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2022年8月19日


Talos では BlackHat に向けて精力的に準備を進めてきました。そんな中、Talos が誇るメンバーの 1 人である Lurene Grenier が、展示会の内容をまとめる作業の一環としてなんと詩を書き上げてくれました。この詩は、Talos が定期的に行っているセキュリティ調査でもなければ、推敲を重ねた企業レターでもありません(もっとも、Talos が企業レターを発行することはあり得ないのですが)。ただ、痛みに満ちた生々しい思いがよく伝わってくる傑作だったのです。ワークライフバランスや心の健康など、シスコが真剣に取り組んでいるさまざまな問題も提起されています。私の解釈では、特にキャリア初期のワークライフバランスが詩の題材となっているようです。私がセキュリティ業界に入って間もない頃は、この業界にいるだけで御の字だと思っていましたが、同時に、職場での圧倒的な要求に直面して、自分の権利を擁護する力がないとも感じていました。この詩はとても心に響き、実際、Talos のブログ以外の場所で公開されてほしくないと思いました。というわけで、Lurene の言葉をこちらで紹介したいと思います。これが重要な会話を始めるきっかけとなり、相手を気遣うことの大切さを皆様に思い出していただければ幸いです。BlackHat のシスコのブース(ブース番号は 1932)には Lurene か私、他のシスコマネージャもいますので、こうした問題について話したい方はぜひ立ち寄ってお声がけいただき、感想をお聞かせください。

— Matthew Olney

脅威インテリジェンス脅威防御責任者

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らせん綴じのマニュアルは厚手のラミネート紙製

過酷な環境にも耐えられるように

埃っぽい地下室みたいな場所での作業だったから

ぶら下がっていたのは黄ばんだ蛍光灯 ベージュにグレーの

四角く重たい扉 徹夜仕事には何の役にも立たない

ただ頭痛がしてくるだけ 20 歳の頃なら何事もなく楽しめた

それか単に苦しさを知らなかっただけなのかも

 

吊り天井と効き過ぎた空調 気温 40 度近い日に

サーバールームへの出入りを繰り返して友達が肺炎になった

笑い飛ばしてるけどアラームが鳴ったら逃げて

Web サイトの稼働を保つために命さえ奪われかねない

 

テキストデバッガにアセンブリマニュアルにインテル 3A

RPI のコンピューティングセンターはまるで会衆席が並ぶゴシック教会

灰紫の弁当箱 砂糖漬けの irix ガムドロップ ストイックな黄色い

SCO ピザの空き箱 四角くて青い厚みのある電源ボタン

あの頃は聖人たちを崇めていた ヘネシーに学んで チョムスキーに

うめき声を上げながら でも思ったよりずっと役に立った

 

命を吹き込もう この死に絶えた灼熱のビジネスパークに

レンガと味気ないパーティションの壁 ストレスの解消法なら

いくらでもある テストシステムをセットアップして

自分の尻尾を追いかけて テーブルサッカーに小さな爆発物に研究用の薬品

機知が生み出したありとあらゆる熱狂的で絶望的で

奇怪なもの

 

夜中も週末も働いて他人様の e ショップの

安定稼働を守り抜いた人たち 生活を犠牲にできたのは

気に入っていたはずの仕事に打ち込んで

生計が立てられる特権を守りたかったから

大嫌いな仕事じゃなくて

 

疲れ果てて酔っぱらって何度も意識を失った人たち

駐車場の電動スクーターに乗って脳震盪を起こしても

大丈夫だと信じていた 確かにその通り

20 歳ならね

 

まだ時間も早いのにラスベガスから三々五々逃げ出したのは

とっくの昔になくなったカジノホテルの

未改装の派手な客室であまりにも早く飲み過ぎたから

​

 

すべてのファイアウォールで転送設定を間違ったのは誰だったか

 

広告にも統合にも小さなコンピュータにも同じくらい夢中になった

自分のものでもなければ制御もできない

ただ自分を支配するあの小さなコンピュータ

 

技術と文化に見切りをつけた人たちは いつしか

新しいテスラを購入したほうがいいと判断した

賢い買い物だと父も言っている

 

アルミニウムとシリコンとゲリラガラスでできたスフィンクスが

彼らの頭蓋骨を叩き割って脳みそと想像力を食らい尽くした

 

もう少し待っていて新しもの好きの人たち あなたたちの天使の知性が恋しい

-- Lurene Grenier

 

本稿は 2022 年 08 月 04 日に Talos Grouppopup_icon のブログに投稿された「0xCC’dpopup_icon」の抄訳です。

 

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