この記事は、Cloud & Compute の Vice President / General Manager である Kaustubh Das によるブログ「ITOps Reimagined through Intersight, the World’s Simplest Hybrid Cloud Operations Platform」(2020/10/28)の抄訳です。
シスコは 2020年10 月末に開催された Cisco Partner Summit Digital で Cisco Intersight の新たなビジョンを発表しました。Intersight は、さまざまなパブリッククラウドと統合され、数多くのエコシステム SaaS 機能を提供するインフラのライフサイクル自動化プラットフォームとして業界でも高い評価を獲得しており、現在、数千社のお客様にご利用いただいています。先日の発表では、Intersight が今後、インフラスタック、ワークロード、クラウドを包括的に管理、自動化できる世界で最もシンプルなハイブリッドクラウド運用プラットフォームへと進化していく計画を明らかにしました。
Intersight は、新機能を継続的に開発、提供できるモジュール型 SaaS アーキテクチャを採用しています。また、CI/CD (継続的インテグレーション/継続的デリバリ)開発方式に対応しており、お客様からのフィードバックを取り入れて機能強化や改善を迅速に行えるという利点を備えています。
お客様の問題を明確化
今回の発表はまさに最高のタイミングで行われたと言えます。もともと世界中の組織がクラウドへの移行を加速させていましたが、今年のコロナ禍がこの流れに拍車をかけていることは疑いありません。業務にハイブリッドクラウドを一切利用していない組織は、今や探す方が難しいくらいです。こうした大きな流れから、今日の IT 運用チームは、かつてないペースで組織の変革をサポートし、新たなサービスとイノベーションを提供する必要に迫られています。
このような新しい運用モデルを構築するには、IT チーム、DevOps チーム、クラウド アーキテクチャ チーム、アプリケーション チームが従来よりも効果的に連携できる必要があります。一方で、各チームが異なるツールを利用し、優先事項や成果測定基準が乱立・一致していない状況では、絵に描いた目標のままで終わるでしょう。そのため、IT チームはクラウドの登場以来、組織のテクノロジー指針・道筋を主導してきましたが、進歩やイノベーションを促進する存在ではなく、むしろイノベーションを妨げる邪魔者と見なされることが珍しくありませんでした。
したがって、今日の IT チームには、最新型アプリケーションの開発と管理をサポートできるようにインフラと運用のアプローチを再考することが求められています。今、必要なのは、インフラ、ワークロード、クラウド、アプリケーションのレイヤごとに分離されたサービスとコンポーネントをセルフサービス方式でシンプルに管理できる新しいアプローチなのです。
アプリケーション/開発者とインフラの架け橋となる Intersight
今回、Intersight が新たに強化された理由はここにあります。IT チームは新しい Intersight を一元的な管理ツールとして利用することで、高度に分散化されたインフラとアプリケーションの世界を結び付けるとともに、運用を簡素化して、俊敏性を高めることができます。また、既存の資産と新規に導入した資産から価値を引き出し、ビジネスニーズに対応できるよう継続的に業務の最適化や効率化を行えるようになります。つまり、パブリック クラウド サービス プロバイダーと同じようにインフラを運用できるようになるのです。
Intersight は、アプリケーション デリバリ チームとインフラチームが安全に連携して、スマートかつ迅速にさまざまなテクノロジー領域にわたって共同作業を行えるように設計されています。そのために、ライフサイクルワークフローや一般的なテレメトリ管理フローを自動化します。また、サードパーティのクラウド、プラットフォームやツールとネイティブに統合可能な、拡張性の高いオープンな機能で一貫性とガバナンスを確保します。
