壮大なハイブリッドの実験

この記事はシスコのエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフピープル&パーパスオフィサーであるFrancine Katsoudasによるブログ「The great hybrid experiment」(2021/7/29)の抄訳です。

シスコにとってやるべきことは明確です。「世界最高のワークプレイス」を
「世界最高のハイブリッドワークプレイス」に変える、それがシスコの課題です。

壮大なハイブリッドワークの実験が始まろうとしています。その中でシスコの課題は明確です。それは、どうやって「世界最高のワークプレイス」を「世界最高のハイブリッドワークプレイス」に変えるのかということです。試行錯誤が続くでしょうし、学ぶべきことがたくさんあると思いますが、すでに分かっていることもあります。この記事では、そのいくつかをご紹介します。

リモートワークはシスコにとって新しいものではありません。2020 年の初めに会社全体がリモートワークに移行しましたが、この移行は思っていたほど難しくありませんでした。シスコには、10 年以上の勤続期間中ずっと「リモート」で働き、オフィスにデスクのない社員がいます。

ですがオフィスのあり方はすでに根本的に変わりました。以前のような形でオフィス勤務に戻ったり、オフィス内のスペースを使用したりすることはもうないでしょう。社員の約半数はパンデミックの前には週に 4 〜 5 日オフィスにいましたが、オフィスを再開したときには、週に 3 日以上オフィスにいることを望む社員は 4 分の 1 未満でした。

世界が変化するにつれて、共感とウェルビーイング(心身共に充実していること)の重要性も増しています。シスコは 3 年前にメンタルヘルスを最重要課題として位置づけました。このことは、パンデミックによって引き起こされた困難な問題や不安を社員が乗り越えるうえで役に立ちました。新しい仕事環境においてもメンタルヘルスは引き続き重視され、共感、柔軟性、心理的な近さを最優先するリーダーが求められています。

それでは新しい仕事環境はどのようなものになるのでしょうか。きっとハイブリッドになるはずです。シスコではすべての社員の働き方がハイブリッドになります。週に 5 日自宅で仕事をし、たまに活動や交流のためにチームメンバーと集まることもあれば、コラボレーションしやすいオフィス環境やテクノロジーを活用して世界中の同僚とつながるために、週に 5 日オフィスで働くこともあるでしょう。シスコのすべての社員の働き方がハイブリッドになるのです。

仕事で重要なのはどこで働くかではなく、何をするか

シスコの社員は働き方の変化に非常に柔軟に適応し、困難が多く先の見えない時期にあっても立ち直る力と生産性を示してきました。ですが、人によって働き方や仕事の好みが違うこともまた事実です。あらゆるケースに対応できる万能なアプローチはありません。社員の強みを最大限に活かすには、柔軟に対応して融通を利かせ、個々人と各チームにとって最適なアプローチを受け入れる必要があります。

社員の強みを最大限に活かすには、柔軟に対応して融通を利かせ、個々人と各チームにとって最適なアプローチを受け入れる必要があります。

なぜなら、チームが適切に機能すれば、ビジネスに勝利することができるからです。だからこそシスコでは、この新しいハイブリッドな仕事環境でどうやって最高の成果を上げるかの判断をチームに委ねています。オフィスに出社しなければならない日数も、出社してはならない日数も定めていません。

これは実践しながら学習するプロセスであり、リーダーにとっては課題となります。そこで、数か月ごとにリーダーとチームから意見を聞き、何がうまくいっていて何がうまくいっていないのかを判断したうえで必要な調整を行うことにします。パンデミックの期間を通じて、社員の声に耳を傾けることが意思決定の指針となったように、今後も社員から意見を聞き、直接得たフィードバックを基に、企業としての働き方について将来的な方向性を判断していきます。

新しい仕事環境での新たな取り組み

成功するためには、チームと会社全体で信頼性と透明性の水準を高める必要があります。そのためにシスコでは「コラボレーション コミットメント」という取り組みを展開しています。この取り組みには、説明責任、インクルージョン、ウェルビーイングなどのテーマに関する、個人、リーダー、チームに対する期待と信念が反映されています。例を挙げると、ウェルビーイングへの取り組みについて、「チームメンバーがいつどこで働くかよりも、働き方や何を達成するかが重要」とリーダーの 1 人は述べています。こうして、個々の社員とチームの成功に欠かせない文化の下地がつくられていきます。

意識の高い文化を創造、維持するうえで中心的な役割を果たすことになるのはリーダーだとシスコでは考えます。チームリーダーがハイブリッドワークの理念の原型をつくり、共感を持ってメンバーの気持ちに寄り添いながらチームを率いるのです。これは多くの社員に求められていることです。だからこそ、シスコでは現在、この新しい働き方への移行をサポートできるよう、チームやリーダーの新しい学習方法を試しています。この試みがうまくいけば、柔軟に対応し融通を利かせることでビジネスニーズに対応しながら、社員の強みを活かし、それぞれが希望する働き方を実現できるはずです。

