この記事は、Cloud & Compute の Vice President / General Manager である Kaustubh Das によるブログ「Unbox the Full Potential of Your Hybrid Cloud」(2021/6/2)の抄訳です。
クラウド分野では技術革新が毎日のように起きています。そうした技術革新の源には、オープンソースの分野だけでなく、新興企業やパブリッククラウド プロバイダーなども含まれます。もちろんシスコもその例外ではありません。利用者にとってのスピード、選択肢の数や質という点では、今はかつてなく恵まれていると言えますが、その一方で製品の複雑さが急速に増しています。運用のモデルやツール、アプリケーションが複数のクラウド環境(オンプレミス / パブリッククラウド)に分散化しており、それに伴う負担が開発チームと運用チームにのしかかっています。
これは例えるなら、テレビやビデオデッキ、DVD プレイヤーなどの機器ごとにリモコンが存在していた以前のような状態です。当時は各機器を決められた手順で電源を入れる必要がありました。その順番をせっかく覚えても、ゲーム機などが追加されると混乱しがちでした。友人などが遊びに来た際に手順を説明するのも大変だったのです。でも今は Cloud DVR や Netflix などのクラウドサービスやクラウド接続デバイスが登場し、操作モデルも共通化されたことで、事態はシンプルになりました。iPhone や Android などに牽引される UI の進化もその要因です。
組織のインフラにも、これと同じことが言えます。理想はオンプレミス、パブリッククラウド、エッジ全体が共通の運用モデルで動作し、アプリケーションからインフラを完全に監視できることです。その環境では、自動化(少なくとも自動化パラダイムのセット)や、クラウドネイティブ開発用のツール、チーム間で使う用語が共通化されています。
シスコ製品はこうした理想の環境を実現できるだけでなく、技術革新によって実現をますます容易にしています。ビジネス、テクノロジー、チームをひとつにまとめ、市場の要求にすばやく対応するために必要な自動化 / 可視化、クラウドネイティブ機能を単一のハイブリッド クラウド プラットフォームで提供すること、それが「クラウドスマート」であり、シスコの目指す姿です。
その一環としてシスコは今週、SaaS とクラウド最適化インフラの製品全体で一連の新製品を発表しました。
Cisco Intersight
まず、業界で最もシンプルなハイブリッドクラウド運用プラットフォーム「Cisco Intersight」をご紹介します。ハイブリッドクラウドをいかに改善するか、これは数年前から考え続けてきたテーマです。このテーマに沿ってハイブリッドクラウド運用モデルやツールキットを開発し、シスコ製品が動作するプラットフォームを構築してきました。その集大成が Cisco Intersight です。ただし Cisco Intersight の発売はゴールではありません。シスコは今後も精力的に技術革新を続けていきます。
- 製品には、テレメトリと分析を使用した Intersight Workload Optimizer などのサービスが追加されています。ワークロードの依存関係を可視化し、クラウドとオンプレミスのパフォーマンスとコストを最適化できるよう効果を発揮します。
- 別の新機能は Intersight Virtualization Service です。共通のプレーンを介して、物理リソースと仮想化リソースを管理できるのが特徴です。
- さらに、サービスプラットフォームとしてキュレートされた Intersight Kubernetes Service コンテナも登場しました。オンプレミスでもクラウドでも、アプリケーションのコンテナ化が進んでいることを受けた新機能です。
- クラウドの自動化では、今後「コードとしてのインフラ」が主流になる見込みです。そこで Intersight Service を HashiCorp Terraform にも提供すべく、HashiCorp 社と提携しています。
さらにシスコは Future Cloud の発表に合わせてスタックを拡張し、次の 3 つの新しい機能を提供します。
- 1 つ目が Intersight Cloud Orchestrator です。複雑なワークフローをローコードで作成 / 自動化できる、使いやすいフレームワークです。運用チームにとってインフラとワークロードの調整が容易になり、サービスの提供をスピードアップできるのがメリットです。
