当記事はより新しい 2020年版がございます。
こちらをご参照ください。
Cisco NSO とは
2018 年 9 月より、非商用ネットワーク向けの評価目的で Cisco NSO(Network Services Orchestrator)が無償で公開されています。Cisco NSO を使うと、主に以下のようなことができます。
- マルチベンダ ネットワーク デバイスに対するコンフィギュレーションを YANG モデリング言語で抽象化できます
- マルチベンダ ネットワーク デバイスに対するプロビジョニング操作を自動化できます
- 管理デバイスへの API(REST、RESTCONF、NETCONF、JSON-RPC)を自動生成できます
ここでは実際にダウンロードし、インストールしてから起動するまでの手順を紹介します。
商用版と評価版の違い
評価版の NSO には以下の制限があります。
- トレーニングや評価が目的であり、商用での使用はできません
- TAC サポートはありません(英語ですが、NSO のコミュニティ [https:/cisco.com/go/nsohub] で質問し、サポートを受けることはできます)
- Cisco NSO サーバのみで NED(NSO と各機器を接続するドライバ)はサンプル用しか付属していません
- Cisco NSO のバージョンは定期的に更新されますが、常に最新を使えるわけではありません
環境の事前準備
Cisco NSO は、Linux およびMac 上で使用できます。ここでは Linux での使用を想定して説明します。Linux は、Ubuntu や Redhat 系のようなメジャーな Linux ディストリビューション上で動きます。Linux をインストールしたら、下記のパッケージをあらかじめインストールしておきます。
- JDK-7.0 以上
- Python 2.7.5 または 3.4 以上
- Ant 1.7.1 以上
- Python paramiko 1.6.4 以上
- make
ダウンロード
まず以下のサイトにアクセスします。
https://developer.cisco.com/docs/nso/#!getting-nso/getting-nso
Cisco NSO には Linux 版と Mac 版があります。ここでは Linux 版を選択します。
上記のように[Get NSO for evaluation (Linux) ]を選択し、CCO ID でログインします。
その後、「ポリシーに同意する」にチェックをして[Download]ボタンを押せば、ダウンロードが開始されます。サイズは 190M バイト程度です。
インストールと起動
ダウンロードしたファイルを、あらかじめ用意しておいた Linux 環境にコピーし、ZIP ファイルを展開します。すると以下のようなファイル展開されます。
- nso-4.7.linux.x86_64.signed.bin
- README-NSO
このうち nso-4.7.linux.x86_64.signed.bin が署名付きの Cisco NSO インストーラになります。このファイルを Linux マシンにコピーしてください。
ファイルの展開
Cisco NSO は署名付きで配布されています。「bash nso-4.7.linux.x86_64.signed.bin」 のように実行すると、以下のように自動で証明書を取得し、ファイルに問題がないか照合の上、インストーラを展開します。
このように、すべて緑の文字で出力されていれば成功です。
ファイルの展開は、前述の通り証明書を取得するため、オンラインでないとエラーになります。オフライン環境で実行する場合には –skip-verification オプションを付けて「bash nso-4.7.linux.x86_64.signed.bin –skip-verification」のように実行します。この場合、証明書を使った照合は行われませんが、同時に展開される cisco_x509_verify_release.py を使って、いつでも手動で照合を行うことができます。
ここで展開される「nso-4.7.linux.x86_64.installer.bin」が、Cisco NSO のインストーラになります。
インストール
NSO のインストールはとても簡単で、「bash nso-4.7.linux.x86_64.installer.bin NSO-4.7」のようにインストーラにオプションを付けて実行するだけで完了します。
コマンドの書式は以下のようになっています。
$ bash <Cisco NSO インストーラ.bin> <インストールフォルダ>
ここではインストール フォルダに NSO-4.7 という名前を指定していますが、任意の名前で問題ありません。Cisco NSO は、サーバにサービスとしてインストールする System Install と、単一フォルダにインストールする Local Install をサポートしています。Local Install は、そのフォルダを消せばアンインストールが完了しますので、開発・評価に非常に向いています。ここでは Local Install を使います。
このあと、source <インストールフォルダ>/ncsrc コマンド(ここでは「source NSO-4.7/ncsrc」)を実行し、Cisco NSO の環境設定を読み込んでおきます。すると、ncs_cli など Cisco NSO 関連のコマンドが使えるようになります。
プロジェクトの作成と起動
Cisco NSO を使うにはプロジェクトフォルダを作り、そこから起動します。これらの作業は、以下のようにコマンド数行で完結します。まず「 ncs-setup –dest <プロジェクトフォルダ名>」コマンドでプロジェクトフォルダを作成後、そのフォルダに入って ncs とコマンドを入力するだけで Cisco NSO が起動します。ここではプロジェクトフォルダ名を ncsrun としていますが、任意の名前で問題ありません。
ncs コマンドを実行後、ブラウザで、http://<Linux の IP アドレス>:8080/ にアクセスし、GUI が表示されたらインストール完了です。
デフォルトのログイン名とパスワードは、共に admin です。ログインが成功すると、下記のようなメニューが現れます。
このように、NSO はとても手軽にインストールできます。NSO のインストール フォルダにある doc フォルダ(ここでは NSO-4.7/doc )に様々なドキュメントがまとまっています。まずは doc/pdf/nso_getting_started-4.7.pdf から始めると、Cisco NSO の機能を簡単に理解することができます。