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AppDynamics for SAP を活用した 3M 社における SAP 導入とクラウド移行

この記事は、AppDynamics Team によるブログ「SAP deployment and cloud migration at 3M」(2022/10/13)の抄訳です。

 

世界最大級の SAP 導入企業になろうとしている 3M 社。同社のシステムのパフォーマンスと信頼性の維持に AppDynamics がどう活用されているかをご紹介します。

多国籍コングロマリットである 3M 社では、現在 SAP の展開が進められており、現時点の進捗状況は 60% となっています。展開が完了すれば、3M 社は世界最大級の SAP利用企業になります。同社は最近、クラウドへの移行も成功させました。

AppDynamics は、3M 社がこの成長に向けた取り組みを始めた当初からずっと協力してきました。2018 年以来、同社はパフォーマンスと信頼性へのこだわりを捨てることなく、この取り組みを続けています。この取り組みについて、AppDynamics のエグゼクティブ CTO の Joe Byrne が、3M 社の IT 品質管理およびリリース管理担当バイスプレジデントの Mary Lauber に話を聞きました。

そもそも3M 社が AppDynamics の採用を検討するにいたった理由についてお聞かせください。

Mary :当社が SAP システムの導入を開始したのは 2012 年のことです。SAP を稼働させて 5 年が経過したころ、ユーザーとトランザクションが増え続けるのに伴って、安定性とパフォーマンスの問題の発生件数が顕著に増加し始めました。米国の展開環境では、2018 年にパフォーマンスの問題件数がピークに達しました。当時使用していたモニタリングツールでもデータベースおよびアプリケーション サーバーのレイヤーで何が起きているかは認識していましたが、エンドユーザーはレスポンスの悪化を感じることがありました。どこに問題があるにせよ、根本的な原因をすぐに突き止めることがまったくできていませんでした。

SAP は当社の基幹アプリケーションの 1 つであり、ビジネスを運営する大部分を担っています。当社のような規模の企業の場合、システムの問題が事業運営に与えるグローバルな影響は最優先で対応すべき事項です。安定性の維持はもちろん、継続的なパフォーマンスと信頼性も非常に重要です。計画外のダウンタイムを発生させることは許容されないため、できるかぎり能動的に対応する必要があります。問題を先取りし、迅速に対処できるようにしなければなりません。

AppDynamics に連絡して、製品やツールについて詳しい情報を入手したところ、当時の既存環境よりかなり多くのものが得られそうであることがわかりました。AppDynamics の場合、すべてのシステムにエージェントをインストールすることができ、問題の根本原因をすばやく特定できるようになりました。原因がデータベースにあろうと、アプリケーションサーバーにあろうと、AppDynamics を使用すれば、あらゆる場所を調べて問題を解消できます。

当社では、2018 年以降すべての SAP 本番環境に AppDynamics を導入しています。毎回の導入前にAppDynamics を活用してリスク領域を特定できるので、先手を打つことが可能です。本番稼働開始後、システムの速度が低下したりエンドユーザーから問題が報告されたりしても、すぐに対応して問題を解決し、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができています。

ビジネスへの影響を検証して潜在的な問題を軽減するために、導入前に AppDynamics をどのように活用されていますか?

Mary :本番環境と同じデータベースとアプリケーションサーバーを使った検証環境を用意し、そこにも AppDynamics をインストールしています。大規模な導入を行う場合は、準備としてこの検証環境でパフォーマンステストを実行し、AppDynamics でシステムをモニタリングしているのです。こうすることで、たとえばデータベースロックやキューのバックログを特定のプロセスが引き起こさないかなどを事前に把握できます。

前もってユーザーエクスペリエンスの状況を把握できるので、テクニカルチームが本番環境のサポート準備を進められるようになります。たとえば 2021 年に日本の拠点で環境を展開した際は、導入前の分析により、システムのエンドユーザーとトランザクションの数が 10% 増加することが判明しました。この情報を活用することで、稼働前に環境を強化することができたのです。トランザクションとエンドユーザーの増加による負荷の上昇に対応できることを確認するため、必要なテストを実行しました。テストの過程で、パフォーマンスの問題を引き起こす可能性がある重要な領域を調査しました。問題が発生する前に対処できたのは、AppDynamics のおかげです。

日本の本番環境をゴーライブさせたところ、システムは安定していました。システムの潜在的なパフォーマンス問題を前もって特定し、ビジネスへの影響を防ぐことができたのです。AppDynamics を活用したことで、システムをくまなく把握することができました。

クラウド移行の過程では AppDynamics をどのように活用されましたか?

