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CloudCenter 4.9 は Kubernetes と Azure Stack をサポートします


2018年5月21日


Kurt Milneこの記事は、シスコの CloudCenter 担当マーケティング マネージャーである Kurt Milne によるブログ「CloudCenter 4.9 Now Supports Kubernetes and Azure Stackpopup_icon(2018/5/1)の抄訳です。

 

シスコ チームは、マルチクラウド ソリューションを継続的に顧客に提供する取り組みを強化しています。そのための CloudCenter 4.9 がリリースされましたので、ご紹介します。このリリースにはいくつかの主要な更新が含まれています。その中には、Kubernetes および Azure Stack のネイティブ サポートや、最近買収した Cmpute.io チームが提供する新機能が含まれます(ただしこれに限られません)。

では、CloudCenter 4.9 リリースでの新機能について詳しく調べてみましょう。

Kubernetes のサポート

シスコのマルチクラウド戦略の主要な部分は、コンテナ オーケストレーション プラットフォームとしてのオンプレミスとクラウドベースの Kubernetes を広範にわたってサポートすることです。Kubernetes は、顧客がアプリケーションを構築して実行する方法を変革する本番運用レベルのソリューションです。しかし、CloudCenter、AppDynamics、および最近発表された Cisco Container Platform といったシスコ ソフトウェア ソリューションの広範なポートフォリオに加えて、Hyperflex や ACI などのインフラストラクチャ ソリューションにおいて、共通の統合ポイントとしての役割も果たします。また、Kubernetes の広範な製品サポートは、シスコと Google によるオープン ハイブリッド クラウド ソリューションの基盤を提供します。

シスコでは、コンテナベースのワークロードとコンテナ オーケストレーションを本番環境でサポートすることは、VM ベースの IT ツールや運用ワークフローを利用する顧客にとって大きな変更であることを認識しています。現在、Kubernetes の CloudCenter サポートは、IT 運用部門が本番運用レベルのコンテナ オーケストレーションを本番環境で使用する場合や、複数のビジネスや IT グループにおいて大規模にわたって使用する場合に、主要な課題に対処するのに役立ちます。

CloudCenter 4.9 のリリースを使用すると、ユーザはインターフェイスおよびアプリケーション ライフサイクル管理機能を使用して、コンテナ化されたアプリケーションを Kubernetes クラスタに展開し、管理できます。クラスタは、新しい Cisco Container Platform によって作成されたプライベート データセンターに展開されているものであっても、Google Kubernetes Engine など、クラウド内の Container as a Service(CaaS)環境にホストされているものであっても構いません。

コンテナ化されたワークロードの Kubernetes への展開は珍しいことではありません。しかし、CloudCenter が、コンテナ化されたワークロードを Kubernetes に展開する場合でも、VM ベースのワークロードをオンプレミス環境やクラウド環境に展開する場合でも、どちらも論理的に同一の方法で展開できるということです。CloudCenter では、コンテナベースのサービスは VM ベースのアプリケーション サービスと同じレベルに引き上げられます。CloudCenter では、VM ベースのワークロードとコンテナベースのワークロードを一貫して監視するために、AppDynamics エージェントを導入することができます  (詳細については、新しい Kubernetes 向けの AppDynamics を参照してください)。

まとめると、CloudCenter は Kubernetes を強力で一般的なものにするオーケストレーションを VM ベースのワークロードにも適用します。

非常に重要な 4 つの理由は次のとおりです。

1IT 運用部門のコンテナ移行を合理化する

4.9 の時点で、コンテナ サービスを使用してアプリケーション プロファイル(展開可能なブループリント)をモデル化し、それを Kubernetes クラスタに展開できます。これにより、コンテナ化されたワークロードを柔軟な方法で展開し、管理できるようになります。このことは、コンテナベースのワークロードの展開および管理ソリューションで最低限行うべきことです。

しかし、CloudCenter を使用すると、VM ベースまたはクラウドベースのサービスと併せて、コンテナベースのサービスを含むアプリケーション プロファイルもモデル化できます。そして、その 1 つの「ハイブリッド」のブループリントを Kubernetes と従来の VM 環境またはクラウド環境に展開することができます。このことは、従来のエンタープライズとクラウドネイティブのアプリケーション アーキテクチャの両方に有効です。また、オンプレミス環境とクラウドをターゲットとする環境の柔軟な組み合わせをサポートします。

