この記事は Learning R&D の Learning Scientist and Consulting Engineer である Dennis C. Frezzo 博士 によるブログ「Remote Teaching: Tips and Tools to Build Engagement (2020/5/13)の一部抄訳です
先週の Teacher Appreciation Week(先生に感謝する週間)では、世界における教育者の重要性について取りあげました。優れたリモート教師像とは、どのようなものでしょうか。今週はその点を見ていきましょう。
オンライン学習は「理想」から「必須」へと一気に様変わりしました。それに伴い、遠隔教育とは何なのかについて考える必要が生じています。
対面での授業、つまり生徒と生徒や、生徒と教師の人間関係をオンラインで再現するには、単に教室に Web カメラを設置して動画を配信するだけでは不十分です。
それが顕著なのが、実際に物理ネットワークを構築して学ぶ Cisco Networking Academy です。
最新テクノロジーを活用しつつ、専門家に支援を仰ぐことで、多くの学習成果をオンラインの代替手段でも達成できます。学習成果を従来よりも高めることさえ可能です。最適なオンライン学習体系を模索する中で、これまでは過小評価されていた対話・コラボレーション方法や、生徒のモチベーション向上手段が再評価されることも少なくありません。
Packet Tracerに触れてみましょう
ここで、Packet Tracerを取り上げてみましょう。Cisco Networking Academy での実習に活用されているネットワーキング シミュレーション ツールで、フィードバック機能を備えています。Packet Tracer を使うことで、仮想的な環境(実際の複雑なネットワーキング環境を模した、合理的な「現実世界の縮図」モデル)内でデバイスとネットワークを操作できます。物理的な建物に設置されている小規模なコンピュータネットワークをシミュレートするため、受講者はネットワークデバイスを選択して、各デバイスを実機同様に扱えます。互いを有線または無線で接続し、プロトコルを設定し、本番のネットワークモデルを構築する、といった具合です。
また Packet Tracer の「物理モード」では、受講者がケーブルをルーティングし、Wi-Fi デバイスを電波到達範囲の内外に移動できます。これらの学習方法をアダプティブラーニングや仮想現実(VR)で実現する調査も進められています。
学習体験の変革
Packet Tracer のような画面でシミュレートできるツールでは、最新技術を直感的に学べます。効果的なオンライン学習のプラットフォームやプログラムの制作に向けて、多くの可能性を秘めていると言えます。オンラインでのコラボレーションツールや、Webex などのビデオ会議ツールをシミュレーションツールと組み合わせることで、学習者の積極参加を促す効果的なオンライン学習を創出できるのです。
現在、シスコは世界各地の教育機関 12,000 校と提携して、NetAcad.com のプラットフォームで Cisco Networking Academy のカリキュラムを提供しています。大半のケースではカリキュラムと成績評価に Packet Tracer が利用されています。
受講者は、シミュレータである Packet Tracer に加え、自宅のコンピュータやネットワーキングデバイスも利用できます。さらに実用的なスキルを習得したい場合は、Network Development Group(NDG)社の NETLAB+ など、高度なツールを利用できます。NETLAB+ では、Cisco Networking Academy のパートナーがシスコ製機器をラボで再現し、カリキュラムをインターネット上で配信することで、リモート(ブラウザ経由)アクセス可能な機器ポッドを提供できます。
オンライン学習の拡充
オンライン学習が重要なのは、Cisco Networking Academy だけに留まりません。世界がコロナ禍に見舞われるなか、講師、教育機関、専門家団体から突出したアイデアが多く生まれています。実用的なアドバイスを得るうえで、仲間、リソースやコミュニティは非常に大切です。教育や学習で大切なことは「人間関係」と「参加」だからです。従来のビデオ会議から VR の会議スペースに至るまで、同時参加型のコラボレーションで他人と触れ合うのは慣れないと感じるかもしれません。しかし新しい生活様式では、そうした試行錯誤が必須なのです。
今年の教育業界は、数十年分を上回る変化を遂げるかもしれません。教師と生徒、そして生徒と生徒のつながりを保つための方策を見つけ出すことが重要です。実機の操作といった物理的な実習で得られるスキルと知識をオンライン学習でも提供する。今のコロナ禍は、こうした重要な分野をデジタル変革するチャンスだとも言えます。