ハイブリッドワークの推進

ハイブリッドワークを実現するには、シームレスで安全なコラボレーションとインフラテクノロジーを使用して社員同士がつながり合えるようにする必要があります。シスコでは、「ハイブリッドワークフォースの実現」と「ハイブリッドワークスペースの変革」という 2 つの異なる方法で、ハイブリッドワークを推進しようとしています。「ハイブリッドワークフォースの実現」とは、いつでもどこからでも安全なアクセスとコラボレーションを提供することです。「ハイブリッドワークスペースの変革」のためには、ネットワーク、セキュリティ、コラボレーションツールを統合し、健康とウェルビーイング、安全性、効率性を高める必要があります。

Webex を例にとってみましょう。Webex は、インクルージョンに配慮したコラボレーション プラットフォームです。ウェルビーイングを重視し、参加者全員の声が届けられ、尊重されるようになっています。新しくなった People Insights 機能は、会議への参加、ワークライフバランス、人とのつながり方、自分の仕事に集中する時間に関して、個々人が設定した目標に照らして分析情報を提供します。よりスマートな働き方を実現し、燃え尽き症候群に陥らないようにするための機能です。また、英語から 108 の言語へのリアルタイム翻訳、議事録作成、集計などの革新的な機能が追加されました。さらに、ジェスチャ認識により、アイコンをタップしなくても非言語コミュニケーションを行えるようになっています。Webex のイノベーションはハイブリッド環境の推進に貢献します。あらゆる場所であらゆる人が活躍し、平等に働けるようになるのです。

目的を持ったオフィススペースの利用

デスクに座ってメールを送ったり、ビデオ通話に参加したりするためだけにオフィスに通勤することに意味はあるでしょうか。世界各地でオフィスが再開されようとしていますが、以前と同じようなオフィスの使い方に戻らないよう徹底する必要があります。仕事の進め方が根本的に変わったように、オフィスを使用する目的も根本的に変えなければなりません。場所を中心に考えるのではなく、仕事に焦点を当てる必要があります。

パンデミックが発生する前は、オフィススペースの 95% は個人に割り当てられていました。その状況を変える必要があります。オフィスを使用する目的を変えなければなりません。コラボレーションセンター、つまりイベントや共同作業を行ったり、人とのつながりを築いたりするために集まる場所に変える必要があるのです。オフィスを利用するのが週 2 ~ 3 日というチームもあれば、月に 1 回というチームもあるでしょう。いずれにせよオフィスに出社する際は、必ず目的がなくてはなりません。イノベーション、コラボレーション、人とのつながり。ハイブリッド環境では、これらの目的をチームが達成できるように最適化された場所へとオフィスを変えることで、最大限に活用できるようになります。

持続可能な未来の働き方

今、私たちが変えられるのは、仕事の未来だけではありません。地球の未来にも影響を与えることができます。ハイブリッドワークというアプローチとサステナビリティへの取り組みを結び付けることで、シスコの存在感が大きいコミュニティにおいてプラスの影響を与えることができます。コミュニティを豊かにするという精神は、すでにシスコの理念の一部となっています。2 年連続で、社員の 80% 以上がコミュニティに貢献する活動に参加していますが、そうした活動をさらに推し進めることができると考えています。

オフィススペースの利用方法の見直し、持続可能で再生可能な製品の開発、エネルギー効率が高く二酸化炭素排出量の少ない建物の設計。このすべてについて、すでに検討を始めています。働き方、そして自分たちを取り巻く世界に与える影響をシスコは変えようとしているのです。シスコの製品とプラットフォームは、サステナビリティを中核とするハイブリッド環境を推進することができ、またそうでなければならないと考えています。未来の働き方がインクルーシブなものであれば、持続可能であるはずなのです。

壮大なハイブリッドの実験

ハイブリッド環境への移行は容易ではありません。苦労や混乱、不確実性も増えることでしょう。ですがハイブリッドワークの課題はイノベーションの機会でもあります。これまでよりもインクルーシブで、深くつながることができ、もっとコラボレーションしやすい未来の働き方を創造するチャンスが広がっています。適切な方法で行えば、社員、コミュニティ、そして世界にとってより良い未来を導くことができます。さぁ、実験を始めましょう。

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高山 貴行

コラボレーション ソリューションを担当するテクニカル ソリューションズ アーキテクト(TSA)。2007 年シスコ入社。コラボレーション ソリューション開発担当 SE として、主に通信事業者様とのサービス開発に従事。その後通信事業者様担当SEを経て、再度コラボレーション担当SE。現在はコラボレーション製品全般の提案、技術サポートを行う。