ハイブリッド トポロジ – コンテナ、VM、クラウド サービスを 1 つの導入環境で統合管理

ハイブリッド トポロジ – コンテナ、VM、クラウド サービスを 1 つの導入環境で統合管理

CloudCenter の「Either / Or」ハイブリッド トポロジ アプローチは、IT 組織が開発者をサポートし、Kubernetes への新しい期待と要求を本番運用でただちに実現する優れた方法です。また、IT 運用部門が VM 指向のツールを使用して運用プロセスを実行する現在の状態から、ほとんどのワークロードおよび IT 運用部門のツールやプロセスがコンテナ向けに大規模に最適化される将来の状態への橋渡しを行います。

2:詳しい専門知識なしで Kubernetes を利用する

Kubernetes の本番運用への導入が成功すると、IT 運用部門の複数の役割のニーズに対応する必要があります。クラスタ オペレータとアプリケーション オペレータの役割についてははっきりしています。では、Kubernetes に関する詳しい専門知識を持つ、またはそうした知識を持たないより一般的な開発者についてはどうでしょうか。  そのような開発者を「Kubernetes 利用者」と呼びます。

kubectl コマンドに精通していない、または関心がない開発者のために、CloudCenter は、ユーザが「展開」をクリックするとすぐに各導入環境に固有の pod マニフェスト ファイル(.yaml 形式)を自動生成します。CloudCenter は、使い慣れた CloudCenter モデリング ツールで説明されている主要なパラメータを使用し、Kubernetes で使用できるように YAML ファイルを自動生成します。なぜなら、YAML を作成したいと思うユーザはいないからです。

KubeCon Austin からのツイートで最も多いリツイートは、@kelseyhightower keynote からの引用

KubeCon Austin からのツイートで最も多いリツイートは、@kelseyhightower keynote からの引用

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3Kubernetes プラットフォームのロックインを避ける

自動生成 YAML ファイル アプローチにおいて、あまり知られていないものの、おそらくより価値の高い局面は、Kubernetes の重要な神話を明らかにしていることです。その神話とは次のようなものです。「開発者は任意のアプリケーションを選び、Docker コンテナにパッケージできます。そのアプリケーションを、開発者の関心の対象すべてに関して宣言型 YAML で説明し、ロックインのない任意のクラウドでそれを実行できます。」

ある場合に、これは正しいと言えるかも知れません。しかし、「開発者の関心の対象すべて」には、環境固有のパラメータ、たとえばストレージ ドライバ、ネットワーク構成、セキュリティ構成などが含まれる場合があります。ユーザがターゲットの Kubernetes 環境(たとえば、オンプレミスや GKE など)を選択した後で、導入時に CloudCenter に YAML ファイルを自動生成させることにより、コンテナおよび「開発者の関心の対象すべて」は、ある程度移植可能性とクラウドに依存しない状態を保持します。CloudCenter は、Kubernetes 環境全体で移植可能な状態になります。

さらに、このアプローチを使用すると、実際に CloudCenter へのロックインを回避できます。CloudCenter は、Cisco Container Platform およびクラウド Kubernetes サービスと連携します。エンタープライズにコンテナと Kubernetes を導入する他のコンテナ管理プラットフォームは、独自のツールとテクノロジーを使用して Kubernetes を取り込みます。これらは独断的なサービスに基づくことはないとしても、依然としてコンテナ化されたワークロードをそれ自体のプラットフォームにロックインします。CloudCenter と Cisco Container Platform を使用すると、ロックインを回避して、純粋な Kubernetes を入手できます。

4IT ガバナンスおよびコントロールを本番運用に適用する

多くの IT 組織は、本番運用での Kubernetes の基本についていまだ熟慮しています。何個のクラスタが必要ですか。リソースのクォータを名前空間レベルで適用する必要がありますか。クラスタ内およびクラスタ間でどのようにネットワークを監視および管理しますか。

しかし、その他の計画は進んでおり、複数の開発およびアプリケーション運用チームにおいて使用を拡大し、従来の IT ガバナンスとコントロールの課題について検討しています。クラスタの作成または変更を始めるのは誰ですか。クラスタにアクセスするのは誰ですか。本番運用で kubectl コマンドの実行を開始するのは誰ですか。セキュリティ チームはコンテナ サービスを本番環境で展開する前に検証を行いますか。オンプレミス環境およびクラウドでどのように使用目的とコストを制限しますか。

