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屋内での LTE 利用


2014年9月11日


この記事は、シスコのモバイル ソリューション担当マネージャーであるアンドリュー・マッケイ(Andrew Mackay)によるブログ「Bringing LTE Indoorspopup_icon(2014/8/5)を意訳したものです。

LTE ネットワークの導入が進むにつれて、既存の 3G に匹敵するカバレージ提供に関する課題が明確になってきています。初期の 3G を振り返ってみると、既存の GSM に匹敵するカバレージを 3G で実現するまでに長い年月を要しました。jまた、高いキャリア周波数(2.1 GHz)と部分的な初期オーバーレイに起因して、屋内の奥まった場所は接続不能な「コールド スポット」のまま残りました。結果として、3G での通話の信頼性は低くなり、加えて電池消費量の増加も見られたため、多数のユーザがフラストレーションを感じて 3G を無効にして使わないようになったのです。時間の経過とともに、通信事業者は、コールドスポット対策用 BTS への投資を増やし、インビルディング システム(In-building System: IBS)とリピータの使用を拡大しましたが、屋内のカバレージの問題を本当の意味で解決するには 3G カバレージが「セーフティ ネット」として 850/900 MHz に展開される必要がありました。

日本と韓国を除くアジア地域では、主に 1.8 GHz 帯域以上で LTE が展開されています。このため、一般的な LTE ユーザは、屋内の奥まった場所にいるとき、通勤時、自宅内にいるときなど、日常的に 3G(850/900 MHz)に戻して利用しています。初期段階では、データ サービスについて LTE から 3G に戻した場合のユーザ エクスペリエンスは、それほど不快ではないかもしれません。多くのネットワークで、音声はまだ 3G に頼っているためです。さらに屋内では、多くの場合、優れた Wi-Fi サービスを利用して、不足した帯域幅を補うことができます。とはいえ、これは最終的にブランディングの問題となります。4G サービスに加入する顧客は、そのレベルのサービスを期待するので、サービス プロバイダーの 3G アイコンを見たいとは思わないでしょう。音声やストリーミング ビデオなど、4G のリアルタイム サービスの提供では、問題はさらに大きくなります。それでは、このようなサービスの「ホール」を回避するにはどうすればよいでしょうか。

「危険:前方に 3G ホールあり」

多くの通信事業者から、VoLTE(Voice over LTE)の広域展開を検討する前に 1GHz 未満の LTE を待つという話を聞きます。 APAC地域においては日本と韓国が最も進んだVoLTEマーケットで、800MHz LTEが展開されています。アジアのこれ以外の地域では、LTE APT700MHz の幅広い展開という形での周波数再編(digital dividend)を待たなくてはなりません。台湾やオーストラリアでネットワークの展開が始まっていますが、たとえネットワークが届いたとしても、多くのデバイスが新しい帯域をサポートするまでには長い時間がかかります。3G 帯域の再割り当ては、それほど簡単ではありません。VoLTE のカバレージが拡大されるまで 4G に移行できない状況で、音声を多用するキャリアの帯域を割り当て直すにはどうすればよいのでしょう。映画「catch-22」さながらの矛盾とジレンマです。

考えられる解決策の 1 つとして、音声の応急処置に Wi-Fi を活用する方法が挙げられます。実際、英国の通信事業者 ThreeEE が VoWiFi(Voice over Wi-Fi)戦略について議論中であるという最近の記事にも、この手法が掲載されています。EE の事例では、LTE のカバレージホールを埋めるために使用する VoWiFi の役割が明らかにされました。「VoWiFi の狙いは、屋内の受信可能範囲を改善することです。通話は Wi-Fi 経由で自動的にルーティングされます。たとえば、ユーザが自宅やオフィスの携帯電話を使えない場所にいる場合などです」。T-Mobile の米国ネットワークで Wi-Fi 通話を iOS8 がサポートするという発表を受けて、VoWiFi はさらに注目を集めました。

「iOS8 が VoWiFi を追加」

 

VoWiFi について予測される課題は、「キャリアクラス」のユーザエクスペリエンス提供です。音声品質は不安要素ではありません。輻輳していないアクセスポイントではHD音声品質が十分に維持できるからです。問題となるのは、モビリティ上の制限となります。現在のところ、Wi-Fi 信号が弱くなると、VoIP(Voice over IP)に必要な接続品質を下回っても、携帯電話回線に切り替えることなくクライアント端末はWi-Fi 接続を続けようとします。もう 1 つの問題は、通常の使用状況において、異なるWi-Fi ネットワーク上ではアップストリーム接続性に違いがあることです。たとえば、職場のワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の場合、企業のポリシーに従ってSIP( Session Initiation Protocol)のトラフィックがブロックされることがあります。いずれも、通話着信上の大きな課題となります。ユーザは通話を完了するまで待つか、音声メールに転送されることになります。

屋内のカバレージが狭い LTE にとって Wi-Fi は重要な応急処置になりますが、筆者は、最終的に Wi-Fi に担わせる役割は、リアルタイムではない帯域幅のワークロードを引き受ける補足的なものにした方がよいと考えています。リアルタイム サービス、特に音声に対して、現在の 3G のユーザ エクスペリエンスに匹敵する(または超える)十分な LTE のカバレージと容量を提供することができれば、理想的と思われます。なお、複数の RAN ツール(より低い周波数帯域、LTE スモール セル、リピータ、リレーおよび IBS)を使用できるようになると、この目標を達成する方法は時間と最適な TCO ビジネス事例の問題になりますが、これはまたまったく別の話題です。

 

屋内での音声とデータのカバレージと容量に対する公共および民間セクターのニーズの高まりに対応するための、スモール セルの現在と将来の役割の詳細については、http://www.cisco.com/jp/go/smallcell  を参照してください。屋内での音声とデータのカバレージと容量に対する公共および民間セクターのニーズの高まりに対応するための、スモール セルの現在と将来の役割の詳細については、http://www.cisco.com/go/smallcell [英語] を参照してください。シスコの LTE テクノロジーに関するページにアクセスする方法については、シスコの Twitter フィード @CiscoSPMobility を確認するか、ジャクリーン・チャン(jacqchan@cisco.com)にお問い合わせください。

 

 

 

 

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