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シスコ派遣記 Season5EP2自治体におけるテレワークの必要性とは?

感染症拡大の影響により昨年春頃から在宅勤務を続けていることで、テレワークの利点だけでなく、それを自治体で活用する具体的な状況を考えるようになってきました。また、制度の運用にあたって注意が必要だと感じる点も多々あります。それらを、1 月 21 日に シスコ が開催した「次期自治体ネットワーク強靭化ウェビナー」の中でプレゼンしましたので、今回は担当したセッションのうち、「自治体におけるテレワークの必要性」を主にお伝えします。

なお、これらの内容は自治体職員個人としての見解であり、所属組織を代表するものではありません。

テレワークの必要性

 

感染症拡大防止のため国から出勤者削減の要請について通知があったことや、地方創生臨時交付金、テレワーク導入経費への特別交付税措置などの財源があることから、自治体職員向けのテレワーク(在宅勤務)環境を導入、運用する自治体も増加しつつあると思います。

このような背景から、現在は専ら感染症拡大防止の観点からテレワークを実施する自治体がほとんどだと推測していますが、テレワークの意義・効果を改めて確認すると、総務省のホームページでは、「ワークライフバランスの実現」、「営業効率の向上」、「有能、多様な人材確保」、「コスト削減」、「非常災害時の業務継続」などが記載されています。

これらの意義・効果は自治体にも当てはまると私は考えていますが、なぜ当てはまるのかについて、お伝えしたいと思います。

1.業務継続の観点

テレワークの先進自治体における活用事例では、悪天候により公共交通機関が停止した際に、自宅やサテライトオフィスで業務を継続できた等の例を見ますが、莫大な費用をかけて導入に踏み切るまでの理由には十分至らないと私自身は感じます。何故ならば、公共交通機関が停止したとしても、出勤できた他の職員がその日だけ業務を肩代わりすれば良いからです。

しかし、職員に感染者が出た場合は、感染者の所属する部署や庁舎そのものが閉鎖される事態が発生しております。北海道だけでも、奥尻町役場本庁舎が1日閉鎖、小樽市役所の福祉関係の課の窓口が約3週間閉鎖し電話対応で業務を継続、北海道本庁舎では感染者と濃厚接触者が出勤不可、という事態が発生しており、他県においても同様な事態が複数見られます。このような状況でテレワーク環境が無ければ、業務が完全に停止したり、数週間に及び従来どおりの業務量が裁けず、住民の保健福祉にまで影響することが考えられるため、テレワークは業務継続の点から自治体にとっても重要だと考えています。

また、災害や悪天候による公共交通機関停止時は、業務継続の他にも、職員の安全確保の点にも効果があると考えています。2018 年の胆振東部地震では大規模な停電が発生し、公共交通機関が丸1日以上完全に停止しました。私は徒歩で1時間近くかけ朝7時過ぎに出勤したのですが、道中は停電の影響により信号機が稼働していませんでした。信号機が稼働してない状態で交差点を横断するのは、言うまでもなく、危険です。そのような状況でも、周囲を眺めた限りでは職員の8割以上は出勤してきており、中には3時間近くかけて出勤してきた職員もいました。しかし、非常用発電機で庁舎に電力が供給されている状況では従来通りの業務をすることはできず、終業後は再び信号機が稼働していないなか帰宅するという状況でした。

地震や津波が発生した際、登庁することが予め決められた職員以外は、生命身体の危険を冒してまで登庁する必要性は低いと思いますが、「登庁しないと仕事ができない」という意識が、無理に登庁する理由の一つだと考えています。そのため、テレワーク環境があることで、「家で仕事ができない状況」=「職場でも仕事ができない状況」という意識を醸成し、災害時等の無理な出勤による公務災害も防止できるという効果もあると考えています。

 

2.業務効率化の観点

業務効率化の点ですが、出張中の移動時間を活用した事務処理や、Web 会議の活用による出張の削減、チャットツールの使用による相手不在時の連絡、意思疎通の円滑化など点から、自治体においても必要だと考えています。具体的な活用例と効果については総務省の「テレワーク・デイズ」で閲覧できますので、この記事では私が実際に経験して感じた必要性をお伝えします。

既に多くの自治体が導入・運用を開始していますが、テレワーク環境を導入するタイミングで、Web会議の環境を導入する自治体も多いと思います。従来は、遠方での会議、打合せには物理的に移動し参加していましたが、Web 会議では職場から参加できますので、移動時間、旅費、出張により停滞する業務を気にせずに参加できる点が大きなメリットであり、またノンコア業務も多い自治体職員にとっては必要だと考えています。

写真はシスコが開催している、自治体職員を対象とした働き方改革の勉強会の様子ですが、今年は移動や会議による密を避けるため、この勉強会を WebexMeeings を利用して完全オンラインで開催しました。自治体職員の皆様には各職場から参加していただき、ファシリテーターの私は自宅から参加しました。

 

3.人材確保の観点

大学生や 20 代の社会人を対象とした、「テレワークを実施したいか」というアンケート調査の結果をインターネット上で幾つも見つけられますが、その調査結果は共通して過半数が「実施したい」という回答になっています。中には 2022 年卒の大学生の約 8 割、20 代社会人の約 7 割強がテレワークを希望しており、週1回以上在宅勤務を希望する割合がどちらも8割以上という調査結果もあります。このような調査結果から、学生は将来的な育児や介護などの事情も含めて、在宅勤務が当然に運用されている企業の志望度が高くなると見込まれます。

必要性という点から少し話が逸れますが、民間企業と自治体におけるテレワーク環境の導入率は、2019 年の情報通信白書によると、従業員数 2,000 人以上の企業では 46.6%、1000~1,999 人で 34.9 %、500~999 人で 29.6 %となっており、 2020 年 3 月時点の自治体における導入率は、都道府県で約 93 %、政令市で 70 %、市町村で約 3 %となっています。令和 2 年地方公共団体定員管理調査によると一般行政職員が最も少ない県でも 2,700 人以上いるため、単純に都道府県と従業員数 2,000 人以上の企業を数字だけ比較すると導入が進んでいると言えなくもないですが、就職活動中の大学生は企業、自治体ごとの実際の利用実態も当然に気にする点だと思います。

自治体における利用実態に関する調査では、在宅勤務の制度があっても平均週 1 回も実施しない職員が約 67 %と多数派になっています。実施しない理由は、IT 環境や業務内容、制度、コミュニケーション面など様々あると思いますが、在宅勤務でも職場にいるのと同様に業務ができるよう運用されなければ、人材確保の点から自治体が優位に立っているとは言えません。そのため、今後は整備済みのテレワーク環境の活かし方と実績が人材確保に影響すると考えています。

 

以上が、ウェビナーでプレゼンした内容のうち、自治体におけるテレワークの必要性をお話しした部分です(ブログへの投稿にあたり内容の前後、追加があります)。プレゼンでは他に、「自治体におけるテレワークの活用例」や「窓口業務の非対面化」などに触れていますので、ご興味のある方は、下記のURL からウェビナーの録画をご覧ください。

 

〇 ウェビナーの開催概要とプログラム

https://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/solutions/industries/government/webinar-guide.pdf

〇 講演録画と資料(登録が必要です)

https://engage2demand.cisco.com/LP=25511

 

次回は、「自治体におけるテレワークの活用例」についてお伝えします。

新原 達也

2020年4月より北海道庁からシスコシステムズへ派遣。北海道庁では、市町村の行財政運営支援や留学支援事業を担当。現在は、公共事業事業推進本部にて、自治体等への「働き方改革」関連の提案やリレーション構築等の業務に関与。