ガバナンス ラッパーは複数の Kubernetes 環境にまたがる

ガバナンス ラッパーは複数の Kubernetes 環境にまたがる

マルチクラウド管理プラットフォームとしての CloudCenter の機能は Kubernetes にも適用されます。CloudCenter サービス ライブラリを監督して、検証済みのコンテナ サービスのみ含まれるようにすることができます。使用コントロールを、オンプレミスの VM またはクラウドベースの環境と同様に、Kubernetes 環境に適用できます。誰が、何を、いつ、様々な実施前および本番 Kubernetes クラスタのどこに展開できるのか判別するために、役割と権限を設定できます。

Kubernetes を使用してダウンロード、インストール、および開始するのは簡単です。しかし、本番レベルの Kubernetes を本番運用で機能させるには、多くのことを実行する必要があります。CloudCenter 4.9 は、Kubernetes を複雑な IT 組織内で大規模に機能させるための重要なガバナンスとコントロールを適用するために、数多くの難題を解決します。

CloudCenter 4.9 のリリースには、Kubernetes のサポートに加えて、各種の重要な機能が付属しています。

Azure Stack サポート

CloudCenter は、Microsoft の Azure Stack をオンプレミスのクラウドで標準の導入環境としてサポートしています。また、これはシスコの Cisco UCS インフラストラクチャ上の Azure Stack ソリューションでも機能することが検証されています。現在、CloudCenter を追加することにより、ガバナンスとコントロールを実装した Azure Stack 環境にアプリケーションを自動的に展開し、管理することができます。

コスト コントロール機能の追加

Cmpute.io の買収は、1 月に完了し、買収したチームと製品は、すでに機能を最新の CloudCenter リリースに追加しています。次のような機能があります。

  • 非標準ディスカウントを含むコスト計画:非標準ディスカウントをクラウド ベンダーと交渉する顧客の場合、CloudCenter に表示されているすべての使用済みサービスにディスカウントを設定し、グローバルに適用できます。以前は、カスタム ディスカウント率を使用する場合、管理者は各サービスのディスカウント価格を計算し、手動で入力する必要がありました。現在では、CloudCenter が価格を自動的に同期し、更新すると、追加のディスカウントがすべての標準のクラウド表示価格にグローバルに適用されます。
  • 複数通貨のサポート:ユーザは、オプションとしてコスト情報を複数の通貨で表示することを選択できます。それには、US ドル、ユーロ、GBP、中国元、日本円などがあります。通常、クラウドの料金は USD で取り引きされます。しかし現在では、プラットフォーム管理者が為替レートを設定でき、ユーザは現地通貨で費用を追跡できます。
  • クラウド アカウント使用レポート(AWS のみ):管理者は、アカウント固有の詳細な使用状況情報を CloudCenter に直接表示できます。このようにして、AWS クラウド ポータルにログインしないで、ストレージやネットワークのコストを含む請求書全体を視覚化することができます。

自動スケーリングの強化

CloudCenter は、マルチノード使用状況メトリックに基づく自動スケーリングをサポートしています。以前は、スケーリングは、CPU 使用率などの単一ノード メトリックに基づいて実行されていました。現在、スケーリングは、一定のノード パーセンテージがしきい値の CPU 使用率を超えた場合などの、マルチノード メトリックに基づいて実行できます。

地域間の DR

CloudCenter は、非常に大規模な顧客導入環境で使用されてきました。しかし現在では、地理的に離れたデータセンターにおいて高可用性をサポートしています。顧客は高可用性を実現し、CloudCenter Manager を同じデータセンターにコロケートしなくてもアーキテクチャを分散できます。

各種クラウド プロバイダーの強化

シスコの顧客は、各種クラウド環境でワークロードを展開して管理するのに役立つ新機能のアイデアを次々と提供しています。そのため、シスコでは、CloudCenter 4.9 に、Amazon Web Services、Microsoft Azure Pack および Azure RM、IBM Bluemix、VMware vCenter、OpenStack(Pike)、Google Cloud Platform などの環境用の広範に及ぶクラウド固有の機能強化が含まれていることを確認しました。

シスコではあらゆる場所にいる顧客にマルチクラウド ソリューションを提供することを目指しているため、全般的に見て CloudCenter 4.9 は素晴らしい第一歩と言えます。しかし、これで終わりではありません。今年後半の CloudCenter リリースに取り組みながら、追加の主要な機能とアークテクチャの機能強化について明らかにする予定です。

CloudCenter で休むことなく作業に携わったすべての開発者に対し、深い感謝を表します。

詳細については、CloudCenter 4.9 リリース ノートを参照してください。

 

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