- 2 つ目が Intersight Workload Engine です。オープンソースの Kubernetes とカーネルベースの仮想マシン(KVM)基盤上に構築された、クラウドネイティブ ワークロード向けの強力な最新プラットフォームです。コンテナネイティブの仮想化により、SaaS 管理を一本化できるのが特徴です。
- そして 3 つ目が、Intersight Kubernetes サービスの新しい拡張機能である Cisco Service Mesh Manager です。ポリシーベースのセキュリティにより、高度な可視性とシンプルな管理を実現します。オンプレミスとクラウドの両方で Kubernetes クラスタ全体のサービストポロジを可視化できるのがメリットです。
これらの最新ツールをお使いいただくことで、オンプレミスとパブリッククラウドの一元管理を実現できます。つまり、パフォーマンス、遅延、物理的セキュリティ、コスト効率、アーキテクチャ制御などの理由でプライベートクラウドを選択している場合でも、パブリッククラウドのメリットである「運用のシンプルさ」を諦める必要がないのです。さらに、オンプレミスでもクラウド運用モデルを導入可能にする新製品が登場しました。それが、Cisco Intersight により全体が管理される次世代コンピューティングシステム「Cisco UCS® X シリーズ」です。
Cisco UCS® X シリーズ
UCS X シリーズは、業界で初めてハイブリッドクラウド向けに専用設計された x86 システムです。ラックシステムとブレードシステムの違いを埋める業界初のプラットフォームであり、「クラウドでの運用」と「クラウド全体への展開」の 2 つを念頭に置いて構築されています。運用効率、俊敏性、スケーラビリティの向上で効果を発揮します。
UCS X シリーズの特徴は、クラウドから構築を開始して、ワークロードに合わせてカスタマイズできる点です。継続的に最適化し、パブリッククラウドと統合できるのもメリットです。UCS X シリーズの各シャーシには、600 コアを超えるリソースプールが搭載。今後 10 年間で必要となる高性能コンポーネントに対応できるだけの余力もあります。これらのリソースプールを相互に接続するのが、シスコの新しい X-Fabric 技術です。ナノ秒の遅延で動作し、3,500 万を超える IOP トラフィックを処理します。CXL や光インターコネクトなどの新しいファブリック技術にも、容易にアップグレード可能です。
UCS X シリーズでは、配電、物理レイアウト、冷却、エアフローなどがエンジニアリングチームにより徹底的に見直されています。高性能を実現するだけでなく、持続可能な未来を見据えたスマートな製品です。今後 10 年間のハイブリッドクラウド コンピューティング ニーズを満たせるプラットフォームとして、自信を持ってお届けします。
UCS X シリーズは現状で最も将来性と汎用性に優れたシステムであり、本稿では説明しきれないほどの特徴やメリットがあります。UCS X シリーズ専用のウェビナーも配信されています。是非ご覧ください。新しい UCS X シリーズは、単なる新製品ではありません。シスコ社内ではこれを「開封ツール」と呼んでいます。Intersight の最新技術により、さまざまな可能性を「開封(解き放つ)」できるという意味です。Cisco UCS X シリーズを Cisco Intersight プラットフォームに統合した成果が、未来の最新技術にも幅広く対応できる、世界初のクラウドスマートシステムなのです。
Cisco UCS X シリーズは第 3 世代 Intel® Xeon スケーラブルプロセッサを採用。Xeon プロセッサはアクセラレーションと最先端のセキュリティ機能を備えたバランスの良いアーキテクチャで、何十年もかけて蓄積された設計ノウハウと最新技術により高負荷環境にも順応できます。
今回の新製品と新機能により、お客様の今と未来をサポートできるのを楽しみにしております。
詳細
Cisco Intersight について
UCS X シリーズについて
パートナー関連ニュース
シスコと Intel 社、未来のハイブリッド クラウド インフラの分野で提携
Cisco HyperFlex または Cisco UCS システムは Intel® Xeon® Platinum プロセッサを搭載しています。
Intel、Intel ロゴ、Intel Inside ロゴおよび Xeon は、Intel Corporation またはその子会社の商標です。