前回ご紹介した Interop でのビデオ エンドポイントの展示はいかがでしたでしょうか? 今回は、展示した製品の中から Cisco DX シリーズについて、掘り下げてご説明します。シスコのビデオ エンドポイントには、MX シリーズ、SX シリーズ、DX シリーズがあります。そのなかで Cisco DX シリーズはデスクトップ向けのビデオ端末となります。
進化するワークスタイル
社内や社外のコラボレーションで今後重要になってくるのは「ビデオ」です。いままでのビデオを利用したコミュニケーションは、専用の会議室に行って利用するものや、PC の Web カムを使ったアプリケーションが主流でした。
これからのビデオ コラボレーションは、社員の自席や在宅からでも、シームレスに、まるで相手が目の前にいるかのようにアイコンタクトが取れ、PC やノートの画面を共有しながら遠方と協同作業できるものになります。このように、いつでもどこからでも一緒に作業ができる「新しい働き方」を実現するのが、Cisco DX シリーズです。
Cisco DX シリーズ
Cisco DX シリーズは小型のビデオ端末ながらフル HD に対応した、Android OS 搭載のビデオ エンドポイントです。7 インチの電話機型 Cisco DX 650 に加えて、14 インチの Cisco DX 70、 23 インチの Cisco DX 80 が仲間に加わりました。そして Cisco DX 650 の白色モデルもリリースされました。
Cisco DX 650 の形状は電話機ですが、外部ディスプレイや外部 USB カメラをサポートし、小さいながらも大きなディスプレイにフル HD の画質で出力することができます。 共有された資料を外部ディスプレイに出力しながらビデオ会議を進めることができます。また、Power Over Ethernet(PoE)で電源共有ができるので、デスクの周りの配線もスッキリです。
Cisco DX 70 および Cisco DX 80 は、それぞれ 14 インチと 23 インチの一体型システムで、オフィスはもちろん自宅のデスクにディスプレイとして置いても違和感のないスタイリッシュなデザインです。
ビデオ会議を実施しないときには、テキストチャットの Jabber や WebEx の端末として利用することができます。また PC の外部ディスプレイとして利用して、その PC の出力をビデオ通話の相手と共有することもできます。
カメラには「書画カメラ モード」があり、カメラを手前に倒すことで手元の資料を相手に見せることができるようになっています。
これらの機能により、共同作業がよりいっそうやりやすくなります。
デバイスの運用
前述したように、Cisco DX シリーズには Android OS が搭載されています。Android スマートフォンや Android タブレットは、一般的に「パーソナル」なデバイスとして利用します。しかしビデオ端末は、個人用端末として利用する場合もありますが、オフィスで端末を共用する、あるいは小さな会議室に置く、というケースも考えられます。 Cisco DX シリーズは、Cisco Unified Communications Manager によって、これらのデバイスを設定・管理・運用するだけではなく、その特性をも管理者が変えることができます。
下記が Cisco Unified Communications Manager の Cisco DX シリーズの管理画面です。
Android OS のアップデートや、リモート ワイプおよびロック、セキュリティ ポリシー、Google Play Store へのアクセスや社内アプリケーション配信に対応しています。
この設定項目の中に Device UI Profile があります。このプロファイルによって、エンドユーザがアクセスできる項目を変更することができます。
1. Simple モード
ビデオ会議としての利用に特化した ユーザ エクスペリエンス になります。 汎用の Android のアプリケーションを起動することはできませんが、管理者によって設定された AnyConnect VPN クライアントは利用できます。 在宅勤務、内線を持ち運べる Cisco Extension Mobility と組み合わせ、デバイスを社員同士で共有する運用が可能です。
別名 Phone Only モードとも呼ばれます。
2. Enhanced モード
Android の機能が利用できるモードです。メール アプリケーションやカレンダー、Cisco Jabber、WebEx 、Office アプリケーションなどが利用可能です。以前ご紹介した Cisco Intelligent Proximity も動作します。
3. Public モード
会議室などで利用するモードです。Simple モードと見た目は似ていますが、 パーソナライズができません。みんなが利用する端末なので、暗証番号によるロックができないようになっています。
Cisco DX シリーズとアプリケーション開発
今回は、 Cisco DX シリーズをオフィスに設置するケースを中心にご紹介しました。また、Android としての特性を活かすことも、隠すこともできます。そして、Android をベースにすることによって、アプリ開発者が比較的敷居が低く社内アプリケーションを開発することや、汎用アプリケーションを流用することができます。オフィスの受付台、監視カメラのモニタ、店舗の窓口でより詳しい人にリモートで質問、などなど用途は広がります。
シスコではCisco DX シリーズの API 情報を DevNet と呼ばれる開発者支援のサイトで広く公開し、必要に応じて開発サポートをします(有償)。 こういった情報が Cisco DX シリーズだけにとどまらず、 Android アプリ開発のヒントとなれば幸いです。
DevNet – Cisco DX 650
https://developer.cisco.com/site/collaboration/endpoints/dx600/overview/
Cisco DX シリーズについては紹介しきれていない面が多数あるので今後も取り上げます。
参考 URL