この記事は、シスコのフェロー兼バイスプレジデント、コラボレーション ビジネスの CTO である Jonathan Rosenberg によるブログ「Cisco Spark and Webex Platform Convergence: More than a Rebrand」(2018/4/18)の抄訳です。
シスコは、今週フェニックスで開催したシスコ コラボレーション サミットにおいて、Cisco Webex プラットフォームと Spark プラットフォームの統合に関する一連の重要な発表を行いました。これには、新しい Webex Meetings アプリケーション、新しい Webex Teams アプリケーション(旧称 Cisco Spark)、新しい Webex Assistant、Webex Share ハードウェア デバイスなどに関する発表が含まれています。
シスコのアナウンスの概要と、新製品に対するお客様の反応をご覧ください。
Webex と Spark のプラットフォーム統合は、単なるブランド変更をはるかに超越しています。プラットフォームの統合にはかなりの技術的作業が費やされています。ここでは、お客様にとっての主なメリットをいくつかご紹介します。
Spark Meetings からWebex ミーティングに移行
統合する以前、Cisco Spark には Spark ミーティング、Webex には Webex ミーティングと、各アプリケーションは独自のミーティング機能を備えていました。Cisco Spark ミーティングには Cisco Spark アプリケーションから、Webex ミーティングには Webex アプリケーションから参加する必要がありました。馴れたユーザであれば Cisco Spark から Webex ミーティングに参加することもできましたが、その場合、重要なミーティング機能が利用できませんでした。今回の統合によって、すべてがシンプルになりました。ミーティング機能はすべて Webex ミーティングに統合され、参加者リスト、ミーティング管理、PSTN 接続などのよく使う機能も提供されます。これにより、あらゆる Webex ミーティングに WebEx Meetings アプリケーションまたは Webex Teams アプリケーションから参加できます。Webex Teams は、Webex チーム ミーティングと呼ばれる新しいタイプのミーティングをサポートします。参加者が 1 つのスペース内にいる利点を活かして、安全性が高く使いやすい新しいタイプの Webex ミーティング、つまりチーム ミーティングを提供します。
Webex のバックボーン ネットワークがすべてのミーティングをサポート
統合以前、Webex と Cisco Spark はどちらもミーティング機能を備えていましたが、かなり大きな違いがありました。バックエンドに関して言うと、Webex ミーティングは Webex データセンター内のサーバによってサポートされ、強力な Webex バックボーン IP ネットワークと相互接続されていました。この IP ネットワークは、お客様の ISP とシスコのミーティング サーバ間でグローバル トランスポートとして機能し、ビデオ品質を考慮して最適化されています。Cisco Spark ミーティングはパブリック クラウド内のサーバによってサポートされるため、Webex バックボーンを使用していませんでした。
統合された現在、Webex Meetings アプリケーションからの参加でも Webex Teams アプリケーションからの参加でも、すべてのミーティングに Webex バックボーンが使用されるようになりました。ミーティング サーバは、パブリック クラウドとシスコのデータセンターの両方にあります。両者は Webex バックボーンによって相互接続されます。つまり、可能な限り最高品質かつ最短遅延のミーティングを実現できます。この点はビデオにおいて特に重要です。Webex のバックボーンはビデオ ミーティング用に構築されたものだからです。
Control Hub に、Webex の分析とトラブルシューティングのための強力な機能を搭載
統合以前、Cisco Spark の管理ツール(Control Hub)には、Cisco Spark 向けの基本的な分析機能がいくつかありました。一方で Webex のお客様は、優れた分析機能を備えた別のツール(サイト管理機能)を使用していました。今回のプラットフォーム統合により、Control Hub は、Webex Meetings と Webex Teams の両方を使用してお客様をサポートするようになり、Webex Meetings の分析機能が大きく飛躍しました。
ハイブリッド メディア サービスの名前がビデオ メッシュに変わり、すべての Webex ミーティングで使用可能に
統合以前、Cisco Spark には、ハイブリッド メディア サービスと呼ばれる素晴らしい機能がありました。このサービスを利用すると、オンプレミスでサーバを導入し、Cisco Spark ミーティングでの音声、ビデオ、およびコンテンツ共有ストリームのために使用することができました。しかし、これは Cisco Spark ミーティングにしか使えませんでした。今回の統合によって、あらゆるタイプの Webex ミーティング(通常の Webex ミーティング、PMR ミーティング、Team ミーティング)に、これらのハイブリッド メディア ノードを使用できるようになりました。
SIP エンドポイント、シスコのクラウド接続ビデオ エンドポイント、または Webex Teams アプリケーションから参加するユーザは、どのミーティングに参加する場合でも、前述のメディア ノードに接続します。ハイブリッド メディア サービスからビデオ メッシュへの名称変更は、今回の革新的な統合と、それに伴うメディア ノードの利用拡大を反映しています。
業界初、マルチカンパニー対応のセキュアなコラボレーション ソリューション
Webex Teams に限ったことですが、バックエンド統合により、業界初のソリューションの提供が可能になりました。社外で仕事をする機会がますます一般化しています。シスコの競合製品では、クラウド内のチーム コラボレーション インスタンス上にゲスト アカウントを作成可能とすることによって、これに対処しています。社外でコラボレーション作業を行う場合、エンド ユーザはゲスト アカウントの作成を管理者に依頼する、複数のアカウントを管理する、アプリケーションへのログインとログアウトを行う、などの作業が必要です。これはたいへん面倒であるだけでなく、大きなセキュリティ リスクも生み出します。ゲスト アカウントを使うと、コンプライアンス ツールでは追跡できないやり方で情報を社外に共有することが可能になります。このため、従業員が誤って、または意図的に、機密情報を社外に共有する危険性があります。社外に共有しても会社が気づくことはなく、流出を止める対策が実施されることはありません。
シスコは、この問題を Webex Teams で解決しました。Webex Teams では、すべてのユーザが、単一の共有クラウド インスタンス内に存在します。アカウントはユーザ 1 人につき 1 つだけです。ゲスト アカウントはありません。B2B コラボレーションが組み込まれているため、ユーザは、自社の IT 担当者に助けを求めることなく、会社の内外を問わず誰とでも、同じアプリケーションから共同で仕事をすることができます。さらに、自社従業員が機密情報を社外に共有していないことをそれぞれの会社で確認でき、もし共有された場合でも、その検出と対策が可能になります。Webex は、マルチカンパニー対応のセキュアなコラボレーションを提供する業界初のチーム コラボレーション ソリューションです。
これまで述べてきたように、Cisco Spark と Webex の統合は、単なる表層的なものではありません。素晴らしい一連のメリットをお客様にもたらす、プラットフォーム レベルの統合なのです。