国内単独で初めての「Cisco Advanced Customer Experience スペシャライゼーション」取得! ネットワンシステムズに訊く―「カスタマーサクセス」の真の価値と実践方法とは?

2021年3月、ネットワンシステムズ株式会社が、国内単独では初めてとなるシスコのカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)分野の最上位資格「Cisco Advanced Customer Experience スペシャライゼーション」を取得されました。今回は本取得プロジェクトを推進されたネットワンシステムズの深町泰三氏に、なぜカスタマーサクセスに着目し、取得を目指されたのか、取得までの道のりとご苦労、そして取得により得られた気づきと成果について、お話をお伺いしました。

ネットワンシステムズ株式会社

カスタマーサービス本部 カスタマーサクセス部 部長 深町 泰三 氏

 

―この度は取得、おめでとうございます!

この度、貴社が Advanced Customer Experience スペシャライゼーション の取得を決断された背景と理由を教えてください。

深町氏:ネットワンでは 2019 年より会社の方針としてカスタマーサクセス部を立ち上げ、活動しています。しかし元々はお客様の ICT インフラ維持・管理・運用のアウトソーシングを担う部署であり、ネーミングと提供するサービスに、ややギャップを感じていました。最新テクノロジーによる ICT の高機能化、多機能化が加速する一方で多くのお客様がその進化から取り残され、本来の価値や効果を享受できていないのではないか、との課題を日々の業務の中で感じていたのです。ちょうどそのタイミングでシスコからこの資格制度ができることを紹介され、今回のスペシャライゼーション取得は当社のサービスコンセプトの転換と共に、こうした課題解決のきっかけになると思いました。

「カスタマーサクセス」という抽象的な言葉の定義を深く知りたい、そのためには「カスタマーエクスペリエンス」の思考を取り入れてそれをネットワンナイズしてきたい、と思ったのがそもそものきっかけです。紹介を受けた際、このスペシャライゼーション プログラムが「非常によくできている」との印象を持ちました。それは、カスタマーサクセスの考え方からロール(役割)、お客様の利活用促進のためのプランニングと実行手法、そして成果を測る仕組みまでが具体的に、そしてトータルで組み上げられている点です。我々がこれまで現場主義、場当たり的に対応せざるを得なかった業務を、今まさに目指しているライフサイクルを通じたサービスとして高度化し、成熟化させる機会になると捉えました。

スペシャライゼーションにスタンダードとアドバンストの2つのクラスがあると知り、正直少し悩んだのですが、我々には日本におけるシスコのトップクラスのパートナーであるとの自負もあり、「チャレンジするのであれば高みを目指そう」との思いでアドバンストを選択し、取得に向けたプロジェクトを開始しました。

 

―スペシャライゼーション取得に向けての準備やステップについて、教えてください。何が一番チャレンジでしたか?

深町氏:最初のハードルは、本プロジェクトのリーダーである自分自身が抽象的な「カスタマーサクセス」の概念をしっかりと理解することでした。シスコからさまざまな文献の提供を受けて体系的に学び、私ともう1名が CSM(カスタマー サクセスマネージャー)の資格を取得しました。

次のステップが、多岐にわたるオーディット(監査)設問への対応。これは言ってみれば当社の中期事業計画をカスタマーサクセスの視点に置き換え、ビジネスプランとして再構築するような取り組みでした。最後のステップであるカスタマーリファレンスを含め、非常にタフでした。メンバーも「カスタマーサクセス」という欧米発の概念に初めて接し、理解、吸収および実践することに大変苦労したと思います。監査の設問に対しては入口から最後のレポーティングまでを一気通貫で組み上げていくことが求められます。カスタマーサクセスの価値、ビジネスに与えるインパクトなどをしっかりと理解し、自分たちのものとして一貫したロジックで設計しなければどこかに矛盾が生じ、最初から組み立て直しになる難しさがありました。

そして最後にその実践として、実際のお客様にご評価いただくカスタマーリファレンスがあります。お客様にこの取り組みの目的と価値をしっかりと理解、納得の上でご協力いただかないとエンドースいただけませんので、非常に神経を使い、多くのメンバーが注力した部分でもありました。

 

―その間のシスコのサポートについてはいかがでしたか?

深町氏:シスコには準備期間を通じてさまざまなアドバイス、サポートをいただきました。わからないことがあれば都度問い合わせして、迅速かつ丁寧に対応いただけました。また、ぶっつけ本番では不安でしたのでシスコから監査コンサルティング企業をご紹介いただき、事前に2回サービス提供を受けました。いくら頭で理解し、実践できていたとしても、監査となるとまた別の視点が必要です。その点で、事前のコンサルティングは非常に有用でした。

 

―事前のコンサルティングで得られたことは何だったのでしょうか?

