この記事は、Cisco AppDynamics のジェネラルマネージャー Linda Tong によるブログ「Applications are driving digital transformation」(2021/02/23)の抄訳です。
各国、各業界の役員会議や経営会議で今活発に議論されているのがデジタル トランスフォーメーションです。なぜなら、コロナ禍でデジタル トランスフォーメーションに対する期待と緊急性が一気に高まったからです。コロナ禍の影響は、仕事と生活のあらゆる面で予想外の影響を及ぼしています。銀行の支店の閉鎖や、自動車販売店の休業、食料品の買い出しの制限や(リスク故の)回避、授業のオンライン化、一部の必須業種を除く在宅勤務へのシフトなど、その例は数多くあります。
日頃のお客様やパートナーの皆様のご支援のおかげで、今回もこのような評価をいただくことができました。
ビジネスモデルと投資分野の変化
現在のビジネスにとってデジタル トランスフォーメーションは不可欠です。その実現に向け、世界中の技術者たちにのしかかるプレッシャーはかつてないほど高まっています。同時に、デジタルエクスペリエンスに対する顧客と従業員の期待も急速に高まっています。ビジネスのあり方を変え、全面的な戦略転換を図ることによって、顧客に新しい形でサービスを提供し、コロナ禍においても従業員が十分な生産性を発揮できるようにする必要に迫られています。
現在の技術者たちには、以前なら想像もできないスピードでイノベーションプロジェクトを遂行することが求められています。実際、71% の技術者は、従来ならば承認を得るのに 1 年から数年を要したようなデジタル トランスフォーメーション プロジェクトが数週間で承認されたと回答しています。また同じく 71% の技術者が、プロジェクトにかけられる時間は数か月、数年どころか、わずか数週間だったと報告しています。
状況がこのように一変し、デジタルチャネルへの依存度が飛躍的に高まった結果、技術者たちは突如としてビジネスの最前線に躍り出ることとなりました。コロナ禍がビジネスに及ぼす影響を最小限に抑えられるかどうかは技術者たちの肩にかかっており、そのプレッシャーが今後数か月のうちに軽減する見込みはまったくありません。世界で活躍する 1,000 人以上の技術者を対象に AppDynamics が実施した最新の調査「Agent of Transformation(変革の要因)」によると、2021 年に直面するであろう最大の課題について 88% の技術者は、スピード感を持って変革を推進することだと回答しています。
技術者たちは 2020 年に驚異的なスピードでデジタル トランスフォーメーション プロジェクトを遂行しましたが、その結果として新たな課題も浮上しています。企業の IT 部門の報告によれば、イノベーションが急速に推し進められ、オンプレミスやクラウドのアーキテクチャ全体にわたってテクノロジーが無秩序に増加したことで、IT インフラ全体の複雑性が極めて深刻化しています。
昨今、優先すべき投資対象として、デジタル資産に大きな注目が集まっています。その背景には、顧客や従業員向けの新たなデジタルサービスを迅速に立ち上げたい、デジタルチャネルで急増したトラフィックを着実に管理したい、資産の安全性を確保しなければならない、といった企業のニーズがあります。
そのほかに、卓越したデジタルエクスペリエンスの提供という課題もあります。その結果、技術者たちは極めて大きなプレッシャーにさらされ(89%)、仕事に不満を感じ(81%)、同僚と激しくぶつかるようになっています(63%)。
フルスタックのオブザーバビリティ
今日の状況下においては、ビジネス変革のスピードが将来を大きく左右します。そのためには、ビジネスの進め方、そして何より顧客のニーズが変化しても、柔軟に対応できる環境を構築しなければなりません。しかし今や IT 環境は極めて複雑であり、変革を実現するのは容易ではありません。環境全体から生み出される実データと履歴データは膨大に存在し、絶えず変化し続けています。また、クラウドアーキテクチャはさまざまな地域や環境に分散しています。そのため、環境全体の最新状況を完全に把握し、すべてのデジタル資産を管理するのは至難の業です。
75% の技術者が、リソースやサポートが不十分なまま膨大な「データノイズ」を処理するのに悪戦苦闘していると回答しています。また 83% の技術者は、ビジネスへの影響を予測しながら各分野のパフォーマンスの問題に優先順位を付けるのは困難であり、2021 年にはこの問題が障害になると回答しています。今日の IT 部門は、インフラのパフォーマンスが顧客やビジネス全体に及ぼす影響を無視するわけにいきません。失敗した場合の代償が大きすぎるからです。
優れたデジタルエクスペリエンスを実現するには、デジタル資産全体を隅々まで可視化する必要があります。そのためには、ビジネス、ユーザエクスペリエンス、さらには IT 資産全体(アプリケーション、インフラストラクチャ、ネットワーク、およびセキュリティ)を可視化することが不可欠です。とは言え、単に IT 資産を監視するだけでは不十分であるのも事実です。AppDynamics は、ビジネスとユーザのパフォーマンス問題を解決する必要に迫られた IT リーダーたちから大きな注目を集めています。AppDynamics を利用すれば、ビジネスへの影響を予測した上でさまざまなテクノロジーパフォーマンスの問題に優先順位を付けることが可能になるからです。
