この記事は、Cisco DevNet 担当 VP 兼 CTO である Susie Wee によるブログ「DevNet Delivering New Fast Lane Validation Program for iOS Developers」(2017/6/5)の抄訳です。
昨年私は、Apple とシスコのパートナーシップについての記事をブログで見て興奮しました。開発者にとって iOS 10 の新機能には目を見張るものがありましたが、それ以降もさまざまな動きがあり、開発者のチャンスはますます広がっています。
本日は、iOS 開発者向けの DevNet ファスト レーン検証プログラムをご紹介します。
Apple とシスコのパートナーシップによって、企業は高品質の Wi-Fi 接続を提供するとともに、自社ネットワーク環境内で重要なビジネス アプリケーションに優先順位を付けることが可能になりました。モバイル アプリケーションは、ワークフロー全体を再構築し、ビジネスに変革をもたらすための主要な手段になっているため、技術的優位性を得られる要素になります。
新サービスを導入する際、企業は従業員の生産性や顧客にとって重要なアプリケーションを優先します。
これは私の家庭でも同様で、2 才の娘でさえも祖父母と話すときに「接続不良」による音質悪化をとても嫌がるのです(これは彼女にとっていわゆる「ビジネス クリティカル」です)。企業ネットワークに目を向ければ、Wi-Fi 接続不良やパフォーマンス低下が、医療、製造、金融サービス、小売などの産業のビジネスの妨げになりうることは容易に想像できます。たとえばショッピング モールや遊園地で AR/VR エクスペリエンスを提供する際などは、iOS 10 SDK を使用してモバイルアプリ/データをビジネス クリティカルとしてタグ付け(QoS)することにより、ビジネス ネットワーク上で該当データを優先的に処理できます。
ご存知のとおり、ビジネスにとって各アプリケーションの重要性は必ずしも同等ではなく、音声やビデオといった遅延の影響を受けやすいサービスを少し優先するだけでも大きなメリットがあります。しかし、適切なインフラストラクチャを利用して完全なエンタープライズ環境を構築し、特定アプリケーションの効率的な動作と、ネットワーク上における iOS デバイスの優先処理を自動的に両立するのは非常に困難です。ただしこれが実現すれば、重要業務に不可欠なアプリケーションを優先的に処理できます。これは、優先順位の高いアプリケーションのためにネットワーク上の「ファスト レーン(追い越し車線)」を確保することに例えられます。
稼働環境におけるアプリの動作を評価するため、ファスト レーン対応ネットワークでは、iOS デバイス上で動作する実際のビジネス クリティカルなソフトウェアにより多数の医療アプリが社内テストされました。無線を介してすべての患者情報を介護士と医療提供者に提供できるようにすることは、病院環境で非常に重要なことであり、それを左右するのはネットワーク インフラストラクチャです。このテストの結果、ファスト レーン対応ネットワークでは、音声とビデオの品質が飛躍的に向上し、アクセス ポイント間のローミングも最適化されたことが確認されました。これらはすべて、医療環境にとってビジネス クリティカルな要素です。
こうした結果は、重要なビジネス アプリケーションの設計と開発を手掛ける iOS アプリケーション開発者にとっても重要です。そこで DevNet では、サードパーティ iOS アプリケーション開発者との連携を拡張し、モバイル アプリケーションが正確にタグ付け(QoS)されており、アプリケーションが Wi-Fi 向けに最適化され Cisco Wi-Fi ネットワークで優先処理されるかどうかの検証を支援することになりました。これが「ファスト レーン検証プログラム」です。
Cisco DevNet では、iOS アプリケーション開発者向けに、テストベッドへの高額費用を必要とせずにシスコ インフラストラクチャ上で iOS アプリを検証できるサービスを提供しています。DevNet が提供するシスコ エンタープライズおよびクラウドマネージド Cisco Meraki インフラストラクチャのテスト ベッドで、アプリケーションの QoS タグをテストできます。本日の Apple からの最新の発表のとおり、DevNet ではこの検証プロセスを拡張し、テスト ベッドに iOS 11 および macOS を追加する作業を進めています。シスコの Web サイトでは、ファスト レーンを通じたアプリケーションのパフォーマンス向上を実際に確認することや、Cisco DevNet チームに直接問い合わせることもできますので、興味をお持ちの開発者様はぜひご利用ください。
iOS アプリケーション開発者にとってのもう 1 つのニュースは、先日公開された Cisco Spark SDK for iOS です。この開発者向けキットを使用すると、iPhone および iPad 用アプリに Cisco Spark 機能を手軽に組み込めます。つまり、シスコが提供する優れた音声およびビデオ機能を、既存のアプリケーション ワークフローやユーザ インターフェイスに追加できるのです。ユーザは、アプリケーションを変更する必要もフローを停止させる必要もありません。アプリケーションを通じて商品を注文するユーザは、アプリケーションから離れずに、購入中に注文画面から直接カスタマー サービスにアクセスできます。
また、アプリケーションが適切な QoS タグを使用してビジネス向けに最適化されている場合、アプリケーション内からのビデオ通話はお使いの Cisco Wi-Fi ネットワーク上で優先的に処理されます。
この SDK の機能により、特に金融サービスや医療などの産業向けや、営業、マーケティング、タスク管理、小売、さらにはリモート技術サポートやモバイル サービスワーカー向けの用途にも、アプリケーションを無制限にカスタマイズできます。
各ウィジェットや SDK のクイック スタート ガイドを含む詳しい情報については、Cisco Spark SDK およびウィジェット ページ から入手できます。数行のコードだけで、すばやく簡単に使用できます。DevNet では、Cisco Spark 統合機能を直接ご体験いただけます。
エンタープライズ アプリケーションを開発するすべてのアプリケーション開発者の皆様に、Cisco DevNet を通じてお問い合わせくださることをお勧めします。iOS アプリケーションの検証と社内ユーザへの提供は、シスコが支援いたします。https://developer.cisco.com/site/apple を開き、ページ下部の Contact Us リンクをクリックするだけの簡単な操作ですので、お気軽にお問い合わせください。
先月、DevNet では初めての開発者向けカンファレンス、DevNet Create を開催しました。このイベントのために、Apple とシスコは共同で QoS タギングと Spark 統合を中心とする「iOS ミニハック」を作成しました。ミニハックは、開発者にとって、直接シスコのエキスパートの支援を受けながらテクノロジーをじかに体験できる素晴らしい機会となりました。開発者様からご好評をいただいたため、今月末に開催される Cisco Live Las Vegas の DevNet Zone 用にもミニハックを作成する予定です。皆様にお目にかかれることを楽しみにしております。
今後数か月のうちに、企業内で使用されている Apple 製品のユーザおよび開発者向けに新たな機能を発表する予定です。どうぞご期待ください。また、Apple とのパートナーシップが将来的にお客様にもたらすメリットについて Rowan が自身のブログで掲載しています。こちらからご覧ください。
DevNet は、アプリケーションをファスト レーンに対応させられるように開発者をサポートします。
チーム一同、皆様を応援しています!