深町氏:とても多くの気づきが得られました。ビジネスプロセスをフェーズに分け、各段階の成果を感覚ではなく、指標とフレームワークによりヘルススコアなどの数値で可視化して捉える。こういった手法を通じて我々が日々取り組んでいる活動が体系立てて俯瞰でき、中でも重視すべきポイントが明確になりました。事前コンサルによりこれまでの迷いが払しょくされ、注力ポイントについて「答え合わせができた」感覚があります。実際、最近はお客様から「導入する際の新規提案だけではなく、導入後の提案がもっと欲しい」との声を多くいただきます。我々も含めて SI の業界ではフロント組織が提案してバックの組織は運用保守、というのがこれまでの常識でした。これからはもっと利活用について導入後の提案を積極的に行う必要があり、維持と管理はその根底で当たり前に提供されなければならないのだと気づかされました。今回のスペシャライゼーション取得に向けての活動は、まさにその点を実現するための方法論を学び、必要なツール、組織を構築する活動なのだと再認識しました。

社内では「インフラ屋のカスタマーサクセス」との言い方をしていました。SaaS 事業者のようなカスタマーサクセスもユーザーエクスペリエンスに大きく貢献します。これに加えて、盲点になりがちですが、ネットワーク プラットフォームにおけるカスタマーサクセスのアプローチも、ユーザーエクスペリエンスに直結するのです。例えば、Web 会議において、ネットワーク プラットフォーム(LAN/WAN、Wi-Fi、インターネットゲートウェイ、セキュリティシステムなど)の品質が与える影響をイメージされると分かりやすいかと思います。つまり、ネットワークインフラを「いかにしっかり守るか」というこれまでの考え方を「いかに最大限、利活用いただけるか」に変える必要があり、その具体的な方法論が掴めた。これが、今回のスペシャライゼーション取得の大きな柱となった部分だと思います。

 

―最終のプロセスであるカスタマーリファレンスについてはどのように捉えられていますか?

深町氏:監査ではここまでで組み上げたビジネスプロセスを実践したエビデンスとして、実際のお客様とのやり取りの履歴を示すことが求められます。KPI や更新率、顧客フォーキャストなどの数値についてデジタルツールを用いて正しく管理処理されているか、一貫したポリシーによる判断基準を持てているかなどを細かく見られます。

今回、カスタマーリファレンスに協力いただいたお客様企業の情報システム部門の方から終了後に「今回の取り組みは、自部門のプレゼンス向上にもつながりました。」とのご評価をいただけました。我々がお客様企業の情報システム部門の中に入り一体となって事業部門に貢献するという、カスタマーサクセスの姿を象徴するお言葉と感じて、非常に嬉しく思いました。

 

―今回の取得を基にした、これからのサービス展開についてお聞かせください。

深町氏:ネットワンではこれから、本サービスを既存の各種運用支援サービスの付加価値を向上させるオプションメニューとして組み込んでいきます。具体的には、我々が提供する Plan、Build、Operation、Optimization でのライフサイクルサービスの、後半部分の強化ということになります。当社は現在、53社のお客様企業に対し常駐ベースでの運用アウトソーシングを提供しています。ネットワン定義のカスタマーサクセスレベルでいえばレベル0がモノを仕入れて売ることに付随する製品交換保守、レベル1がインテグレーションとシステム的な保守サービス。レベル2が導入したシステムをお客様に成り代わって運用、維持管理するアウトソーシングに利活用促進をプラスする取り組み。我々はその次のレベル3では、レベル2運用から得られるリアルな課題を通じて次期IT戦略をお客様と共に考えるところに、組織作りも含めてチャレンジしていきたいと考えています。

 

―最後に、この取り組みの成果と、シスコへの期待についてお聞かせください。

深町氏:今回の取得は、当社が2019年から3か年の中期事業計画で進めて来たビジネスモデル変革の中で掲げた「カスタマーサクセス視点のライフサイクルサービスの提供」を具現化するものと言えます。これを機に従来のプロダクトセールスとインテグレーションにカスタマーサクセスの視点を掛け合わせた、お客様のビジネス成功に貢献するサービス提供を行っていきたいと考えます。

カスタマーサクセスの今後の取り組みにおいては、シスコとのさらなる連携が必須と考えています。連携を通じて高機能化、多機能化に関わるプロダクトとソリューション情報を継続的に取り込んで、カスタマーサクセスの厚みと広がりを吸収することで、お客様のビジネス成功をプロアクティブに支援するサービス提供を行っていきたいと考えています。

本資格の取得によってネットワンシステムズは、これまで提供してきた高品質な ICT 基盤の導入、運用に加えて、利活用の加速やカスタマーエクスペリエンスの向上までを一貫して支援する基礎を固めることができました。しかしながら、今後より多くのお客様にさらなる価値を提供するためには、ネットワン現有の組織、人財に加えて、最新デジタル技術のアドオンが必要不可欠です。具体的には、シスコ社提供の CX Cloud などのツールや API 連携のプログラマビリティなどが、我々サービスの飛躍的なスケールアップを実現し、その結果、さらなる生産性や競争力をネットワンにもたらしてくれると確信しています。これは我々単独では決して成し得ることではありません。シスコとは従来のモノを仕入れて売るという関係性を超えて、お客様事業の成功に向け徹底的に議論し、相互に成長し続けるパートナーシップへと発展できれば嬉しいです。引き続き、よろしくお願いします。

 

―本日は、ありがとうございました。

Cisco Advanced Customer Experience スペシャライゼーションとは:

シスコが認定するカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)分野の最上位の認定です。顧客のライフサイクル全体での利活用を促進し、カスタマーエクスペリエンスの向上を支援、顧客のビジネス成果を最大化する能力があるパートナー企業を認定するものです。パートナーは経常収益(Recurring Revenue)の増加を促進し、持続性のあるライフサイクル プラクティスを構築するために必要なスキルセットを習得できます。本資格の取得については、こちらをご覧ください。

 

安孫子 晴美

2020年よりシスコパートナー(代理店)のカスタマーサクセス活動の構築、および、促進のサポートを担当。中南米放浪、豪州の大学院修了後、1997年にシスコ社へ入社。2003年よりチャネルパートナーマネージャーとして数々のチャネルパートナープログラムおよび関連ツールの開発、パートナーへの展開&促進に従事。