Mary :当社のデータセンターをクラウドに移行することを決定したのは 2 年前のことです。SAP の本番環境を最初に移行されるシステム群の一つになりました。移行の準備として、オンプレミスのデータセンターでさまざまなテストを実施しました。AppDynamics は、パフォーマンスのベースラインを設定するうえで重要な役割を果たしました。

移行テスト期間中には、その時点の本番環境と同等の環境を用意しました。目標として掲げたのは、移行前にオンプレミスのインスタンスで確認したのと同じレベルのパフォーマンスを達成することです。すべての環境で同じプロセスを経るようにしました。まず、オンプレミスでレスポンスを検証し、クラウドに移行した後で再度検証するというものです。最終的に本番環境を以降した際には、何が起こるか予想できていたため特別な問題はありませんでした。

クラウドに移行すると、多くのアプリケーションでさまざまなタイプのエラーが発生します。顕著なパフォーマンスの違いがあり、正常に移行できなかったアプリケーションもいくつかありました。ですが AppDynamics のサポートにより移行前と移行後の両方の結果をモニタリングして比較できたため、問題なく導入できる準備が整ったタイミングを確実に把握できました。

結果を言えば、期待していたパフォーマンスと拡張性を実現することができました。目標としていたクラウド移行の成果を達成できたのです。大成功でした。

テクノロジーの変革を行うにあたって何より難しいのは人の問題です。AppDynamics に対するチームの反応はいかがでしたか?

Mary :システムの安定性とパフォーマンスは危機的な状態にあったため、私たちのチームは新しいツールを利用できて非常に喜んでいました。AppDynamics チームが現場に到着したときも心から歓迎していて、学びのチャンスが得られることに非常に前向きでした。

ご存知と思いますが、システムのモニタリングツールが複数あることは困難を伴います。どのツールを何に使うかが問題になるわけですが、SAP の本番環境インスタンスを詳細に分析するモニタリングツールとして、私のチームは AppDynamics を選びました。AppDynamics に関する知識が深まると、チームの全員がプロフェッショナルとして成長していきました。SAP のモニタリングで大きな成功を収めたため、SAP 以外のアプリケーションでも AppDynamics の使用を検討しているところです。

私たちが作成するダッシュボードとレポートは少し専門的すぎると感じる人は少なくありません。ですが、見た目を経営幹部が理解しやすい形式に変換することは非常に簡単です。例えば日本の環境には、経営幹部と日々共有できるダッシュボードを作成しました。ここには、重要な SAP 本番環境システムのうち 3 つか 4 つのシステムのステータスが表示されます。

AppDynamics は素晴らしいツールです。これを受け入れて広めるというすばらしい仕事をチームがやり遂げ、当初の想定以上の成果を挙げました。システム内で何が起こっているかを把握して以前よりすばやく対応できるので、組織内におけるチームの評判は確固たるものとなりました。また、ビジネスに与えた効果を目の当たりにすれば当事者としての誇りを持てます。言うまでもなく、それも素晴らしいことでした。

3M 社の今後の計画を踏まえ、たとえば全体的なオブザーバビリティの観点などから AppDynamics に期待するものは何でしょうか?

Mary :ERP の展開は完了しつつありますが、デジタル トランスフォーメーションによる機能強化の機会はますます増えていくと予想されます。新しいテクノロジーが多数登場していますが、当社はそのすべてに対応できるよう努めています。システムモニタリングをさらに組み込める場所について理解を深めていく必要があり、そうすることで、ERP 展開とデジタル トランスフォーメーションによる成長を引き続きサポートできると考えています。

クラウドに移行した後も、安定性とパフォーマンスは依然として最優先事項です。とはいえ、当社の ERP エコシステムは非常に複雑で、複数のサードパーティ製アプリケーションと統合機能を使用しています。そこで、webMethods™ を活用して SAP システムと製造工場との統合を図っており、AppDynamics がそのアプリケーションのモニタリングに適したツールかどうかの検討も行っています。

SAP 導入を続けるうえで注意すべき領域は他にもあります。取引先であるサードパーティのロジスティクス企業です。新環境が稼働すると、ファイアウォールを経由して当社のSAP に接続しないと取引先企業がシステムにアクセスできなくなります。効果的に通信の問題を解決できるよう、通信パスを可視化する必要性も感じています。

AppDynamics を利用した経験から、システムのパフォーマンスと信頼性を高めてカスタマーエクスペリエンスを最適化する取り組みにこれから着手する企業へのアドバイスをお願いします。

Mary :成長に向けた情熱を持つ企業は、AppDynamics のようなツールを活用することをお勧めします。「ああ、そう言えばアラートを設定していたんだった。データベースで何か問題があるのかもしれない。」そんなことを言っていては、トラブルシューティングを実施して問題を解消するのに長い時間がかかってしまいます。手がかりを探すのにほんの 1〜2 時間を要するだけでも、事業運営にとって重大なリスクになりかねません。

私は SAP システムについて人と話す機会が非常に多いのですが、「システムモニタリングツールは使用していない」と聞くと、システムが効率的に稼働しているかどうかをどうやって把握するんだろうかと疑問に思います。

いくばくかの時間を投資してAppDynamicsを検討し、試しに使ってみてください。試すだけなら損はありません。玉ねぎの皮をむくようにシステムをくまなく調べていけば、驚くような発見があるかもしれません。存在すら知らなかった何かがシステムのパフォーマンス問題を引き起こしていることが判明することもあるのです。

AppDynamics は、アプリケーションからクラウドやネットワークに至るまで、デジタル トランスフォーメーションの各ステップをカバーし、お客様が重要な成果に集中できるようにサポートします。

AppDynamics ソリューションの概要は、こちらでご覧いただけます。

門脇 拓弥

2022年度にAppDynamics事業の一員としてCiscoにjoinしました。主にCiscoならびにAppDynamicsのパートナー企業様へのテクニカル面での支援を担当しています。