この記事は、AppDynamics の SAP ソリューション担当である Vani Thiruvengadam によるブログ「Correlate SAP Performance to Build More Proactive Remediation」(2020/2/4)の抄訳です。
サマリー
アプリケーション パフォーマンス監視分野の業界リーダーである AppDynamics は、SAP アプリケーション向けの包括的なモニタリングソリューションを提供する唯一の APM ベンダーです。
全世界の取引収益の実に 4 分の 3 超が SAP エコシステムによって処理されるなど、SAP のシステムは各組織の内部深くに統合されています。しかし Fortune 1,000 社を例にとってみると、基幹アプリケーションに障害が発生した際の 1 時間あたりの平均的な費用は 50 万 ~ 100 万ドル にも及びます。それゆえ既存の SAP 統合環境におけるパフォーマンスの安定化と改善は最優先事項だと言えます。
グローバルな組織に真のエンドツーエンド モニタリングを提供するには、SAP エコシステム全体のカバーが必須。このことに AppDynamics では早くから気付いていました。そこで数年前に SAP ABAP Agent を発表しましたが、現在ではすべての主要業種にわたってお客様を抱えています。AppDynamics のモニタリング製品は、エンドユーザモニタリングから SAP アプリケーション、データベース、エンドポイントに至るまで、SAP エコシステムを包括的にカバーします。
AppDynamics が解決を目指しているのは、次のような問題です。
- SAP の大部分は依然として SAP ECC(ERP Central コンポーネント)を中核に動作し、ABAP で記述されています。ABAP は SAP 環境でビジネスアプリケーションを開発するためのプログラミング言語ですが、他の APM ツールは ABAP コードをインストルメント化できません。そのため SAP アプリケーションでパフォーマンス問題が起きた際に根本原因を特定し、診断することを困難にしています。
- これまで企業は 10 種類を超えるモニタリングツールを使用して、IT 環境を可視化してきました。その結果として各モニタリングツールはサイロ化しています。問題が一箇所ではなく、異なるシステム全体で複数の箇所から発生している場合、運用の複雑さと絶え間なく続くアラートに悩まされることになります。
- SAP は概してブラックボックスであり、大規模な組織ではシステムを社内に合わせるための情報が不足しがちです。このため、アプリケーションのパフォーマンス問題がエンドユーザ エクスペリエンスに与える影響(相関)の特定が困難になり、問題に優先順位を付けることが遅れます。
- 従来の SAP 診断ツールは本質的に「事後対策」です。
問題が起きる前に特定できるツール、それが AppDynamics です。
AppDynamics の SAP モニタリング機能の特徴
ボトルネックを簡単に可視化
AppDynamics のアプリケーション インテリジェンス プラットフォームは、リアルタイムのフローマップ/トポロジを提供します。この中には環境内の SAP コンポーネント/非 SAP コンポーネントに関する詳細な全体像も含まれるため、ボトルネックや問題を簡単に把握できます。
AppDynamics Transaction Scorecard は、アプリケーションを通過するビジネストランザクションのみに基づいて、そのアプリケーションの健全性のサマリーを提供します。
根本原因の分析に役立つスナップショット
AppDynamics は、アプリケーション全体や関連するメトリック全体に対して動的なベースライン を確立できる機能を標準で備えています。アプリケーションのメトリックがベースラインから逸脱し始めると、スナップショットとして詳細に記録します。これは根本原因の分析と問題解決に役立ちます。またコールグラフでは、ABAP がコードレベルで可視化されます。
AppDynamics の ABAP コールグラフには、実行された ABAP コードの各行と、各行の実行にかかる時間(パーセント)が表示されます。コールグラフ上では、実行に最も時間のかかる行が自動で絞り込まれます。
プロアクティブでリアルタイムのアラート
AppDynamics では、定義した条件に基づいて通知を生成したり、その他のアクションを実行したりできます。このアラート機能や対応機能 を使用すれば、警告条件に該当する問題が起きた瞬間や、場合によっては起きる前から把握できます。
主なユースケース
ユースケース 1:SAP ワークロードのアプリケーション パフォーマンス監視
- オンプレミス
- クラウド環境
ユースケース 2:SAP ワークロードの移行
- クラウド
- S/4 HANA
SAP 社では SAP HANA への移行を積極的に促しています。その一環として、ECC や R/3 などの SAP レガシー製品のサポートを 2027 年 12 月までに終了することを発表しました。HANA への移行を終えるまでに 5 年しか残されていない計算になります。このため多数のお客様は S/4 HANA への移行を計画し始めています。
AppDynamics のメリット
AppDynamics は、業界最高の APM ソリューションを展開し、完全にプログラム可能なインフラストラクチャを提供してきました。Cisco Unified Computing System(Cisco UCS)、Cisco HyperFlex System、あるいは Cisco アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(Cisco ACI)をお使いの環境では、大きな付加価値を得られます。シスコ製デバイスから成るインフラとデジタルプロセスを組織全体で迅速にマッピングし、アプリケーションの問題が顕在化する前に特定して解決できます。アプリケーション開発チームやサポートチームにとっては、デバッグと問題解決の度重なるサイクルを排除できるほか、IT 部門にとってはプロアクティブな監視を実現できるメリットもあります。
AppDynamics ソフトウェアにシスコのテクノロジーが統合されたことで、監視と管理の範囲が広がり、全体像を一元的に把握できるようになりました。環境全体から相関データを取得すれば、より包括的なモデルが得られます。IT 運用チーム全体で監視し、さらに生産的に行動できるようになります。
FlexPod Datacenter for SAP Solution with Cisco UCS 向け Cisco Validated Design(CVD)
ご覧いただきたい資料
SAP エコシステムの移行とモニタリングに関するオンデマンドウェビナー をご覧ください。ウェビナーでは Chris Williams 氏(AWS のシニア SAP コンサルタント)、Vani Thiruvengadam(AppDynamics の SAP ソリューションアーキテクト主任)、そして Rich Lane 氏(Forrester 社のインフラ・運用シニアアナリスト)が登場します。
ウェビナーの他にも、SAP 向け AppDynamics ソリューション について詳しくご覧ください。SAP 向けの AppDynamics ソリューションと Datavard Insights に関するブログ記事の第二弾は近日中に公開予定です。お楽しみに。