、子供の中学受験時は木曜日に在宅勤務、そして、一番最近では、2019年8月の母の緊急入院を機に、闘病中は約1年間リモートワークをしていました。
【シフト育児:幼児期の育児と家事分担】
小林:
シフト育児という言葉なんですけれど、具体的にお教えください。
Keizo:
この時の家族と私の1日の時間の流れをご紹介しますね。
先ほどお伝えしたように、妻は学校の給食を提供する仕事をしていますので、朝早くに起きて、食事の準備をして出勤します。私は起床後、妻を見送り、子供に朝食をとらせて、片付け、保育園に送ってから出社していました。私は保育園のお迎えの時間には勤務で不在なので、妻が保育園のお迎えをして、帰宅後に食事の準備、子供に食べさせて、お風呂、夕飯の片付けはせず、そのまま子供と寝てしまいます。私の帰宅は夜10~12時ごろで、夕飯を食べて片付けという流れです。あと、洗濯は私の担当で、夜に洗濯機のタイマーをかけて朝に干すという感じでした。時間帯とやる内容を妻と私で完全に分けていました。
2000年当時はまだ、100%リモートワークという時代じゃなかったんです。
小林:
ありがとうございます。
この時シスコの制度で使っていたものは、今と同じくフレキシブルな就業時間を利用されていたということですね。短時間勤務などの仕組みを使っていましたか?
Keizo:
私はシスコで育児休業の制度っていうのは何も使ってないのです。
小林:
おお!制度を利用されていないのは驚きました。
その秘訣が、役割分担ですね。時間、やること、担当者が明確ですね。この表を見てみると、お子様が小さい頃から、成長されている過程で、ライフスタイルとタイムスケジュールに変化がありますね。
【受験期間の時間の使い方】
Keizo:
子供の中学受験期は、新しく塾の送り迎えと夕食のお弁当作りが発生しました。
この頃、妻が100%デスクワークの時代で、まとめて残業をする日が欲しいということで話し合った結果、木曜日を、私が在宅勤務で家事を担当し、妻は、完全に家事フリーで何もしない日と決めました。
その頃は仕事も忙しかったんですけど、木曜日在宅しますと伝えても、Ciscoでは皆、在宅ワークいいよね!という許容される雰囲気とカルチャー(企業文化)でしたので、完全に甘えて、木曜日は在宅しますね!と決めていました。
その後、シスコを離れて他企業で就業することになり、若干の反発もありましたが、木曜日の在宅勤務は継続しました。
小林:
なるほど、在宅勤務の理由とご自身の意思を周囲の方に伝えて、成果を出して、ご家族との約束を貫いたとお見受けします。
【育児・介護時、メンタルのサポートの必要性】
Keizo:
実は、他の企業で勤めてた時代に、そのお取り引き様から実際に育児の経験を聞きたいということで、お話する機会をいただきました。その時に驚いた体験があり今でもよく覚えています。その会が終わってから、1人の女性の方が、帰り際に声をかけてくださったんです。平たく言うと旦那の愚痴を吐きたかったようですが、本当にびっくりしたんです。
その女性の方がおっしゃるには、家事や育児、全部の負担が来てるとのことで、多分彼女は、メンタル的にも体力的にもすごい限界な状態だったんじゃないかと思います。ご夫婦でIT企業にお勤めだとおっしゃっていたと記憶しています。
世の中は女性活躍、男性の育児と言われるけれど、まだ全然そういうふうに変わってない、シスコみたいに色々な制度や企業文化が追いついてないんだな、とすごく思いましたね。
【変えていきたい風土と文化】
Keizo:
Women Of Ciscoの会議でも共有していますか、制度や仕組みといったハード面と、風土や雰囲気と企業文化といったソフト面と、2つの側面が働き方に影響すると考えています。
うちの妻は公職、県の職員であり、雇用就労の制度は非常に整っていると聞きます。つまり、男性育児休暇の制度があるんです。でも、本当に誰も取らない、取れない。取れるっていう空気じゃないと聞きます。
やはり、シスコってそういうソフト面、企業文化や風土で2歩3歩、先を行ってる会社だなっていうのは強く思いますね。
小林:
ありがとうございます。
自社とは違う環境におられる方の状況を聞くと、まだまだ男性が育児に関わり、制度に基づいて休業をとることが浸透していないということが分かります。
Ciscoだけでなく、柔軟な環境で子育てができるためにも周囲の理解や風土と文化が必要ですね。
第1弾はここまでとなります。次回第2弾はWomen of Cisco のメンバー3名からの質問に答えていきます。