2016 年の米国総選挙の終了後、各所で争点になったのは、米国外からの干渉の有無でした。国家が支援する攻撃者によって、一部の票が改変または操作された可能性があるとの噂が駆けめぐりました。その後は、制裁と非難の応酬です。
それから 4 年が経過して再び迎える米国最大の選挙で、投票プロセスを保護するセキュリティ体制の整備は進んだのでしょうか。答えは「はい」であり、水面下の進捗は皆さんの想像を超えるほどです。
Talos の最新の調査レポートでは、4 年を経た現在の選挙のセキュリティについて深く掘り下げています。レポートは、地方自治体、州政府、連邦政府の当局者から得られた見解に加え、Talos の独自調査や、ある州の選挙計画の観察結果を踏まえて作成されています。
選挙セキュリティの改善に向けた 2016 年以降の資金配分や、地方自治体、州政府、連邦政府の各当事者間の意思疎通における改善点と未改善点など、あらゆる側面にスポットライトを当てています。
米国の選挙制度を構成する基本的な技術要素、状況を複雑化させている米国民の政治論、2016 年以降の取り組みの現状、そして今なお残る課題にも触れます。
本年の選挙が直面している課題は、2016 年当時のものとは様変わりしています。政府首脳、テクノロジー、投票の方法など、多くの要素が変化しているからです。さらに、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的流行という、最大の不確定要素も存在します。このレポートが、セキュリティ専門家の手引きとして、米国の選挙管理に携わる人々の課題解決の一助となれば幸いです。
レポートで取り上げる話題は多岐にわたっていますが、取り組みに貢献しようとする研究者が見落としてはならないことが 2 つあります。1 つ目は、選挙制度が州や郡ごとに大きく異なるという点です。つまり 1 ヶ所での選挙制度をもって、他の場所の選挙制度を判断することはできないのです。2 つ目は、類似点が多くあるものの、選挙セキュリティと企業セキュリティは「似て非なるもの」である点です。選挙によって米国民は政権を選び、国の未来を決めるのです。
レポートの全文は、こちらからダウンロードできます。
今回のレポートは、本年の選挙のセキュリティに関して Talos からお届けする発行物の第一弾です。米国の公職選挙日に先立ち、ソーシャルメディアが世論に及ぼす影響や、偽情報の拡散といった事柄について、Talos の研究者が分析情報をお届けします。ポッドキャスト、座談会、ブログ投稿、綿密な調査報告書などで公開してゆく予定です。日々最前線に立つセキュリティ担当者だけでなく、ご家庭の読者まで、あらゆる方が今回の選挙を曇りのない気持ちで迎えられることを願っています。
本稿は 2020 年 7 月 16 日に Talos Group のブログに投稿された「What to expect when you’re electing: Talos’ 2020 election security primer」の抄訳です。