Cisco Talos は最近、Windows 10 Common Log File System に特権昇格の脆弱性を発見しました。CLFS はユーザモードまたはカーネルモードで動作するソフトウェアクライアントで利用可能な汎用ロギングサービスです。攻撃者は不正な形式の CLFS ログファイルを送り込むことでプールオーバーフローを引き起こし、侵入先のマシン上で任意コードを実行できる可能性があります。この脆弱性は通常のユーザがログファイルを開かない限りトリガーされませんが、エクスプロイトに成功すると、カーネルレベルでバグがトリガーされるため、攻撃者に特権昇格が与えられます。Microsoft 社は月例のセキュリティ更新プログラムでこの脆弱性を公開、修正済みです。セキュリティ更新プログラムの詳細については、関連記事をご覧ください。
Cisco Talos は情報開示方針に従って Microsoft 社と協力し、今回の脆弱性が解決されたこと、および影響を受けた利用者向けにアップデートが提供されていることを確認しています。
脆弱性の詳細
Microsoft Windows 10 の CLFS.sys(ValidateRegionBlocks 機能)に起因する、特権昇格の脆弱性(TALOS-2020-1098 / CVE-2020-1115)
Microsoft Windows 10 CLFS.SYS 10.0.19041.264(WinBuild.160101.0800)および Insider Preview CLFS.SYS 10.0.20150.1000(WinBuild.160101.0800)の CLFS.sys ValidateRegionBlocks 機能には、特権昇格の脆弱性が存在します。細工された不正なログファイルがヒープ バッファ オーバーフローを引き起こし、特権昇格につながる可能性があります。攻撃者は、不正なログファイルを使用して、ユーザランドからこのバグをトリガーできます。
脆弱性のアドバイザリ全文はこちらをご覧ください。
脆弱性が確認されたバージョン
Talos の検証により、Microsoft Windows 10 CLFS.SYS バージョン 10.0.19041.264(WinBuild.160101.0800)と Microsoft Windows 10 Insider Preview CLFS.SYS バージョン 10.0.20150.1000(WinBuild.160101.0800)がこの脆弱性の影響を受けることを確認済みです。
カバレッジ
脆弱性のエクスプロイトは、以下の SNORTⓇ ルールで検出できます。今後、脆弱性に関する新たな情報が追加されるまでの間は、ルールが追加されたり、現行のルールが変更されたりする場合がありますのでご注意ください。最新のルールの詳細については、Firepower Management Center または Snort.org を参照してください。
Snort ルール:54392
本稿は 2020 年 9 月 8 日に Talos Group のブログに投稿された「 Vulnerability Spotlight: Privilege escalation in Windows 10 CLFS driver」の抄訳です。