Intersight Workload Optimizer(IWO) はその好例です。Intersight Workload Optimizer はフルスタックのリアルタイム意思決定エンジンとして機能することにより、マルチクラウド環境全体にわたってアプリケーションリソースの管理方法を変革し、運用を大幅に簡素化します。また、かつてないレベルの可視性とインサイトを提供するとともに、アクションの自動化も可能にします。実際、Intersight Workload Optimizer は、インフラとアプリケーションを緊密に結び付けることで的確なアクションを取れるようユーザを支援する業界初の IT ツールです。そのため、IT チームは複数のツールを使用しなくても、コストを考慮してアプリケーションのパフォーマンスを微調整でき、あらゆるアプリケーション環境でリソースを最適化できるようになります。
たとえば Intersight Workload Optimizer は、インフラやサービスのコストを節約する具体的な方法(仮想マシンのスケールアップ/ダウンや配置移動など)を提案します。しかも、オンプレミス環境だけでなく、AWS などのパブリッククラウドに関しても最適化の提案が行われるのです。IWO は、アプリケーションと関連インフラの両方にわたってコンテキストを完全に把握できるため、変更をプロアクティブに提案できるほか、仮想マシン(VM) 全体のスケールアップや VM 内の仮想 CPU のスケールアップ/ダウンなどのきめ細かいキャパシティ調整も自動的に行うことができます。そのため、プラットフォームごとに異なるツールを繰り返し切り替えて煩雑な管理を行う必要がなくなり、IWO だけですべてのプラットフォームを管理できます。
Intersight Kubernetes Service は、Intersight ファミリに新しく追加されたサービスです。近年、コンテナは、試験的運用段階から、実運用段階に移行するお客様が増えています。しかし、こうした移行・実現は極めて難しい作業です。各チームはオープンソースパッケージのインストール、ストレージの設定、ネットワークの調整、プラットフォームとバージョンの間の一貫性の維持といった複雑な作業に追われ、拡張性の問題に直面することになります。その結果、遅延やエラーが発生して、イノベーションが妨げられる可能性があります。Intersight Kubernetes Service は、こうした苦労をすべて取り除きます。このサービスは、さまざまな自動化機能と厳選されたスタックを通じてハイブリッドクラウド環境全体にまたがるライフサイクル管理を実現することで Kubernetes を簡素化するように設計されています。Kubernetes クラスタをあらゆる場所にプロビジョニングできるため、製品化までの時間を大幅に短縮できるとともに、アプリケーション開発チームの一貫性とコンプライアンスを確保できます。
たとえば、わずか数回のクリックで VMware ESXi ハイパーバイザ上に 100% アップストリームの Kubernetes を展開して設定することができます。この機能は間もなく、Cisco HyperFlex Application Platform ハイパーバイザやベアメタルサーバに対しても利用できるようになる予定です。さらに、Intersight Kubernetes Service とパブリッククラウドをネイティブに統合すれば、1 つのダッシュボードから AWS、Azure、Google Cloud にまたがってクラスタを管理できるようになるため、Kubernetes のマルチクラウド管理が実現します。
Intersight は、今回ご紹介した Intersight Workload Optimizer と Intersight Kubernetes Service に加え、Intersight Cloud、Intersight Virtualization、Intersight Infrastructure といったさまざまなサービスを提供します。プラットフォームのモジュール性とオープン性こそがお客様の選択の幅を広げ、クラウドの運用を簡素化し、複雑さを解消する有益なフレームワークを実現する上での鍵であるとシスコは確信しています。
Intersight を利用することでインフラチームとアプリケーションチームが本当の意味で連携できるようになる理由はここにあります。シスコの目標は、お客様の組織全体にわたってアプリケーションとインフラのテクノロジーサイロを解消し、ハイブリッドクラウドを最大限に有効活用できるようにすることで、お客様がハイブリッドクラウドへの移行を安心して進められるように支援することです。
関連情報
新たな Intersight の詳細については、10 月末に開催された Partner Summit Digital で私が行った「ビジネスインパクト」セッションをご覧ください。アーキテクチャと新機能の詳細をご覧になるには、シスコ ウェビナーにご登録ください。