新型コロナウイルス感染症の広がりにより、世界中で働き方や生活の仕方が大きく変わってきています。これまでは会場に集まり付箋や模造紙を用いて行われていたデザイン思考ワークショップもニューノーマルに合わせて大きく変わろうとしています。
シスコでは慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 (SDM)、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)と共同で新しい都市体験を提供するサービスを創出するためのプログラム、Tokyo Moonshot Challenge (TMC) を開催しています。従来この TMC では、SDM が提供するシステム×デザイン思考を体験するワークショップを JAXA の筑波宇宙センターにて開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により Webex を利用した全く新しい形のオンラインワークショップとして実施しました。
たった数ヶ月前までは「デザイン思考のワークショップなんて会わないと無理でしょ!」と言われていた中、どのようにオンライン上でのワークショップを実施したのかをご紹介いたします。オンラインでのワークショップを開催する際のご参考になればと思います。
利用するアプリケーション
ワークショップでのコミュニケーションには Cisco Webex Meetings を利用しました。夏の大アップデートでブレイクアウトセッション機能が搭載され、大人数でのワークショップのようなイベントでも非常に利用しやすくなりました。デザイン思考のワークショップでは付箋や模造紙をたくさん利用しますが、これの代わりに miro というコラボレーションツールを利用しました。このようなツールは他にもたくさんありますが、miro は大人数でのアクセスでも重くなりにくい上、ホワイトボードに加えてタイマーやプレゼンモードなどワークショップで利用する機能が多く搭載されているのが特徴です。参加者の皆様には Webex で高品質な音声とビデオを接続してもらいながら、ブラウザより miro にアクセスしてもらうことでオンラインでのコラボレーションを実現しました。
オンラインでのワークショップのポイント
・ 事前準備
参加者の方は Webex などのオンラインツールに慣れている方から初めての方まで幅広い方が参加されます。参加者の方のオンラインツール利用経験による有利不利をできるだけ無くすためにも、ワークショップ前に練習セッションなど用意しておくことをおすすめします。TMC ではワークショップの1ヶ月前にチュートリアルセミナーとして Webex や miro に慣れることを目的とした1時間ほどのミニワークショップを実施しました。
・ チーム分けと参加者名
ワークショップ前日までに予め参加者のチーム分けをしておき、チーム名を伝えておきましょう。Webex の表示名にチーム名を含めてもらうことで、ブレイクアウトセッションの振り分けをスムースに行うことが出来ます。(例:TeamA_シスコ太郎)
・運営スタッフの役割分担
オンラインでのワークショップでは会場に集ってのワークショップ以上に運営側の役割分担が重要になります。
①ファシリテーター
ワークショップ全体の進行役。オンラインのワークショップではトラブル等で時間が押す可能性が高いので、タイムキーピングを意識しましょう。運営側の人員に余裕がある場合はタイムキーパー担当を別途決めると良いです。
②メンター
各チームに1人以上ワークショップに慣れているメンターを配置することでオンラインでもコミュニケーションを促す役割を担います。
③Webex ホスト
ブレイクアウトセッションへの参加者の割当や、ミーティングの管理を行います。ファシリテーターにはワークショップそのものの進行に専念してもらうためにも他の人が Webex の管理を行うことはとても重要です。
④IT サポート
参加者に接続などのトラブルが発生した際に対応します。メンターが対応していると、そのグループのワーク全体が止まってしまうので、サポートの担当者を他に決めておくと安心です。
運営側のメンバーを Webex の共同主催者に設定しておけば、ファシリテーターやスタッフが各ブレイクアウトセッションのルームを渡り歩きながら確認することもできます。
会場でのワークショップでは運営スタッフ同士簡単に連携できますが、オンラインでは別途チャットなどで常に情報共有を行うことが大切です。TMC では運営メンバー、参加者双方にいつでもチャットで連絡可能なスペースを Webex Teams で立ち上げ、参加者間での情報共有やトラブル対応など全体の進行の共有を密に行いました。
・よくあるトラブル
事前にトラブルが発生した際に柔軟に対応できるよう準備しておくことが大切です。
・音が出ない、聞こえない… Webex の音声テスト機能を使って正しくマイクやスピーカーが機能しているかを確認してもらうようにします。ワークショップが進行しているブレイクアウトセッションでトラブルシューティングを行うと、全体の進行が止まってしまうので、一度 IT サポート用のセッションに移動してもらいましょう。
・PC が重すぎる!…参加者の PC のスペックによっては miro と Webex を両方立ち上げるとメモリが足りなくなる場合があります。ビデオを一時的にオフにしてもらったり、Webex には iPad など他のデバイスから入ってもらうなども可能です。
・ファシリテーターの回線断…ワークショップの進行役であるファシリテーターが何らかの理由で接続不良になった場合、一時的に代わりに進行できる人を決めておきましょう。
まとめ
この様にオンライン上でも Webex と miro を利用することで、オンライン上でもデザイン思考を活用したワークショップをしっかりと実施することが出来ます。新型コロナウイルス感染症の収束がまだまだ見通せない中、開催自体を諦めるのではなくぜひオンラインを活用した新しい形のワークショップを試してみてください。従来の会場に集まるワークショップの代わりになるだけでなく、全世界どこからでも PC とインターネット環境さえあれば参加できるという新しいメリットもあります。ぜひ皆さんもニューノーマル時代の新しい形のワークショップを楽しんでみてください。
関連リンク
・Tokyo Moonshot Challenge
・慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科
・慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 Sensing & Design Lab. (神武研究室)
・miro
3 コメント
記事で取り上げていただき、ありがとうございます。もし可能であれば、miro(ガントチャートツール) と追記して頂いたうえでテキスト上にhttps://miro.com/ja/strategic-planning/gantt-chart/ のリンクを付与頂くことは可能でしょうか?
ミロジャパン合同会社様
お読みいただきありがとうございます。
miro愛用させていただいております。
今回利用させていただいたのはmiroのガントチャート機能ではなく単純なホワイトボード機能なのですが、それでも追記をご希望でしょうか?
ご返信遅れて申し訳ございません。
差し支えなければ、追記&リンクのご対応を頂ければ幸いです。
お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。