この記事は、シスコ インターネット ビジネス ソリューション グループ（IBSG）の Dave Evans と Joseph Bradleyの共同執筆によるブログ「#IoE: Present and Future」
（2013/4/9）を翻訳したものです。
The Internet of Everything（IoE）から最大の価値を得るために、ビジネス リーダーは、現実世界の IoE の活用例に基づいた組織変革を始める必要があります。シスコ IBSG は、IoE の経済価値を調査し、民間企業における 50 の IoE 活用例を作成しました。調査の結果、IoE によって創出される、あるいは企業・産業間を移動する経済価値は、14.4 兆ドルに達することがわかりました。
本ブログでは、医療およびマーケティング/広告分野における IoE の例を紹介します。IoE の可能性をご理解いただけるよう、短期的な見解をジョセフから、長期的な将来像をデイブから解説します。
1. コネクテッドマーケティング/広告：1.95 兆ドルの経済価値
短期（現在～2015年）
多岐にわたるチャネル（TV、ラジオ、インターネット、POSなどの販売管理システム）をカバーする統合的なマーケティングおよび広告戦略を打ち出し、実行するのは容易ではありませんす。しかし、IoE を活用すれば、企業は顧客を包括的に把握して（習慣や好み、プロフィールなど）、顧客に有益な効果をもたらす媒体、時間、場所に向けて、個々をターゲットとしたメッセージやオファーを配信できるようになります。企業は市場の動向をリアルタイムに把握することで、より迅速な対応が可能になります。例えば、需要供給情報を元に、最適な価格を提示する、顧客の希望に合わせた製品やサービスを組み合わせるといった活動もリアルタイムに行うことで、収益を拡大することができます。
さらに IoE によって、小売業者は顧客の詳細かつ有益な情報をデータとして入手することができます。これは、短期間に価値を創出するための鍵となります。たとえば、得意客が来店したときに店舗スタッフにアラートを発信するようにできます。この顧客の購入履歴や好みが、スタッフのモバイル デバイスに瞬時に表示されます。スタッフはこの情報を元にアプローチして適切な商品を紹介し、ショッピング体験を向上することができます。
これらの例を実現するには、ビッグ データおよびクラウド コンピューティングの活用に重点を置く必要があります。さらに、IoE エコノミーにおいて急速に変化する顧客の要求に対応するためには、顧客と応対する全部署（マーケティング、販売、サービス、サポートなど）が協力体制を敷かなければなりません。
将来像（現在から 5 ～ 10 年後）
マーケティングおよび広告の世界における「究極の目的」は、適切な時に適切な場所で、適切なデバイス上で、個々人に合わせたメッセージを発信し、現存の顧客および潜在的な顧客とつながることです。IoE がより多くの人、データ、モノをつなぎ、スマートサーフェスや拡張現実（AR）デバイスなどの技術が急速に進化していますから、企業はこの究極の目標に近づくことができるでしょう。
読者はおそらく Google Glassをご存じでしょう。これは、Google が開発している着用できるコンピュータで、ファッショナブルな（と評する人もいます）メガネにヘッドマウントディスプレイを搭載したものです。ワイヤレスでインターネットに接続することにより、ユーザが見る世界を拡張します。画像認識ソフトウェアと Google の検索アルゴリズムが統合され、ユーザがGoogle Glass を通して目にするありふれた物（車や家具など）をトリガーとして表示される広告に投資する企業が現れる日も遠くないでしょう。
2. コネクテッド ヘルスケア/患者モニタリング：106 兆ドルの経済価値
短期（現在～2015年）
今日の医療における非効率性の多くは、知識と情報ソースの分断化が原因となっています。医療現場で関連するすべての情報にアクセスするのは非常に難しいことです。また、計測や検査の多くは手動で行われています。センサーの数を増やし、IoE によってつながることで、スマートなホーム モニタリング システムを実現します。また過去の経験や実例に適合する標準化された治療によって高度なケアが可能になり、入院を回避したり、入院日数を短縮することができます。さらに、医療記録を体系的かつ標準的に収集して保存することで、患者および医療スタッフが医療的な判断に必要となる情報のすべてを最低限の検査で入手できるようにします。
コネクテッド ヘルスケア/患者モニタリングは、医療サービスを提供する方法を根本的に変革します。この実現には、課金および保険の処理方法を変更する必要があります。ビジネス リーダーはこれらの変化を念頭に、変化への対処に加え、新しい医療用デバイス、ホーム ネットワーク、およびセキュリティ ソリューションなどの技術主導のイニシアチブに注目しつつ、患者のプライバシーに関する問題にも対応していく必要があります。
将来像（現在から 5 ～ 10 年後）
IoE は、必要なときにだけ受診する一時的な出来事ではなく、医療を日常生活の一部として継続的なものにして、私たちの生活の質を向上させる可能性を持っています。たとえば、鏡に向かって歯磨きしながらちょっとした健康診断を受けられたらいいと思いませんか? バーチャル リアリティ、スマート サーフェス、クラウド コンピューティング、ジェスチャー認識のほか、Eulerian Video Magnification や体温によって色が変わるシャツなどを使って、心拍数や体温などのバイタルを測定することが可能になります。そして、健康に関する情報を個人用のセキュアなデータ ストアから IoE を通じてあなたの担当医に転送できます。受け取った医師は、最新の分析機器や IBM の Watson などのリソースをクラウド経由で活用し、対処すべき問題をすぐに発見し、対応することができます。また、膨大な数の患者の臨床試験も、今日行われているデータベース プロジェクトと同様に簡単に実施することができます。これにより、試験結果が改善されて、より効果の高い薬やデバイス、治療方法が生まれるでしょう。
IoE の活用例はほぼ無限に考えることができます。IoEが業界とビジネスにどのような影響を与えるかについて熟考し、理解を深めることで、IoE エコノミーに備えることができます。それは10 年後にあなたの会社が 14.4 兆ドルの価値の可能性を獲得する側になることにつながります。
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