Cisco Japan Blog
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Cisco DNA 発表から 3 年 ー グリフィス天文台の夕景で思うこと


2019年6月19日


シスコが Cisco DNA(Digital Network Architecture)を発表したのは、2016 年 3 月のことでした(日本では 2016 年 4 月)。それから半年ほど経ったころ、ZDNet Japan のセミナーで「SDN」をテーマに講演しました。その時のレポートが記事として Web で見ることができます。(お父さんがインターネットに出てる!と子供に指摘されて分かったのですが…。)

https://japan.zdnet.com/pickup/network_201612/35093364/

この時、私は「ディスラプションが起きるまで 3 年」と言っていました。あれから 3 年近くが経った今、もはやディスラプションと言う言葉すら聞かなくなるほど普通になってしまいました。また、あらためてレポートを読んでみると、「安心・安全のネットワーク」だの、「経営方針にスピーディに対応する」だの、今と言っていることは意外と大して変わらない気がします。

あの頃との大きな違いといえば、当時はまだそのアイディアを実現する製品がほとんどなかった(!?)のに比べ、今はプログラマビリティだけではなく、テレメトリと言われる(当時は聞いたこともなかった)メタデータを収集してネットワークの健康状態を見える化するアシュアランス機能が、Cisco DNA Center と呼ばれるサーバ アプリで実現されており、すでにお客様にご利用いただいているという点でしょう。

もう 1 つ、「スピード感」にも違いを感じます。今の物事の進み方からすると、当時は何事もまったりとしたテンポで進んでいたな~と思うことがあります。2 年後、3 年後の楽しみのために、今後 3 年間に何が起きるかを予想してみるのも悪くないかも知れません。

さて、3 年前に発表された Cisco DNA ですが、最近、「Cisco DNAの話を聞きたい」という引き合いを数多くいただくようになりました。そんななかで、お客様には共通の悩みがあることに気づきました。それは「人材不足」です。業種によっては労働力不足と言われることもありますが、IT &ネットワーク管理については、知識や経験を含めたブレーン パワーの不足が挙げられます。安定運用を究極の目的とするネットワーク インフラの維持管理は、パターン化された繰り返し作業も多く、あまり生産的な職場には見えないかもしれません。クリエイティブなマインドを持つ若い技術者にとって魅力的に感じてもらえるような「ネットワーク管理」になるためには何が必要なのか?この問いに対する答えがなければ、明るい未来はない気がします。

人にはインスピレーションというモノがあり、所謂ひらめきをもって問題解決ができたときには、ある種の恍惚というと大げさですが、高揚感を経験することがあります。今のネットワークは、あまりにも複雑で高度に組み合わさったハイテクの結晶になっているため、直感をもって問題解決できるレベルに達するためには、人並み外れた知識と経験が必要になります。ところが、ちょっとネットワークから離れた IT の世界を見てみると、ソフトウェア、言い換えるとアルゴリズムの力によって一般的な知識レベルでもある程度は直感で利用できる高度なハイテク分野が存在していることに気づきます。具体的には、オープンソースや仮想サーバの世界です。私の家にも NAS やサーバが仮想環境上に幾つか動いています。10 年前にはサーバ ひとつ立ち上げるにも週末を何回か潰すような(ある種楽しい)時間を過ごしたものでした。今では最初にオプションを指定するだけで、大抵の仮想環境や Linux などの OS は立ち上がってくれるようになっています。直感的に選べる程度の選択だけで自分のやりたいことが達成できるなら、便利であると同時に成功体験と相まってさらに深みにはまることになりそうです。

ネットワーク管理の現場にもそのような直感を使って操作ができて、例えばドラブルシュートができるような、ある種のお手軽な環境を提供できれば、エントリ レベルの IT エンジニアもネットワーク技術者という職種に興味を持ってもらえる、さらには魅力を感じてもらえるのではないでしょうか。

「そのような時代が 3 年以内に来る!」というのが期待を含んだ私の予想です。

PS:写真はロサンゼルス郊外の Griffith Observatory から娘と一緒に見た夕景です。娘は今大学生です。3 年後には就職活動をしているのだと思うと、あっという間にやってくるのかも知れません。

 

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