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阿蘇山間部の遠隔授業を可能にしたシスコ テレプレゼンスの威力


2015年11月25日


シスコのコラボレーション製品は、ワークスタイル変革や教育、医療の新しいあり方などに直結するソリューションです。そのため、多種多様な導入事例に接する機会が数多くあります。今回は、一番最近にお邪魔しました熊本県は南阿蘇、高森町での ICT をフル活用した小中学校での公開授業についてお伝えします。

11 月の始めに、高森町でビデオ会議システムを利用した公開授業が実施されました。町における ICT 活用の背景については、先日シスコの公式 Facebook でも軽く触れましたが、まずは町のご紹介から。

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広大な自然のなかに学校が建っています

高森町は熊本県の最東端、阿蘇山の南東部に位置し、南阿蘇の中心的な町です。雄大な自然に恵まれ、グリーン ツーリズムなどに最適の魅力的な環境ですが、他の地方の例に漏れず人口の減少が顕著です。1970 年には 1 万人を超えていた人口は 2010 年には 70 %弱まで減少、当然のことながら子供たちの数も比例し、学校は統廃合が進んでいきました。8 つあった小学校は現在、山間部に位置する高森東小学校と、市街地の高森中央小学校の 2 校に統廃合されています。2 つの学校は 20 km以上離れており、地理的に統合するのは難しい(生徒が通うことが極めて困難)ということもあり、ICT の力をフル活用した「新たな学校教育のあり方」に向けた試みを行っています。

今回の公開授業は、熊本県教育委員会が推進する「ICT を活用した『未来の学校』創造プロジェクト事業」の一環として実現しました。この事業は、文部科学省が公募した「人口減少社会における ICT の活用による教育の質の維持向上に係る実証事業(学校教育における ICT を活用した実証事業)」に熊本県教育委員会が採択されたもので、「過疎化・少子高齢化が進む人口過少地域において、小規模学校の教育上の課題を克服するため学校同士を ICT で結び、年間を通じて合同学習等を実施、指導方法の開発や有効性の検証などの実証研究を行う。」という事業概要にピッタリと合致したプロジェクトです。

2 校の位置関係がこちら。出典:Google マップ

2 校の位置関係がこちら。出典:Google マップ

公開授業参加にあたり、テレプレゼンスの向こう側の東小学校に伺おうと思ったところ、「かなり厳しい道程なのであまりおすすめしません・・・」とのこと。しかしながら、やはり現場の様子を見てみたい!という強いモチベーションだけをたよりに、曲がりくねった山道を 30 分ほど運転し、何とか授業の開始時間ジャストに到着。確かにこの距離とアップダウンの激しいルートは、たとえ車で送迎したとしても毎日ではかなり厳しいな、と実感したのでした。

テレプレゼンを利用した授業の様子です

テレプレゼンスを利用した授業の様子です

授業は小学校の 4 クラス、中学校の 4 クラスで行われ、小学四年生の遠隔交流授業ではシスコ テレプレゼンス SX シリーズで東小学校と中央小学校を接続、2 校の生徒が 1 名の外国人の先生から英語の授業を受けるというユニークな取り組みでした。私の運転をてこずらせたあの山々はどこへやら?というぐらい、遅延なくスムーズなやり取りと、ネイティブ スピーカーの発音を漏れ無く伝える高い音質が、それぞれのクラスのやり取りを非常に和やかに、円滑にしていました。授業の後半には、両クラスがグループを作り、T シャツをデザインし商談する、というロールプレイがありました。こちらも実際に Face To Face でやっているのでは?と勘違いするほど、白熱した「取引」が実践されており、生徒たちも激しく盛り上がっておりました!

短い時間の滞在でしたが、両校の教育現場で、実際に直面する課題を ICT の力でパワフルに前向きに解決していこうとする先生方や教育委員会関係者の方々の熱い思いと、テクノロジーに違和感なく接し、楽しみながら学んでいこうとする子供達のピュアな姿勢を目の当たりにしました。改めて、このようなプロジェクトのメリットをシスコなりの視点で広くお伝えできれば、と考えた次第です。当日の様子は、近日中に事例ビデオとしても公開する予定ですので、楽しみにお待ちください。

追伸:雄大な阿蘇の山々を堪能するにあたり、高森町界隈は非常に良さそうですね。現在噴火の影響で加工に近い道路は一部通行止めになっているところもあるようですが、空港から高森への道中では噴火の影響が感じられるところもなく、美味しい空気を堪能することができました。実は Facebook の原稿も国道から少し入ったこちらの湧水に面した駐車場で書き上げました。近くの農家のおばあちゃんに怪しい目で見られていたかもしれませんね・・・

 

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