Wi-Fi 6E:スポーツ会場やエンターテインメント施設を革新

この記事は、Customer Experience の Distinguished Engineer である Matt Swartz によるブログ「Wi-Fi 6E: Changing the game for Sports and Entertainment venues」(2021/12/16)の抄訳です。

Wi-Fi 6E が私たちの働き方や遊び方を変えようとしていることがよく話題になっています。Wi-Fi 6E では、利用できる周波数帯が増え、輻輳が減少することで遅延が低減し、スループットが向上します。また、セキュリティも強化されているため、さまざまな新しい利用方法が考えられています。

筆者は、シスコの CX CTO 組織のディスティングィッシュト エンジニアとして、スポーツスタジアムや音楽/コンサート会場などの大規模公共施設のネットワーキングに注力し、卓越したワイヤレスエクスペリエンスでファンをつないでいます。各種プロスポーツリーグ、オリンピック組織委員会、US Open、Live Nation 社、Clair Global 社などをはじめとする多くの組織と連携し、ネットワークのアーキテクチャを設計して提供することで、何万人もの熱狂的なファンのニーズをサポートできていることを嬉しく思っています。筆者自身もスポーツや音楽の熱烈なファンとして、楽しみながら仕事をしています。

Wi-Fi 6E を利用して、これまでにない方法でファンをつなぐ

Wi-Fi 6E の登場により、Wi-Fi 対応施設がゲストにネットワークサービスを提供する際の効率性と、全体的な品質が大幅に向上しました。Wi-Fi 6E では、
これまでと同じテクノロジーとプロトコルを活用しながら、新たに 6 GHz 帯を利用できます。これにより、強力な暗号化(WPA3 必須)や優れた信頼性を実現できます。そして何よりも効率性が向上し、スループットが高まります。Wi-Fi 6E の「E」は、6 GHz 帯が「拡張」されたことを示しています。これにより、使用可能なスペクトラムとチャネルがさらに拡張され、デバイスがさらに多くの帯域を活用できます。6 GHz 帯では、2.4 GHz と 5 GHz の両方よりも多くのデータを伝送できるため、ファンはお気に入りの瞬間をスムーズにストリーミングして共有できます。

OFDMA とアップリンク MU-MIMO

Wi-Fi 6/6E は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)を利用し、アップリンクマルチユーザー MIMO(UL MU-MIMO)を実現しています。これらのテクノロジーにより、Wi-Fi 6/6E アクセスポイントとクライアント間で同時双方向通信が可能になっています。MU-MIMO は Wi-Fi 5 から導入されていますが、クライアントがアップリンクで利用できるのは、Wi-Fi 6/6E からです。Wi-Fi 6/6E では、ネットワークがトラフィックとアプリケーションに優先順位を付けてスケジュールを設定できるため、さらに多くのユーザーが、同時により優れたエクスペリエンスを得られるようになります。

このメリットは、筆者が注力している大規模なスタジアムやコンサート会場にとって特に重要です。ネットワークに接続している多くのユーザーが、写真や動画を撮ってすぐにクラウドにアップロードしようとするため、通常、アップリンクトラフィックがダウンリンクトラフィックよりもはるかに多いからです。下の図は、大規模スタジアムで開催された最近のイベントのトラフィックを示していますが、アップリンクがダウンリンクの 2 倍以上になっています。

1200 MHz ワイドオープンスペクトラム

Wi-Fi 6E には、6 GHz 帯に最大 1200 MHz のスペクトラムが追加されています。スペクトラムが追加されることで、多くチャネルを備えたデバイス用の帯域が大幅に拡大されます。そのため、音楽やスポーツなどの大規模施設でよく発生する、無線の過剰コリジョンや競合を回避できます。このことをわかっていないと、競合やコリジョンによって遅延が発生し、応答時間が遅くなって、デバイスがネットワークから切断され、最終的にはエクスペリエンスが低下します。Wi-Fi 6E を大規模なスポーツ会場や音楽施設に適用するとスペクトラムが追加され、ファンは中断されることなく、お気に入りの瞬間をスムーズにストリーミングして共有できるようになります。これは、混雑した高速道路に車線が大量に追加されたようなものです。

ただし、米国やカナダなどの一部の国では 1200 MHz 全体が割り当てられていますが、他の国では一部しか割り当てられていないことに注意が必要です。以下のマップは、この投稿日時点のものです。

出典:Wi-Fi Alliance https://www.wi-fi.org/countries-enabling-wi-fi-6e

OpenRoaming と Wi-Fi 6E:シームレスで高速

多くのシスコのお客様、特にエンターテインメント業界のお客様は、OpenRoaming に移行しようとしています。OpenRoaming は、シスコが開発し、Wireless Broadband Alliance で標準化されたテクノロジーです。OpenRoaming を利用すれば、参加しているネットワークにシームレスかつセキュアに接続できます。Live Nation 社の BottleRock や USGA の US Open などのイベントでは、OpenRoaming を活用することで、何千人もの参加者が、ユーザー名やパスワードを使用せずに Wi-Fi ネットワークに自動的に接続できるようになっています。Wi-Fi 6E を導入することで、より多くのデバイスをさらに高速にサポートできるようになり、ゲストの Wi-Fi エクスペリエンスが大幅に向上します。

つまり、大規模な会場で革新的な Wi-Fi 6E を利用すれば、より多くのデバイスが帯域の競合なく接続できるようになるため、速度や信頼性が向上し、さらにセキュリティも強化されるということです。IT によって施設が変わります。

今後も Wi-Fi 6E に注目してください。

その他の Wi-Fi 6E に関するブログもご覧ください。

詳細については、Wi-Fi 6E に関する最新の
ホワイトペーパー
を参照してください。

 

鈴木 美香

2001 年シスコシステムズに入社。関西エリアの顧客担当SEを長く経験した後、現在は無線 LAN 専任の SE として、アクセスポイントや無線 LAN コントローラ、運用管理ソリューション、ロケーション分析まで、幅広い無線 LAN 製品のプリセールスおよびパートナー様のサポートに従事。プライベートでは、毎週末に演劇やダンス、バレエを見に行くのを楽しみにしています。