The Cisco Learning Network Blog からほぼ転載したエントリ「もっと E5-2600 の“美味しい”メモリ構成 」がなかなか好評なので、最も PV の多い「E5-2600 の BIOS 設定と消費電力の関係」を編集・転載します。
Intel Xeon E5-2690 を 2 基積んだ、とある UCS C シリーズラックサーバ(って、C220 M3 か C240 M3 しかありませんが)に、メモリを 128GB 搭載し、とある Linux 系 OS を何も考えずにインストールし、とある涼しい環境で BIOS の CPU に関係する設定だけをいろいろ変えて、OS が起動してしばらくたった時(アイドル)と、CPU をフル稼働させた時(100%)のサーバの消費電力を測定してみました。なお、消費電力は UCS C シリーズ に搭載されているサーバ管理モジュールの Cisco Integrated Management Controller (Cisco IMC) で表示された値です。
HT | EIST | TB | C1E | C6 | アイドル | 100% |
---|---|---|---|---|---|---|
有効 | 有効 | 無効 | 有効 | 有効 | 160W | 320W |
有効 | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 | 160W | 416W |
無効 | 有効 | 有効 | 有効 | 有効 | 160W | 396W |
有効 | 有効 | 有効 | 無効 | 無効 | 168W | 416W |
有効 | 有効 | 無効 | 無効 | 無効 | 168W | 320W |
無効 | 有効 | 無効 | 無効 | 無効 | 168W | 312W |
無効 | 無効 | 無効 | 無効 | 無効 | 216W | 312W |
略を説明しますと、HT は、阪神タイガースではなくハイパー スレッディング。EIST は、Enhanced Intel SpeedStep Technology。TB はターボ ブーストです。上表の値はあくまでも参考値であり、設置場所などの動作環境や搭載している HDD やアダプターなどのコンポーネント、その他条件で異なります。目安としてご覧ください。なお、これらの項目以外は同一です。
まず C1E/C6。C1E/C6 は、クルマに例えるならアイドリングストップです。CPU がアイドル状態の時に C-State を変化させて CPU を眠らせ電力消費を削減します。C1E と C6 は眠りの深さの違い(C6 の方が深い)と考えたらいいと思います。より節電を意識する場合は有効にするといいのですが、立ち上がりに若干のタイムラグ(遅れ)があるので、パフォーマンス最優先の場合は無効にするのがいいでしょう。これらを有効にすることで、この例だとアイドル時に 10W 程度の削減が可能です。
次に EIST。EIST は、負荷に応じて CPU の P-State を変化させるテクノロジーです。これもクルマに例えるとアクセル開度でしょうか。具体的には CPU の負荷に応じて動作クロックを変化させ、省電力に貢献します。E5-2600 の場合は、P0 から P15 までの P ステートがあります。P0 がアクセルベタ踏み、つまり最大です。EIST を有効にした時としていない時では、アイドル時の消費電力に約 50W の差が出ています。
そして TB。無理やりクルマに例えると、一時的なレッドゾーンの上昇、もしくはニトロ注入です(笑)。P-State が P0 の時、CPU の熱設計等に余裕があれば定格以上のクロックで動作させてしまう機能です。いわば公認オーバークロックです。E5-2600 では、TB がより強化されていて、この測定で使用した E5-2690 のクロック周波数は、定格 2.9GHz ですが、TB で1コア動作時では最大 900MHz、8コア(全コア)動作時でも最大 400MHz クロックを上昇させます。CPU の性能を最大限に引き出すためにも、OS やアプリケーションで問題なければ是非とも有効にしたい機能ですが、100% ロード時の消費電力の上昇もかなりのもので、無効の時と比べると 100W 近く増えています。省電力を重視するなら無効すべきでしょう。
さて、TB を有効にするには、同時に EIST も有効にする必要があります。逆に EIST を無効にしてしまうと、TB も無効になってしまします。なので、EIST を有効にするわけですが、常に P0 で動かしたい!そんな時は、OS / ハイパーバイザー側で常に P0 で動かすように設定できます。例えば ESXi の場合は、vSphere Client から対象となる ESXi を選択し、「構成」タブの中にある「電力管理」設定からプロパティをクリックし、電力ポリシー設定を ESXi 5 のデフォルトである「バランシング済み」から「高パフォーマンス」に設定します。もちろん、その際は、EIST の省電力のメリットは活用できません。
以上、E5-2600 の BIOS 設定と消費電力の関係でした。