はじめに
本ブログは、「Crosswork 入門ガイド」のブログシリーズの一環として、サービスプロバイダー向けネットワーク自動化ポートフォリオ Cisco Crosswork Network Automation に含まれる、KPI モニタリング・分析を担う Crosswork Health Insights の概要とユースケースをご紹介します。Cisco Crosswork Network Automation の全体概要は、「Cisco Crosswork Network Automation 入門ガイド: 概要」をご参照ください。
Crosswork Health Insights の概要
Crosswork Health Insights(CHI)は、Cisco Crosswork 製品群の中で、ネットワークデバイスから収集したデータの可視化、分析、アラート発出、修復用 Playbook との関連付けを行うアプリケーションです。Crosswork Infrastructure(いわゆる“Container Platform”)上に他の Crosswork アプリケーション群と共に展開されます。
CHI では、KPI としてどんなデータをどの間隔でどのように取得し、どのようにアラート発出するかを設定します。代表的な KPI(CPU, Memory, Layer1-Optics, Layer2-Interface, Layer3-Routingなど)はデフォルトで準備されており、デバイスに適用するだけでモニタリングが開始できるようになっています。バージョン 4.0 にてデフォルトで設定されている KPI は、ユーザガイドの Table 1. Health Insights KPIs を参照してください。
GUI での KPI の設定イメージは下記の通りです。
デバイスからのデータ収集は、Crossowork Data Gateway(CDG)が担い、CHI は CDG からデータを受け取って処理します。また、CHI から KPI の設定を実施した際にデバイスには NSO 経由で設定されます。
ユースケース
マルチベンダーのリアルタイムKPIモニタリング
SNMP, MDT (Model-Driven Telemetry), gNMI (dial-in), CLI を使った KPI 設定およびモニタリングが可能になっています。この機能については、Cisco デバイス (IOS-XR, IOS-XE, NX-OS) だけでなく、SNMP, gNMI, CLI に関しては non-Cisco デバイスへの対応も進めています。バージョン 4.0 では、OpenConfig Yang Model を利用した gNMI トランスポートによるテレメトリデータの収集・分析に対応しました。また、バージョン4.1では、CLI ベースの KPI に関して、non-Cisco デバイスのサポートが追加されました。
Cisco Crosswork Change Automation and Health Insights 4.0 Release Notes
Cisco Crosswork Change Automation and Health Insights 4.1 Release Notes
動的閾値によるアラート発出
固定値を閾値として利用したアラート設定だけでなく、動的閾値によるアラート設定を選択することが可能です。各 KPI に対して、下記のアラートテンプレートが設定できます。
- Standard Deviation
統計値を利用したアラーム設定で、正常値よりも標準偏差数の個数分離れた値を取った時にスパイクもしくはドロップとみなし、アラームを発出します。
- Two-Level Threshold
閾値を二段階で設定し、閾値を超えた時に、アラームを二段階で発出します。
- Rate Change
測定値の変化率をモニターし、異常な上昇・下降が見られた時にアラームを発出します。
Alert Dashboard のイメージは下記の通りです。
Crossowork Change Automation と組み合わせた Closed-loop
Crossowork Change Automation (CCA) は、Play と呼ばれるタスク(IF shut/no shut, Check IF statusなど)で構成される Playbook を使用して、ネットワークへの変更を自動化します。各 Play は YAML で記載され、すぐに設定できる事前定義された Playbook を利用することも、カスタマイズすることも可能です。NSOを利用してデバイスへ設定を投入します。
CHI と CCA を組み合わせると、各 KPI に対してアラート発生時に実行させる Playbook の関連付けを行うことが可能になります。例えばリンクフラップのアラートが上がった際に、アラート内容から対象のホストとインターフェース名を入力パラメータとして取得し、特定のインターフェースを閉塞する playbook を自動実行できます。
外部アプリケーションとの連携
REST API がサポートされており、外部アプリケーションより KPI の作成・削除・問い合わせ、デバイスへの KPI の適用、アラート情報の取得、KPI への修復用 playbook の関連付け・実行などが可能です。サポートされている REST API のリストはDevNet のサイトを参照してください。
また、バージョン4.0より外部アプリケーションへの KPI データのエクスポート機能が追加されました。
大規模ネットワークのモニタリング
Crosswork Data Gateway (CDG) はそれぞれスタンドアローン VM としてデプロイされ、地理的に分散配置することが可能です。複数の CDG で収集したデータを Health Insights でモニタリングすることもできます。
Health Insights などの Crosswork アプリケーション群をホストする Crosswork Infrastracture は、クラスターアーキテクチャを使用しています。バージョン 4.1 では、単一クラスタは、最小3ノード (VM) で構成され、各ノードに自動的かつ動的に負荷を分散するようになっています。
最後に
本ブログでは、Crosswork Health Insights の概要とユースケースをご紹介しました。さらに詳細な情報や最新情報は、こちらのドキュメントを参照してください。
なお、本ブログシリーズでの製品紹介と並行して、シスコのエンジニアが Crosswork についての技術サポート記事をシスコ コミュニティに投稿していく予定です。ぜひそちらも合わせてお楽しみいただけたらと思います。