本記事では、RON のソリューション概要と 5G ショーケースで公開しているデモについてご紹介します。
5G 時代のトランスポートネットワーク
RON (Routed Optical Networking) は、レイヤ統合ネットワークを実現するソリューションです。
従来、IP ネットワークと Optical 伝送とは、それぞれルータ、ROADM (Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer) 、 ILA (Intermediate Line Amplifier)、トランスポンダの機能がまとめて搭載された伝送装置を採用し、別レイヤのネットワークとして構成されてきました。そのため、レイヤごとに設計、運用管理がなされるため、ネットワーク設計・変更の際には各レイヤに対して検討・導入作業をする必要があり、時間がかかるだけでなく、Capex および Opex もかさんでいました。
5G 本格普及時には、更なるトラフィック増加が予想され、サービスプロバイダーは迅速かつ柔軟にネットワークを変更し、需要に応える必要があります。この要件をコスト削減しながら実現するソリューションが、RON です。今では、RON は 5G 時代のトランスポートネットワーク構成として業界のトレンドになっています。
なお、RON は主にアクセス網に採用されることの多いソリューションです。データセンター間や海底ケーブルといった、より多くの波長の多重化、大容量トラフィックが求められる部分では、適材適所に伝送装置を設置する Disaggregation が次世代ネットワーク構成の1つとなっています。
シスコ 5G ショーケースに導入された RON
シスコ 5G ショーケースには、エンドツーエンドの5G リファレンスソリューションとして、トランスポート部分に RON (NCS-55A2-MOD + CFP2-DCO)、トランスポンダー(NCS 1004) を導入しています。
コヒーレント DSP によるコスト削減、レイヤ統合によるオペレーションの簡素化をデモしながら、5G 本格普及時の需要に応えられるキャパシティをコストを抑えながら実現するためのアプローチをご紹介します。
また、従来 DWDM (Dense Wavelength-Division Multiplexing) のシステム運用には Optical パラメータ の設計・監視が必須であり、ベンダーの専用の NMS (Network Management System) を利用して運用するのが一般的となっていました。シスコ 5G ショーケースでは、Disaggregation したシステムを運用するにあたり、これらの Optical パラメータ は Streaming telemetry を使って外部システムに出力しています。これにより、専用 NMS を用いることなく運用を可能としています。
シスコでは管理情報の分析・可視化をする製品・ソリューションが複数ありますが、5G ショーケースでは、シスコ を使っています。Matrix は、RON に限らず、5G ネットワークの複数のドメインに渡り、マルチベンダのネットワーク環境を一元管理できるプラットフォームサービス製品です。
5G ショーケースでご覧いただけるデモ
- IOS-XR ベースの CLI による DWDM 波長の制御
IOS-XR ベースの CLI を使用しながら NCS-55A2-MOD + CFP2-DCO、NCS1004 を紹介します。
従来 GUI 経由で扱っていた各種パラメータをルータと同じ IOS-XR の CLI で制御することができ、OSNR や Pre-FEC BER など DWDM の運用に必須となるパラメータを確認できるという点をご覧いただけます。 - 帯域増速実演デモ
CFP2-DCO は複数の変調方式に対応しており、変調方式を変更することでハードウェアに手を加えることなく 100G から 200G に増速できます。
IOS-XR の CLI から変調方式を QPSK から 16QAM に変更することにより動的に増速するデモをご覧いただきます。 - CLI ベースによる Optical パラメータの確認と Matrix を用いた可視化
Yang によって汎用的にモデル化された各種 Optical パラメータのTelemetry による運用簡素化、Matrix による可視化を含めたRON ネットワークの運用自動化アプロ―チをご紹介いたします。
RON は 5G 時代に欠かせないネットワークソリューションです。レイヤ統合によるシンプルなネットワーク構成のメリットを、ぜひデモをご覧になりご体感ください。
シスコ 5G ショーケースの詳細はこちら:
www.cisco.com/jp/go/5gsc