AppDynamics のビジョン
AppDynamics のビジョンは、パフォーマンスの向上を通じて利益を生み出し、ビジネスを成功に導くことです。本当の意味でフルスタックのオブザーバビリティ(可観測性)を提供できるプラットフォームは、シスコのメンバーに加わった AppDynamics を置いてほかにありません。さらに、AppDynamics はビジネスという観点も加味しています。問題をピンポイントで特定し、収益への影響を考慮した上で問題の優先順位を設定するには、ビジネスの視点が欠かせないからです。
AppDynamics のビジネス オブザーバビリティ プラットフォームを利用すれば、ビジネス分析から顧客や従業員のエクスペリエンス、ネットワークやインフラストラクチャの健全性に至るまで、IT 環境を隅々まで可視化し、関連性を把握することができます。また、ビジネスの観点から、最も重要なデータをピンポイントで特定し、リアルタイムのビジネスデータに基づいて IT パフォーマンスに関する情報を入手できます。その結果、ビジネスへの直接的な影響を考慮した上で、アクション、イノベーション、投資の優先順位を決定することが可能になり、ひいては、ビジネス、顧客、従業員、ユーザといった最も重要な要素を見失うことなく、より戦略的な観点から優先事項や優先分野を判断できるようになります。
シスコと AppDynamics のソリューションを活用すれば、自社の IT アーキテクチャの強みと弱みを把握し、顧客と従業員に優れたデジタルエクスペリエンスを一貫して提供できるようになります。AppDynamics によるアプリケーションのパフォーマンス監視、ThousandEyes によるネットワーク監視、Intersight によるインフラストラクチャの最適化、新しい Cisco Secure Application ソリューションが実現するアプリケーションのセキュリティ、これらの総合力によって、フルスタックのオブザーバビリティが実現されるからです。
AppDynamics ビジネス オブザーバビリティ プラットフォームを導入すれば、環境全体を見渡して問題を把握することが可能になります。また、従来は別々に動いていたチーム(インフラチーム、ネットワークチーム、セキュリティチーム、アプリケーションチームなど)が必要なデータを共有して、根本原因を迅速に特定し、一致協力して問題を解決できるようになります。しかも、多くの場合はユーザが問題に気付く前に対応することが可能です。
ビジネス環境が劇的に変化し、デジタル トランスフォーメーションが加速して、デジタルに対する顧客と従業員の期待がかつてないほど高まっている現在、技術者たちはデータノイズを跳ね除けながら、デジタル資産全体にわたってパフォーマンス問題の根本原因をすばやく特定し、ビジネスニーズに基づいてさまざまな問題に優先順位を設定する必要に迫られています。
AppDynamics ビジネス オブザーバビリティ プラットフォームを利用すれば、ビジネスという観点からフルスタックのオブザーバビリティを提供し、IT パフォーマンスの重要なポイントを把握できます。最も重要な問題に焦点を当て、卓越したデジタルエクスペリエンスと真のビジネス価値を実現する AppDynamics ビジネス オブザーバビリティ プラットフォームをぜひご活用ください。
2021 年 2 月 23 日から 26 日にかけて、AppDynamics のイベント「Transform 2021」が開催されました。
シスコと AppDynamics のソリューションを詳しくご紹介しています。
現在、このセッションはオンデマンドでご視聴いただけます。
AppDynamics の最新のレポート「Agents of Transformation: The Rise of Full Stack Observability」を
ダウンロードしてご覧ください。
AppDynamics Business Observability の詳細と技術者が直面している課題についてご理解いただけます。
Linda Tong
Linda Tong は、AppDynamics 担当のゼネラルマネージャ(GM)です。2017 年に、
イノベーションラボおよび製品エクスペリエンス担当の副社長として AppDynamics に入社。後に最高製品責任者となり、同社の製品ビジョンおよび戦略の推進に力を尽くしていました。現在の役職である GM としては、シスコの一部門となった AppDynamics 事業に関して、あらゆる側面に采配を振っています。AppDynamics 以前は NFL および Google 社に在籍していたほか、Tapjoy 社および Nextbit 社の創業メンバーの 1 人でした。米国エール大学で理学士号を取得、北カリフォルニア在住。