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2020 年の米国総選挙で予期される事態:投票に際して注意すべきこと


2020年10月14日


情報操作は何千年も前から存在していましたが、インターネットの出現とコンテンツ作成の民主化により、現在では誰もが簡単に参加できるレベルまで情報操作の参入障壁は下がっています。

デマ情報の拡散に関する Talos の最新調査は、選挙のセキュリティ対策を念頭に置き、デマ情報キャンペーンの内容、方法、目的を掘り下げています。外国政府の支援を受けてデマ情報の拡散に携わる攻撃者や、国家の支援を受けずにこうした活動を行う攻撃者について説明するとともに、社会に対する心理的な影響popup_iconについても取り上げています。そして締め括りには、デマ情報を退け、拡散を防止し、自分自身を教育する方法についての実用的なアドバイスも掲載しています。

学習し、精査し、実践する

  1. 学習する:時間をかけて州や自治体の現状について学び、選挙と投票のプロセスを理解する必要があります。
    1. また、州務長官や地方選挙管理責任者のソーシャルメディアサイトをフォローしたり、Web サイトをこまめに確認したりすることで最新情報を収集します。
    2. 国政選挙の仕組みも大枠で理解します。一般的な投票制度や選挙制度、議会の仕組みなどです。
    3. ターゲット広告や思わずクリックしたくなる扇情的な見出しなど、デジタルメディアの戦術と手法を理解し、デマ情報の拡散に携わる攻撃者がこれらをどう悪用しているかも把握しましょう。
  2. 精査する:関連する記事を読み、データソースについて調査します。
    1. 情報の出所を確認します。
      1. ボットアカウント:リツイート数や記事の注目度はボットにより操作されている可能性もあります。アカウントが不明な場合は、履歴を調査し、タイムスタンプに注意を払いましょう。確信が持てない場合は、Bot Sentinelpopup_icon などのシンプルなツールが役立つことがあります。
      2. データを確認する:記事の中で調査報告やレポートが取り上げられている場合は、その内容を検索して確認することもできます。Google や DuckDuckGo で検索すれば、その調査報告が実在しているかも含めて、裏付けとなる情報を確認できます。
      3. 改ざんされたメディア:物珍しい状況を伝えるメディアクリップや、感情に訴えるような写真には注意が必要です。今では写真や動画の偽造や改ざんが極めて簡単になっているからです。そのため最近のソーシャルメディア各社は、改ざんされたメディアを特定して警告することに力を入れ始め、通報の仕組みpopup_iconを導入しています。
    2. 思わずクリックしたくなる扇情的な見出しには注意が必要です。特に選挙や投票に関する情報には注意してください。たとえば最近だと、有権者登録情報の「ハッキング」popup_iconを目的とした、外国のハッカー集団によるデマ攻撃が確認されています。これらのデマ情報は一般に公開され、ミシガン州当局はソーシャルメディアを通じて対応を行いました。
  3. 実践する:時間をかけて情報の健全性確認を実践します。
    1. 下図のチェックリスト(デマ情報の拡散と人間心理に関する Talos の最新記事から引用)を参考にしてください。
    2. 従来のメディアソースと同様に、ソーシャルメディアで複数の情報源を注意深くフォローすることで、さまざまな視点を得ることができます。人は反対意見や自分の偏見に正面から向き合うことを嫌うものですが、こうしたフィルターバブルがデマ情報キャンペーンの標的にされる原因を作り出す可能性もあります。
    3. リツイートしたり、「いいね!」や「シェア」をクリックしたりする前に一呼吸置くようにしましょう。普段の仕事で電子メールを送信する前に数時間あるいは一晩寝かせるのが有効なのと同様です。その場の感情任せで反応するのではなく、一呼吸置き、じっくり考えてから反応することで、職場の関係やビジネス上の関係はより実り多いものになります。

最後に、米国の有権者は 2020 年の選挙であらゆる事態が起こり得ることを想定しておいた方が良いでしょう。選挙当日に当選者が判明しない可能性は極めて高く、結果が判明するまでに数日あるいは数週間かかる可能性もあります。しかしそれが「不正操作」を意味することは決してありません。かつて前例のない規模で早期投票、不在者投票、郵便投票が全米で認められているため、投票プロセスや選挙結果の報告はこれまでになく時間を要するでしょう。これは誤報やデマ情報の蔓延しやすい環境と言えます。上記のアドバイスに従って公式情報popup_iconを注意深く追いかければ、これらのキャンペーンの被害者になることを防げます。

民主主義とはすなわち時間と労力です。自分と異なる考え方を持つ隣人と(市民的に)対話することが極めて大切です。感情的になりやすい時期ですが、こうしたときこそ周りの人々とつながる絶好のチャンスとも言えるのです。

 

本稿は 2020 年 10 月 7 日に Talos Grouppopup_icon のブログに投稿された「What to expect when you’re electing: Voter recommendationspopup_icon」の抄訳です。

 

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